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オープンソースの3DCG制作ツール「Blender」が20年以上ぶりのメジャーアップデート
アーキテクチャーを一新した「Cycles X」エンジンで生まれ変わった「Blender 3.0」
2021年12月6日 15:16
蘭Blender Foundationは12月3日(現地時間)、「Blender 3.0」を公開した。2000年8月に「Blender 2」がリリースされて以来、実に20年以上ぶりのメジャーアップデートとなる。
「Blender」は、オープンソースで開発されている2D/3Dコンテンツ制作ツール。ライセンスは「GNU General Public License」(GPL)で、誰でも無償で利用できる。対応プラットフォームはWindows、Mac、Linuxなどで、現在「blender.org」からダウンロード可能。Windows版のインストーラーは窓の杜ライブラリからもダウンロードできる。
「Blender 3.0」における変更は多岐にわたるが、まず注目したいのが「Cycles X」と呼ばれる新しいレンダリングエンジンだ。
「Blender」には10年前から「Cycles」と呼ばれるレンダリングエンジンが導入されており、一定の成果を収めている。しかし、レンダリングアルゴリズムやハードウェアが進化するにつれ、次第にそれを取り入れるのが難しくなってきた。そこで、2021年4月から開始されたのが「Cycles X」だ。「Cycles X」では局所的な改善ではなく、今後10年を見据えたアーキテクチャー全体の見直しが行われている。
その成果としてまず挙げられるのが、レンダリングパフォーマンスの向上だ。実際の利用シーンに即したベンチマークでは、2倍から8倍もの速度改善が見られたという。新しいスケジューリングと表示アルゴリズムにより、ビューポートの応答性も改善されている。
また、AMDと協力して同社製GPUが再びサポートされたのも大きな改善。これは単一のソースコードからNVIDIA/AMD両対応のポータブルアプリ開発を実現するためのプロジェクト「HIP」(C++ Heterogeneous-Compute Interface for Portability)に基づいており、「Blender 3.0」ではRDNA/RDNA2世代の外付けグラフィックスカード(Radeon RX 5000/6000シリーズを含む)がWindows環境でサポートされる。「Blender 3.1」ではLinuxへの対応に加え、旧世代GPUのサポートが予定されている。また、Appleの協力も得て「Metal」のサポートも計画されているとのこと。
そのほかにも「OpenImageDenoise」をv1.4へアップデートし、ノイズ低減を改善。ローポリのゲームモデルで発生しがちなシャドウアーティファクトを軽減する新しいオプションも追加された。さらに、ドラッグ&ドロップで質感や3Dモデルを追加できる新しいアセットブラウザーがとうさいされたほか、「Blender 2.92」で導入された「ジオメトリノード」(Geometry Nodes)で利用できるノードも100以上拡充。
ユーザーインターフェイスも改善されており、ウィジェットのデザインが一貫性のあるものへ更新されたほか、エリアの管理が容易になった。.blendファイルの読み込みと保存ではGZipに代わりZstandardアルゴリズムが利用されるようになり、処理速度が大幅に向上している。
詳しい変更点については、今後の「Blender」連載でも取り上げていく予定なので、楽しみにしてほしい。
なお、「Blender 3.0」からはバージョンナンバリングルールが改められ、4半期に1回のマイナーアップデートと、2年に1回のメジャーリリースが計画されている。マイナーアップデートのうち2回(v3.3とv3.7)は長期サポート(LTS)版として2年間サポートされる予定だ。「Blender 3」シリーズは「Blender 2」シリーズほど長命にはならないだろう。
ソフトウェア情報
- 「Blender」Windows版
- 【著作権者】
- Stichting Blender Foundation
- 【対応OS】
- 64bit版を含むWindows 7/8/10
- 【ソフト種別】
- フリーソフト(寄付歓迎)
- 【バージョン】
- 3.0(21/12/03)