Blender ウォッチング

「Blender」最新版の目玉機能「ヘアーカーブ」で髪型のセットが簡単に!

[密度]ブラシで面に植毛して球状の[くし]ブラシで立体的にスタイリング

 本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。

 9月7日(GMT)、「Blender 3.3LTS」が公式リリースされました。今回はLTS(長期間サポート)リリースということで安定性を優先しているためか、新機能は少なく、修正や改善が主となっています。

 今回は「Blender」に新しく追加された「ヘアーカーブ」についてご紹介したいと思います。

 注意:画像はすべてリリース候補版で作成されています。ご了承ください。

「ヘアーカーブ」での作業中の画面

従来のヘアー機能の弱点

 従来の「Blender」で髪の毛や動物の毛を表現するには、「パーティクルシステム」を使用していました。これは「」からパーティクル(粒子)として毛を発生させる物で、ヘアースタイルも自由に設定可能でした。しかし、以下の問題点があります。

  • 発生場所の指定が面倒で完全ではない
  • スタイリングがしづらい
  • パフォーマンスが悪い(重い)
  • ジオメトリノードから制御できない

 これらを改善し、パーティクルによるヘアーの後継として開発されたのが、今回の「ヘアーカーブ」です。

ヘアーカーブの使用方法

 とりあえずデフォルトの立方体に毛を生やしてみましょう。

メッシュオブジェクトの選択

 ヘアーカーブには、毛を植え付ける「メッシュオブジェクト」が必要です。そのため、追加前にメッシュオブジェクトを選択します。なお、メッシュオブジェクトには「UVマップ」が設定されている必要があります。

 「Blender」のデフォルト画面から始めた場合は、立方体がすでに選択済みなのでそのまま先に進みましょう。

カーブオブジェクトの追加

 次はカーブオブジェクトを追加します。

 [追加]-[カーブ]メニューを展開すると、[空のカーブ]の項目がありますので、これを選択します。

立方体が選択されているのを確認後(①)、[追加]メニュー(②)-[カーブ](②)-[空のカーブ](③)で追加

 すると、立方体の選択が消えます。特に何もないですが、アウトライナーの「Cube」オブジェクトのツリーを開くと、子として「カーブ」という名前のオブジェクトができているのがわかります。

アウトライナー内のカーブオブジェクト

 このままでは単なる立方体ですので、毛を植え付けてみましょう。

 画面左上をクリックし、[スカルプトモード]に変更します。

画面左上から[スカルプトモード]に変更

 ツールバーを見ると、上から3番目のブラシがデフォルトで選択されています。これは[密度]ブラシといい、密度によって自動的に毛を追加・削除します。

 立方体の面上で左クリックしてみましょう。まとまった「毛の束」が追加されます。ブラシの調整は、上の[ツールの設定バー]で行います。[最小距離]で毛の間隔を調整できます。

面上でクリックして毛を追加。毛の間隔は上部の[ツールの設定バー]の右の方にある[最小距離]で調整可

[伸長/収縮]ブラシによる毛の長さの調整

 今のままでは短い毛だけで面白くないので、少し長くしてみましょう。

 図の[伸長/収縮]ブラシをクリックして選択し、既存の毛の上を左ドラッグしてみましょう。だんだん長くなるはずです。反対に短くしたい場合は、[Ctrl]キーを押しながらドラッグしてください。

[伸長/収縮]ブラシで毛の長さを変更

[くし]ブラシによるスタイリング

 一番上の[くし]ブラシは、毛をとかすことができます。これは従来でも同じでしたが、上記で書かれている「スタイリングがしづらい」問題を解決すべく、新たにブラシの影響範囲が「球」になっています。

 従来の使いづらさの原因の一つが、「投影」による影響範囲でした。これはビューから見た2Dの範囲にのみしか影響しないため、立体的に髪の毛をとかすには違和感がありました。これが「球」になり、使用した結果がイメージに近くなりました。

[くし]ブラシでスタイリング

 他にも[伸長]ブラシと[くし]ブラシを合わせたような[スネークフック]ブラシ、毛を持ち上げてくれる[パフ]ブラシや、毛を集めてひねる[ピンチ]ブラシなどがあります。

選択機能

 一番上の[選択ペイント]ブラシを使用し、毛全体や、毛の制御点単位で選択できます。選択した部分のみ明るく表示され、他の部分は暗く表示されます。

 [Shift]キーを押しながらペイントすると、選択部分を追加できます。選択解除は[Ctrl]キーを押しながらペイントです。

 毛(カーブ)、または制御点単位(カーブの一部)のどちらを選択するかは[ツールの調整バー]に表示されているアイコンで変更します。

[選択ペイント]ブラシによる選択。上の囲み内のアイコンで選択単位を切り替え可能

 [選択]メニューにも選択ツールはあります。ここには非常に重要な選択ツールがありますが、次回のお楽しみにしておきましょう。

現時点での問題点

 現時点では以下のような問題があります。

表面メッシュとの衝突判定がない

 [くし]ブラシで毛を梳かしている時に気づいた人もいると思いますが、「v3.3」の時点では、表面のメッシュとの衝突判定がありません。

 髭のような比較的短い物であればそんなに問題にはなりませんが、長い頭髪では不可欠な機能なだけにやはり気になります。

 上記の[パフ]ブラシや、選択機能をうまく使えばどうにかなるかもしれません。

横に貫通した上側のヘアー

物理アニメーションしない

 一応[オブジェクト]-[変換]メニューの[パーティクルシステム]を使用し、パーティクルヘアーに変換すれば利用できなくもありません。

Cyclesでのレンダリングが不完全

 現時点では太さの設定が一定で、例えば小さなサイズのモデルのヘアーでは非常に太い毛になっていまいます。

 これも同様にパーティクルヘアーに変換することで一応利用はできます。

Cyclesで表示してみた例。まるでうどんのよう

 他にも問題点や気を付けるべき点はありますが、そちらはまた次回にて。

終わりに

 今回は「Blender 3.3」で追加された新しいヘアー機能の基本的な操作をご紹介しました。次回はもう少し突っ込んだ内容でお送りする予定です。

 ではまた。