Blender ウォッチング
「Blender 3.0」で新しくなった「ジオメトリノード」と「アセットブラウザー」を解説
2021年12月10日 06:55
本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。
12月3日、「Blender 3.0」が公式リリースされてから一週間経ちますが、皆さんいかがでしょうか?
今回は前回ご紹介していなかった「ジオメトリノード」と「アセットブラウザー」、そしてその「注意点」について解説してみます。
ジオメトリノードはシンプルな仕組みに
ジオメトリノードとは、形状を手続き的に作成するツールです……なんていってもよくわからないですよね。要は「マテリアル」などのように、いろんな機能を持ったノードを組み合わせ、形状を作る機能です。
v3.0では抜本的な改善が行われ、ノードツリー(ノードの集合)の構築が直感的になり、柔軟性が大幅に向上しています。
例えばv2.93までは、数値の演算処理後、その結果を直接出力ソケットから別のノードに渡すのではなく、ノード内で結果を出力するための「属性」に渡し、それを他のノードで再び参照……という、書いてるだけでもウンザリしそうな手続きが必要でした。それがv3.0からはシェーダーノードのように単純に他のノードに渡すことができるようになりました。他にも複数のリンクを同じ入力ソケットにつなげることができるなど、便利になりました。
ただし、仕様変更に伴い、いくつかのノードが廃止予定になるため、旧ノードを含むファイルを修正する必要があります。またv3.0の時点では直接「頂点グループ」を取得する方法がなくなっているため、少し面倒なことになっています。
「.blend」ファイル内のデータをライブラリとして閲覧できるアセットブラウザー
アセットブラウザーは文字通り、「アセット」(資産の意。ここでは主に形状などの「データ」を指す)を閲覧する機能です。
Blenderには他の「.blend」ファイル内のデータのコピー(アペンド)やリンクを行う機能がありますが、サムネイルだけでは中身がわからず、各ファイルを探し回る羽目になることもありました。
今回のv3.0では、そんな「.blend」ファイルを「アセットライブラリ」として閲覧できるようにタグ付けし、それらアセットを集めた「アセットカタログ」の作成や閲覧を行う機能が追加されました。
アセットライブラリの構築方法
ここで興味を持たれた方に、既存の「.blend」ファイルを「アセットライブラリ」として利用する方法を少しだけ解説します。
まず最初に既存のファイルのデータを「アセット」にします。単純に対象のデータに「マーク」するだけです。
- アセット化したいデータのある「blend」ファイルをBlenderで開きます。
- [アウトライナー]で、対象の「オブジェクト」や「データ」を選択します。
- 右クリックメニューから[アセットとしてマーク]を実行します。
- ファイルを保存します。
なお、残念ながら「コレクション」や、親子関係にあるオブジェクトのアセット化はv3.0の時点ではできません(後者は上図のようにバラバラになります)。v3.1を待ちましょう。
アセットフォルダーについて
上記で作成した「アセット」データを含む「.blend」ファイルは、特定のフォルダー(アセットフォルダー)に入れることでアクセスできるようになります。
デフォルトでは、このフォルダーのパスはWindows環境では[ドキュメント]-[Blender]-[Assets]フォルダー(C:Users(ユーザー名)DocumentsBlenderAssets)、LinuxやOSXでは「~/Documents/Blender/Assets/」になります。
また、[編集]メニューから開ける[プリファレンス]ダイアログの[ファイルパス]-[アセットライブラリ]から自分で好きな場所を指定することもできます。
アセットブラウザーの使い方
アセット化したデータのある「.blend」ファイルを「アセットフォルダー」にコピーすると、ブラウジング可能になります。
Blenderを新たに起動し、デフォルト画面の下の[タイムライン]のヘッダー左端のアイコンをクリックし、右端の列にある[アセットブラウザー]を選択し、少し場所を広げます。
左側のペインに「現在のファイル」と表示されている部分をクリックします。もし、前述の「アセットフォルダー」にアセット化したデータが入っているファイルがあれば、中身が表示されます。
後は中のサムネイルを[3Dビューポート]にドラッグ&ドロップすれば利用できます。「オブジェクト」は面に吸着するよう配置され、「マテリアル」の場合はオブジェクトにドロップすれば適用されます。
他にもここに書ききれなかったことがたくさんあります。リリースノートをチェックしてみてください。
終わりに
今回ご紹介した「ジオメトリノード」と「アセットブラウザー」にはまだ不備があるものの、両方とも今後が楽しみな機能です。皆さんもぜひ触ってみてください。