Blender ウォッチング
「Blender」最新版の新機能を解説! ユーザビリティが大幅に向上してより使いやすく
OIDNのGPU対応、ボーンコレクション階層化、ウェイトペイント中のボーン選択モードなど
2024年4月2日 06:55
本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。
3月26日(現地時間)、「Blender 4.1」が公式リリースされました。今回はユーザビリティ方面の改善が多数あります。
今回はそのいくつかを独断と偏見で選出してご紹介していきたいと思います。
OpenImageDenoiserのGPU対応
Cyclesで利用可能なデノイザー(ノイズ除去機能)の一つに「OpenImageDenoiser」(OIDN)があります。もう一つの「OptiX」によるデノイズに比べて綺麗ですが、従来はCPUのみの対応でしたので、最終レンダリングのみで利用することになり、その結果、3Dビューポートとのデノイズ結果に差がありました。
しかし、今回のGPU対応により、3Dビューポートと最終レンダリングの双方で、OIDNを一貫して使用できるようになったのです。
利用方法はすでに「Blender」の[プリファレンス]-[システム]タブでGPUとAPIの設定さえしていれば、Cyclesレンダーを[GPU演算]で利用する時に自動的に使用されます。
この機能はVRAMをある程度消費するため、ヘアーなどでVRAMが足りない場合は[レンダープロパティ]-[Cycles]-[サンプリング]-[ビューポート]または[レンダー]-[デノイズ]の[GPUを使用]チェックボックスでOFFにすることもできます。
ボーンコレクションの階層化とソロ機能
ボーンコレクションはコレクション同様、もともと「Blender」のレイヤー機能を置き換えるものとして作成された機能です。そのため、今までは全部が同じ階層にあったのが、階層化に対応したことで、大幅に整理しやすくなりました。
階層表示は「アウトライナー」内と[アーマチュアプロパティ]-[ボーンコレクション]パネルで利用可能です。
また、「ソロ機能」(下図の☆アイコン。ボーンコレクションパネルのみ)で、目的のボーンコレクションのボーンのみをすばやく表示できるようになりました(ボーンコレクションパネル内のみ)。非表示中のボーンコレクションも表示できます。
変形ボーンはもちろん、操作用ボーンも邪魔になることがよくあるので、こちらも便利です。
ウェイトペイント中のボーン選択モード
ウェイトペイントモードに、ボーンを選択する専用のモードが追加されました。「3Dビューポート」左上の「モードセレクター」の右側のアイコンでこのモードに変更できます。
従来でもウェイトペイントモード中から[Alt]+左クリックで、ペイントに使用したいボーンの「選択」が可能でしたが、矩形選択などはできず、マウスのみで操作するには少し手間が必要でした。
このモードにより、ウェイトペイント中も編集モードなどのように、マウス操作のみで各種選択ツールによるボーンの選択ができるようになりました。
変形に使用している「アーマチュアオブジェクト」を「ポーズモード」にしていないと、このモードは表示されませんので注意してください。
ボーン名の影付き表示
ボーン名の表示に影が付き、背景が明るい時や固まって表示されている時に非常に見やすくなりました。
シェイプキーの保護機能
シェイプキーリストの中に、シェイプキーを保護する「ロック」アイコンが付きました。
リスト内でシェイプキーがアクティブになっている時、編集モードなどで編集すると、そのシェイプキーの編集として記憶されます。新規シェイプキーの追加を忘れていたり、対象のシェイプキー以外がアクティブになっているのに気づかずそのまま作業してしまうことがあります。この機能はこのような悲しい事故を防いでくれます。
ドラッグ&ドロップでインポート
「OBJ」「STL」「PLY」などの一部の形式のインポートが、ドラッグ&ドロップでできるようになりました。
以前の記事で、機械学習により生成されたOBJファイルをとっかえひっかえしていた時に欲しかった機能です(すでにテストビルドにはあったようですが)。
テキストオブジェクトのデフォルトフォントの多言語化
従来の「Blender」のテキストオブジェクトにデフォルトで設定されているフォントは英文のみ対応しており、フォントを新たに設定しなおさないと日本語が表示されませんでした。
v4.1ではこのデフォルトフォントでは表示できない文字であった場合、代替のフォントが使用されるようになり、デフォルトでも日本語のテキストオブジェクトが表示されるようになりました。
また、編集モードでのIMEからの直接入力はできないものの、[右クリックメニュー]から[テキスト]-[Unicodeを挿入]で多バイト文字をコードで挿入できるようになりました(日本語自体は名前などのプロパティのテキストフィールドで入力してからコピペ可能)。
終わりに
今回は「Blender 4.1」で改善された機能の一部をご紹介しました。派手な新機能もいいですが、既存の機能の改善で痒いところに手が届くようになるのもありがたいです。
次回は仕様変更について解説します。
ではまた。