Blender ウォッチング

大まかな形さえ決めれば素敵な家が出来上がる「Blender」のアドオン

中世風の木骨造や日干しレンガ造、スイス風コテージ、南国スラム風といった住居を簡単作成

 本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。

南国のスラム風住居もラクラク作成可能

 新年明けましておめでとうございます。本年も本連載をよろしくお願いいたします。

 今回は簡単な形状から家屋のモデルを作成してくれる「Procedural Building Generator」をご紹介します。

 前回「Dream Texture」アドオンによる家屋への自動テクスチャ生成機能をご紹介しましたが、その時にふと、同じように簡単な形状からモデルを生成するこのアドオンを思い出してしまったというのが理由です。

入手方法

 このアドオンは有償で、Gumroad($7)とBlender Market($8)にて販売されています。後者の方が高い価格なのはセールの可能性があるからかもしれません。

 Gumroadでの入手は、「公平な価格を設定してください」のフィールドに「7」(もしくはそれ以上の価格)を入力し、「これが欲しいです!」をクリックすると、支払い方法とメールアドレスを入力するページに移動します。

 支払いは「クレジットカード」と「PayPal」(PayPayではない)に対応。危険性は少ないと思いますが、可能であればPayPalで支払う方が安全です。なお金銭関係のトラブル等には関与しませんので、購入は自己責任にお願いします。

Gumroadの購入ページ

 Blender Market での購入方法については以前の記事を参照してみてください。

 購入が終わればダウンロードページに移動するはずです。とりあえず本体の「.zip」ファイルと、メッシュに変換するアドオン「.py」ファイル、ドキュメントの「.pdf」ファイルをダウンロードしておきましょう。

 本記事では「Blender 3.4.1」と、「Procedural Building Generator v1.3」を使用しています。

Gumroadのダウンロードページ

使用方法

 まず、本体の「Procedural_Building_Generator_v(バージョン).blend.zip」を解凍し、中の同名の「.blend」ファイルを、あらかじめプレファレンスにて設定した、「アセットライブラリ」のフォルダー(Windows版のデフォルトでは「C:Users(ユーザー名)DocumentsBlenderAssets」)にコピーします。
 アセットライブラリの設定方法については過去の記事を参照してください。

 「Blender」を起動し、一部のエディターをヘッダー左端のアイコンから「アセットブラウザー」に設定(①)し、上記のアセットライブラリを指定(②)します。下図のように中身が表示されれば成功です。

「Blender」を起動し、一部のエディターをヘッダー左端のアイコンから「アセットブラウザー」に設定(①)し、上記のアセットライブラリを指定(②)。図のアセットライブラリ名は一例

 この中には「スタイル名 Style」コレクションと、「スタイル名 Template Asset」オブジェクトの組が「5スタイル分」入っています。※
(※:「Template Building Style」という、カスタムスタイル作成用のコレクションもあります)

 使用する場合、「スタイル名 Style」コレクションを先にアペンドし、「スタイル名 Template Asset」オブジェクトを建物の個数分アペンドするか複製します。

各スタイル名に対応する形状

 とりあえずデフォルトの「Cube」を消した後、アセットの先頭にある「HalfTimbered Style」と「HalfTimbered Template Asset」を[Shift]キーを押しながらクリックして選択し、一緒に「3Dビューポート」にドラッグしてみましょう。

「HalfTimbered Style」と「HalfTimbered Template Asset」を[Shift]キーを押しながらクリックして選択し、一緒に「3Dビューポート」にドラッグ

 コレクション内部のパーツが表示されてしまっているので、右上の「アウトライナー」で「HarfTibered Style」コレクションのチェックマークを外して非表示状態にします。

「アウトライナー」で「HarfTibered Style」コレクションのチェックマークを外して非表示状態に

形状の編集

 「(スタイル名)Template Asset」オブジェクト(上記の例では「HalfTimbered Template Asset」)を選択し、画面上部のタブで[モデリング(Modeling)]ワークスペースに切り替えます(または「3Dビューポート」左上または[Tab]キーで[編集モード]にし、右下のプロパティエディターを「モディファイアープロパティ」にします)。

「HalfTimbered Template Asset」)を選択し、画面上部のタブで[モデリング(Modeling)]ワークスペースに切り替え

 パーツに隠れていてわかりづらいですが、このオブジェクトの形状は単なる立方体です。パーツのない形状を表示したい場合は、モディファイアーパネル内上部にある下図の囲み内のアイコンをOFFにすると表示されなくなります。

 再びクリックするか、[Tab]キーなどで「オブジェクトモード」にすると再表示されます。

パーツのない形状を表示したい場合は、モディファイアーパネル内上部にある下図の囲み内のアイコンをOFFにすると非表示に

 適当に細分化し、面の一部を押し出したりしてみると、パーツが追加されます。また、「窓」などの一部パーツは「編集モード」中にサイズを大きくしないと出てこないことがあります。

元形状(編集モード)とパーツ付加後(オブジェクトモード)。画像ではわかりやすいよう「マテリアルプレビュー」シェーディングモードにしている

 時々パーツがうまく生成されず、潰れたり穴が開いたりすることがあります。そんな時は、不要なを溶解してみて単純化するといいかもしれません。

穴が開いた形状(左)と、修正後(右)

パーツの設定

 パーツの設定は、[モディファイアープロパティ]で行います。

 設定は全スタイル共通になっており、どれがどこに影響するかは実際に試してみないとわかりません。

 上から2番目の[Seed]は全体的な乱数のパターンを変えたい時に使用でき、同じ値で同じパターンになります。

パーツの設定は、[モディファイアープロパティ]で行う。[Seed]を変更すると全体的な乱数パターンが変わる

モデルデータの実体化

 「作成されたモデルの余計なパーツのみ外したい」などの理由で、実際のモデルデータに変換したい場合、単純にモディファイアーを適用してもうまくいきません。

 上記のダウンロードページにある「building_to_mesh.py」ファイルをダウンロード後、プリファレンスからアドオンとしてインストール(アドオンのインストール方法は以前の記事を参照のこと)し、対象のオブジェクトを選択後、サイドバーの[Procedural Building Generator]タブから[Convert Building To Mesh]ボタンで実体化してください。

「building_to_mesh.py」ファイルをアドオンとしてインストール(①、②)後、[N]キーなどで「サイドバー」を表示し、[Procedural Building Generator]タブ(③)から[Convert Building To Mesh]ボタン(④)で実体化

ライセンスについて

 生成されたモデルはクリエイティブコモンズ-表示4.0で使用できます。もちろん、商用利用も可能です。

終わりに

 有償ですが、すばやく街並みを作成する時なんかで活躍するのではないでしょうか。今すぐ必要でなければ、セールを待つのもいいと思います。

 ではまた。