Blender ウォッチング
3DCGの謎用語を解説! 「アーマチュア」って素人って意味じゃないの?
「エンベロープ」「リギング」「コンストレイント」なども説明します
2022年7月29日 06:55
本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。
今回はキャラクター制作でおなじみの「アーマチュア」や「リギング」などの用語を解説します。アニメーションはしなくてもキャラクターは作ってみたいという方は多いのではないでしょうか。まずは用語だけでも知っておいても損はないと思います。
アーマチュア
人体などの生物のポーズを表現するために骨組みを模した機構。他のツールなどでは「スケルトン」とも。
ボーンの集合で構成され、メッシュオブジェクトの頂点と「頂点グループ」や「エンベロープ」などでバインド(関連付け)され、骨格に基づいた変形を行う。
[編集モード]でボーンの編集を行い、[ポーズモード]でポーズを付ける。
ボーン
3DCGではキャラクターなどを動かす骨格に使用される仮想の骨のこと。
「Blender」ではヘッド(Head)と呼ばれる「根元」と、テール(Tail)と呼ばれる「先端」で構成され、この2つが「ペアレント」でつながり、関節を作る。ボーンにはそれぞれ「ローカル軸」があり、把握しておかないとリギングの際に苦労することになる。
表示方法には複数の種類があり、さらに他のメッシュオブジェクトを指定し、ターゲット用の特別なボーンを判別しやすくすることも可能。
頂点グループ
頂点をまとめる機能。主に「モディファイアー」などによる影響範囲の指定や除外に使用され、機能によっては「ウェイト」(重みづけ)により、その影響力が調整できる。「Blender」では[編集モード]と[ウェイトペイント]にて編集が可能。
アーマチュアとの関連付けは通常、メッシュをアーマチュアの子として[ペアレント]-[アーマチュア変形]-[自動のウェイトで]を使用し、自動的にウェイトを追加・設定して行う。
ボーンと同名の頂点グループが設定された頂点がボーンの影響を受け、複数の頂点グループが指定されている場合は、各頂点グループのウェイトで動きが決まる。
「Blender」では1つの頂点に設定可能な頂点グループ数に制限はないが、「Unity」などのゲームエンジンではパフォーマンスの理由で4つ程度に制限されていることが多い。また、ウェイトの合計が「1.0」でないといけないなどの制限もあるため、「Blender」で作成後、他のツールなどで利用する場合は注意が必要である。
エンベロープ
- 「Blender」でアーマチュアとメッシュを関連付ける方法の1つ。各ボーンの周囲に、各ボーンの関節ごとに大きさを決めた領域を設定し、その中に入った頂点を変形の対象とする。実際には直接この機能で変形するより、頂点グループに変換するなど補助的に利用されることが多い。
- F カーブ用の「モディファイアー」の1つ。
リグ・リギング
「機構」のこと。また、このような機構を構築することをリギングと呼ぶ。
例えば[ペアレント]によりドアを開け閉めする機構や、「カメラ」をターゲットに向ける機構、そして[アーマチュア]を使用した、人体を模した構造などが「リグ」にあたる。
「Blender」でのリギングには[コンストレイント]などが利用される。
コンストレイント
ボーンやオブジェクトの動き(トランスフォーム)を制御する機能。「Blender」では単純にトランスフォーム情報をコピーしたり、変換するものもあれば、追跡(トラック)やIK(インバースキネマティクス)を行うもの、ペアレントを操作するものなど、様々な種類がある。
IK
Inverse Kinematics(インバースキネマティクス)の略称。
ターゲットの位置に先端のボーンが到達するよう、途中のボーンを自動的に回転して合わせる機能。腕や脚のポージングの省力化に非常に役に立つが、その反面、途中のボーンの姿勢を調整できない欠点がある。「Blender」ではボーン用のコンストレイントの1つとして実装されている。
反対語として、FK(Forward Kinematics: フォワードキネマティクス)があり、こちらはIKのないデフォルトの状態で、ユーザーが途中のボーンの姿勢を自由に決めることができる代わりに、ターゲットの位置に先端のボーンを到達させるような用途には向かない。リグにはIKとFKを切り替え可能な物がある。