Blender ウォッチング
「Blender 3.5」で強化されて実用レベルになったヘアー機能を解説
2023年4月7日 15:41
本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。
3月29日(GMT)、「Blender 3.5」が公式リリースされました。
今回はこのリリースで大幅に強化された「新ヘアー」の機能についてご紹介したいと思います。
新ヘアー機能の大幅な改善
「新ヘアー」は、以前に「v3.3」で追加された機能です。従来のパーティクルによるヘアー機能を、高速で柔軟性の高い物で置き換えることを目的として追加されたのですが、スケジュールの都合か、後述の「編集モード」などの機能は見送られ、必要最小限の機能のみでリリースされていました。
それが今回の「v3.5」では欠けていた機能が多数追加され、ユーザビリティが大きく向上しました。
新しい「ファー」プリミティブタイプ
ヘアーは、まず植え付ける「メッシュオブジェクト」(UV展開済み)を選択した後、[追加]-[カーブ]メニューからプリミティブ(基本的なオブジェクト)を追加します(詳しくはv3.3の新機能を解説した記事を参考にしてください)。v3.5では、このプリミティブに従来の[空のヘアー]に加え、[ファー]を選択可能になりました。
新しい[ファー]プリミティブは[空のヘアー]とは違い、モデル全体にヘアーを発生させ、さらに同様に今回追加された、ヘアー制御用の「ジオメトリノード」(ノードベースで形状を変形する機能)が設定されます。
動物など、モデル全体に毛を生やしたい時に便利です。
クイックファーツール
また、同様にメッシュオブジェクト選択後に[オブジェクト]-[クイックエフェクト]メニューの[クイックファー]でも「ファー」プリミティブが追加されます。
[最後の操作を調整]パネルで直後の調整もできるため、上記よりこちらの方をお勧めします。
設定方法
[モディファイアープロパティ]にて、各機能のパラメーターがありますので、ここで調整します。また[ジオメトリノードエディター]にてパラメーターの操作や、他のノードとの組み合わせによるカスタマイズも可能です。
テクスチャ画像で毛に色付けする設定
動物などのように、毛にテクスチャ画像で色付けしたい場合は、[属性]シェーダーノードを追加し、[タイプ]を「ジオメトリ」に、[名前]を「surface_uv_coordinate」にして[画像テクスチャ]ノードの[ベクトル]入力ソケットにつなぐことで、「植え付け先のメッシュオブジェクト」のUV座標を使用できます。
編集モードの追加
従来の「パーティクルヘアー」同様の編集モードが、新ヘアー用にもリリースされました。
「ガイドヘアー」と呼ばれるヘアーと、その間で補間・複製されるヘアーがあり、このモードではこのガイドヘアーを編集します。
現時点ではスカルプトモードに「カット」ツールはないため、このモードで頂点を選択・削除する必要があります。
ジオメトリノードアセットのバンドル
v3.5から「Blender」にバンドルされた「ジオメトリノードアセット」で、すばやくカールなどの効果を付加できるようになりました。
これらは3Dビューポート内の「ヘアーオブジェクト」にドラッグ&ドロップすれば「モディファイアー」として、「ジオメトリノードエディター」にドロップすれば「ノードグループ」として利用できます。
上記の「ファー」プリミティブ同様に、細かいパラメーターの設定は[モディファイアープロパティ]または[ジオメトリノードエディター]で行います。
ちなみに「一部をストレート、別の部分をカール」のようにしたい場合は、複数の「空のヘアー」プリミティブを「同じメッシュオブジェクト」に追加し、それぞれのヘアーオブジェクトにドロップすればOKです。
終わりに
今回はヘアー機能の強化とについてご紹介しました。まだ改善点はあるものの、以前紹介記事で苦労したヘアーがようやく使える物になったのが感慨深いです。
ではまた。