Blender ウォッチング

「Blender」の最新版で実用的になったアセットライブラリを解説

「コレクション」に対応し、複数のオブジェクトをまとめて管理できる

 本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。

 6月8日(GMT)、「Blender 3.2」が公式リリースされました。今回は「アセットライブラリ」の「コレクション」正式対応についてご紹介します。

アセットライブラリの使用例。アセットの多くは公式デモファイルより

アセットライブラリとは

 アセットライブラリとは、「Blender 3.0」にて追加された機能の1つで、「Blender」内のデータを「アセット」としてマークし、指定のフォルダーにファイルを置くことで、簡単に再利用できるようにするシステムです。

 詳しくは以前の記事をご覧ください。

コレクションと今回の対応について

 「コレクション」は「Blender」でオブジェクトをグループ管理する機能の1つです。多くのモデルではパーツ毎に分けられた複数のオブジェクトが集まってできていることが多く、コレクションにまとめて管理することがよくあります。

 しかし「v3.0」の時点のアセットライブラリは、この機能に対応しておらず、まだ実験的機能である印象がありました。

 今回の「v3.2」でようやく「コレクション」に対応し、実用的になったというわけです。

コレクションアセットの登録方法

 では早速コレクションをアセットに登録してみましょう。

  1. [アウトライナー]で、現存のコレクション上から[右クリックメニュー]-[新規]で新規コレクションを追加します。
  2. コレクションにまとめたいオブジェクトをドラッグして入れます。
  3. コレクション上から[右クリックメニュー]-[アセットとしてマーク]でマークします。
  4. このコレクションを保存した「.blend」ファイルを「アセットパス」に保存します。
新規コレクションを作成(①)し、オブジェクトをドラッグ&ドロップ(②)後、作成したコレクション(③)の[右クリックメニュー]から[アセットとしてマーク]を実行

アセット化した後の注意点

 アセット化後、コレクション内に入れたオブジェクトを増減した場合は、いったん[右クリックメニュー]-[アセットをクリア]でクリア後、再度[アセットとしてマーク]を実行してください。変更が反映されません。

コレクションアセットの利用方法

  1. どこかのエディターのヘッダー左端から[アセットブラウザー]を選択して切り替えます。
  2. 左端の[>]をクリックして[ツールバー]を表示します。
  3. [アセットライブラリ]で設定済みのアセットパスを選択します。
ヘッダーの図のアイコンをクリックして[アセットブラウザー]に切り替え(①)、[>]をクリックして[ツールバー]を表示(②)後、[アセットライブラリ]で設定済みのアセットパスを選択(③)

 「コレクション」のアイコンが左下についている「コレクションアセット」をエディター上にドラッグ&ドロップします。

「コレクション」のアイコンが左下についているのがコレクションアセット

 下図のように、コレクションは操作用のエンプティオブジェクトが付いた「インスタンス」として追加されます。インスタンスとは実体のないオブジェクトで、配置以外の編集が一切できません。アウトライナーにも「コレクション」のみが表示され、展開はできません。

 もし中身を編集したい場合は、次の項の手順で「実体化」する必要があります。

コレクションは実体のない「インスタンス」として追加され、そのままでは中身の編集ができない

コレクションアセットのインスタンスの実体化

  1. コレクションアセットのインスタンスを選択します。
  2. [オブジェクト]-[適用]メニューの[インスタンスを実体化]を実行します。
インスタンスを選択(①)し、[オブジェクト]-[適用]メニューの[インスタンスを実体化]を実行(②)

 しかし実行する前に少し待ってください。ここにはいくつか罠が存在します。

第1の罠:コレクション内のオブジェクトがばらまかれる

 そのまま[インスタンスを実体化]を実行すると――オブジェクトが全部現在のコレクションにばらまかれてしまいました。まるでZIPファイルを展開したら意図せず現在のフォルダーに置かれてしまったような感じですね。

現在のコレクションにばらまかれた内容

 というわけで、上記の手順の②の前に新規コレクションを追加し、インスタンスをそちらに移動させてから、改めて「実体化」しましょう。

新規コレクションを追加し、インスタンスを中に移動してから実体化

第2の罠:親子関係の消去

 今度は別の例として、アーマチュアに親子関係付けされたモデルを「実体化」してみます。新規コレクション内に展開した後、おもむろにアーマチュアを移動すると、見事アーマチュアだけがすっぽ抜けてしましました。

実体化後にアーマチュアを移動するとメッシュオブジェクトが付いてこない

 これはもうどうしようもないので、移動する前にメッシュの方をアーマチュアに再度[ペアレント](の[アーマチュア変形])するしかありません。

 幸い、このモデルではモデル全体を動かすボーンがあるため、[ポーズモード]にてそれを移動すれば問題はなさそうですが、もし他に特定の「ボーン」にペアレントしていたオブジェクトがある場合(以前の記事で作成した「アクセサリ」など)は、再度そのボーンとペアレントしないと元通りに動作しません。

 ということですので、現時点では少なくとも複雑な物は従来通り[ファイル]メニューの[アペンド]を利用することをお勧めします。

第3の罠:インポートモード

 アセットブラウザーの中央にある[インポートモード]は、デフォルトでは[アペンド(データを再利用)]になっています。これは一度アセットからドラッグ&ドロップして追加した「コレクション」を再び追加した時、コレクションを再度追加する代わりに、追加済みのコレクションを再利用し、インスタンスを作成するようになっています。

 これは通常はあまり問題にはならないのですが、例えばあるコレクションを追加した後、元アセットデータを編集して変更したとします。この時、同じコレクションを追加しても、それが反映されなくなります。

 こういう場合は[インポートタイプ]を[アペンド]に変更してください。

[インポートタイプ]のリスト

終わりに

 4回にわたり、「Blender 3.2」で追加された新機能をご紹介してきました。正直なところ微妙に感じる部分もありましたが、開発は今も活発に行われており、不満もいずれ解消されていくものと思われます。

 なお、来週の7月6日にも早速修正リリース(v3.2.1)が予定されていますので、ご更新をお忘れなく。

 ではまた。