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無料モデリングツール「Blender 3.6」が公開 ~物理シミュによるアニメが簡単に

人体ベースモデルも公開。CyclesがAMD・intelチップでのレイトレに対応など多くの改善

「Blender」v3.6

 蘭Blender Foundationは6月27日(現地時間)、オープンソースで開発されている高機能な2D/3Dコンテンツ制作ツール「Blender」の最新版v3.6を公開した。

 本バージョンでは、ジオメトリノード機能にシミュレーション機能を付加する「シミュレーションノード」の最初の実装が行われた。この機能ではジオメトリノードによる形状の変形をアニメーションに対応させることで、例えば下図のようなソフトボディシミュレーションを、ユーザーがプログラミングなしで作成できるようになる。

上述の「シミュレーションノード」によるアニメーションデモ(Mingwei Lim 氏作)。公式サイトのデモページからダウンロード可能

 従来も変形アニメーション自体は可能であったが、こちらは結果を他の物理演算機能同様、アニメーションキーとしてベイクすることが可能。

 現存の機能も改善された。インターフェイスのような目に見える部分だけでなく、内部構造にもおよび、速度の向上やメモリ消費量の削減も多数行われている。

 例えば、レンダリングエンジンの「Cycles」では、従来はNVIDIA社のGPUのみ対応していた「ハードウェア・レイトレーシング」が、AMD社やIntel社のGPUにも対応した。現時点では使用可能なハードウェアやドライバーのバージョン、対応する機能に制限があるものの、これらのGPUを採用するPCを持つユーザーには朗報だろう。

 他にもUVの梱包を行う「UVパッカー」にも大幅な改善が行われ、UV展開がより効率的に行われるようになった。v3.5で追加された「ビューポートコンポジター」も、対応するノードが大幅に増え、実用性が向上している。

 また、v3.6のリリースと同時に、アセットバンドルとして「人体モデル」のベースメッシュデータも公開された。「Blender Studio」やコミュニティで制作されたリアルな男性・女性モデルと、目の大きいデフォルメキャラクターの男性・女性モデルが利用できる。

 このデータは従来のバージョンでも利用可能で、デモファイルのダウンロードページから、ダウンロードできる。

中には全身だけでなく、目玉や首などのパーツ単位のモデルも含まれている。公式サイトのデモページからダウンロード可能

 注目の機能に関しては「Blender ウォッチング」連載で取り上げる予定だ。

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 「Blender」は、はWindows/macOS/Linuxなどに対応しており、ライセンスは誰でも無償で利用できる「GNU General Public License」(GPL)。現在、「blender.org」からダウンロードできる。Windows版は64bit版のWindows 8.1/10/11に対応しており、窓の杜ライブラリからもダウンロード可能だ。

Blender 3.6 LTS - Reel

ソフトウェア情報

「Blender」Windows版
【著作権者】
Stichting Blender Foundation
【対応OS】
64bit版のWindows 8.1/10/11
【ソフト種別】
フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】
3.6(23/06/27)