Blender ウォッチング
「Blender」を最新版にしたらアレがない! 戸惑うポイントとその解決方法
自動スムーズ機能やアニメーションキー挿入に大きな仕様変更
2024年4月8日 16:36
本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。
3月26日(オランダ時間)、「Blender 4.1」が公式リリースされました。今回はユーザビリティ方面の改善が多数あります。
今回は一部の機能の仕様変更と対処について解説したいと思います。
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自動スムーズ機能の変更
従来、メッシュデータブロックのプロパティの1つであった[自動スムーズ]オプションがv4.1では廃止され、「モディファイアー」で全体的に設定するようになりました。
この機能は、2つの面の間の角度により、くっきり(フラット)な表示にするのか、なめらか(スムーズ)な表示にするかを決めます。
例えば、プリミティブの「円柱」で「上下の面と側面との面の間はくっきりと区別させたいが、側面はなめらかに表示したい」という場合に使用します。
実例としては最初の画像の「消波ブロック」のように、背景として多数必要だが、リソース節約のためにローポリで作成した工業製品や建築物ではほぼ必須の機能です。
従来は[オブジェクトデータ]プロパティの[ノーマル]パネルに[自動スムーズ]がありましたが、今はパネルごと消えています。
なお、旧バージョンで自動スムーズプロパティを使用していたファイルをv4.1で読み込むと、自動的に「自動スムーズモディファイアー」という「ジオメトリノード」が追加されます。
v4.1からの自動スムーズの設定方法
v4.1のスムーズは大きく分けると、編集後も自動でスムージングして欲しい場合[モディファイアー]を、一時的に自動設定して後は編集後に状況に応じて設定したい場合[角度でスムーズシェード]を使いつつ[シャープ辺](後述)を加えるように使い分けるといいと思います。
モディファイアーを使用
[モディファイアー]プロパティの[モディファイアーを追加]ボタンをクリックし、[ノーマル]-[角度でスムーズ]モディファイアーを選択します。
……え? 上に書いてあるモディファイアーと名前が違う?
この2つはほぼ同じ機能なのですが、[角度でスムーズ]の方は[シャープを無視]オプションが付いています。これは次の[シャープ辺]による設定を無視し、単純に角度のみでスムージング設定を行いたい時に使用します。
「角度でスムーズシェード」ツールを使用
「オブジェクトモード」中、[オブジェクト]メニューから[角度でスムーズシェード]を選択します。
実行後、「編集モード」([Tab]キー)に変更してみると、一部の辺が水色にハイライト表示されています。これらは「シャープ辺」と呼ばれます。
つまりこれは、2つの面の角度に応じて間の辺に「シャープ辺」を設定するツールなのです。
これらのシャープ辺は、「編集モード」中、[辺メニュー]、または辺を選択後[右クリックメニュー]から[シャープのセット][シャープのクリア]で設定を変更できます。また、[角度でシャープを設定]を使用すれば、選択部分のみ自動的にシャープの設定とクリアができます。
なお、このシャープ設定は、[押し出し]ツールなどで複製された時も継承されます。
アニメーションキー挿入の変更
従来の[I]キーによるアニメーションキー挿入では、キー押下後にメニューで挿入するキーのプロパティを選択していましたが、「シーンで設定したアクティブキーセット」を直接使用するようになりました(未設定の場合はプリファレンスのデフォルトキーイングセットを使用)。
アクティブキーイングセットは[Shift]+[K]キーで変更できます。
「前のアニメーションキー挿入メニューがいいー!」という方のため、従来の[I]キー同様のキー挿入メニューも[K]キーで利用できますのでご安心を。
[オブジェクト]や[ポーズ]メニューの[アニメーション]からも利用可能です。
[マスグレーブテクスチャ]ノードの[ノイズテクスチャ]ノード統合
シェーディングノードの[マスグレーブテクスチャ]ノードが廃止され、[ノイズテクスチャ]ノードと統合されました。
[マスグレーブテクスチャ]ノードは例えば「畝のあるマルチフラクタル」を使用し、水中のコースティクスを模倣するのに便利です。
変換前の[マスグレーブテクスチャ]ノードと、変換後の[ノイズテクスチャ]ノードを比べてみると、[次元]パラメーターが[粗さ]パラメーターに変わり、[細かさ]パラメーターは「-1」されて減っています。また、[歪み]パラメーターと[カラー]ソケットが利用可能になっています。
次元から粗さパラメーターへの変換はファイル読み込み時に自動的に行われますが、変換式についてはリリースノートをご覧ください。
なお、「マスグレーブ」タイプのテクスチャは自体は現在も、スカルプトブラシなどで利用する「テクスチャデータブロック」にて利用可能です。
ソフト減衰
最後は変更というよりv4.0での変更への対処なのですが、[ライト]の[ポイント]と[スポット]に[ソフト減衰]というオプションが付きました。これは[ポイント]ライトやスポットライトの[半径]の大きさの「球」と、他のオブジェクトが交差した時の形状を修正するオプションです。
ライトの範囲内と重なる境界がオプションの無効時はくっきり見えますが、有効時はぼやけるようになります。実はくっきりするのが物理的に正しい挙動らしいのですが、以前のバージョンとの互換性の維持と、逆にCGくさく見えてしまうという意見により、このオプションが追加されたようです。
デフォルトでは有効になっていますが、状況に応じて無効化してしまってもいいと思います。また、スポットライトは「円錐との交差部分ではない」ことに注意してください。
終わりに
今回はv4.1の仕様変更について解説しました。筆者もこのリリースでのいきなりの変更や廃止で驚きました。とはいえ、どれも代替手段があるため、実際に困ることはないと思います。
ではまた。