Blender ウォッチング
「Blender 3.3」の新機能ヘアーカーブを使いこなす! 弱点を克服して実用レベルに
2022年9月16日 06:55
本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。
6月8日(GMT)、「Blender 3.3」が公式リリースされました。いつものように、このリリースにも興味深い機能があります。
今回は前回に引き続き、「ヘアーカーブ機能」をもっと深く掘り下げてみようと思います。
Cyclesレンダーでのレンダリングについて
前回、「Cycles」レンダーでは毛が太くなると書きましたが、これは不具合ではなく仕様だそうで、カーブ半径が「0」であるために起こるようです。逆に細すぎて見えなくなることがあるのもこのためです。
解決するには、後述の「ジオメトリノードによる操作」を参照してください。
ヘアーカーブのマテリアルについて
ヘアーカーブでも[Shading]ワークスペースで自然な髪の毛がレンダリング可能な[ヘアーBSDF]ノードが利用できます。ただし「Eevee」レンダーはこのノードに未対応ですので注意してください。
動物の体毛のように、カーブ単位で色を変えることも可能です。
ジオメトリノードによる操作
「カーブオブジェクト」追加時、同時に「ジオメトリノード」も追加されます。ジオメトリノードを利用することで様々なエフェクトが作成できますが、ここでは、前回に上げた問題点の一部を解決することに使用してみます。
「Cycles」でも正常な太さでレンダリングされるようにする
まず、以下の手順で新規にジオメトリノードを作成します。
- [Geometry Nodes]ワークスペース(①)に移動し、[プロパティエディター]の[モディファイアー]プロパティで[モディファイアーを追加](②)から[ジオメトリノード]を追加します。
- [ジオメトリノード]モディファイアーのパネルの[新規](③)をクリックします。
次に、[カーブ半径設定]ノードを追加して毛の太さを調節します。
- [追加](①)-[カーブ]メニューの[カーブ半径設定]ノードを②の位置に挿入し、図のように繋ぎます。
- ③のパネルにて半径を小さい値から適当に試してみてください。
毛が表面に埋もれないようにする
前回書いたように、現時点では表面との衝突判定がないため、髪の毛が埋もれてしまう問題がありましたが、それを回避するジオメトリノードをJohnny Matthews氏が作成されていましたので、それを利用させていただくことにします。
※利用は自己責任の元に行ってくださるようお願いいたします。
ジオメトリノードアセットのダウンロード
こちらから、「公正な価格を設定して下さい」に「0以上」(お金を払っていいと思うならその額)を入力し、[これが欲しいです!]をクリック後、メールアドレスを入力、成功すれば[コンテンツを表示する]→「ダウンロードする」とクリックしてダウンロードします。
ジオメトリノードアセットの導入
[ファイル]-[アペンド]でダウンロードした「HairNodes.blend」を選択し、[NodeTree]内にある[Strands Above Surface]を現在のファイルに追加します。
カーブオブジェクトへのアペンドしたジオメトリノードの設定
「(ヘアー)カーブオブジェクト」を選択(または新規追加)し、[プロパティエディター]の[モディファイアー]プロパティから、[モディファイアーを追加]で[ジオメトリノード]を追加します。
[新規]ボタンの左側にあるアイコンから、アペンドした[Strands Above Surface]を選択します。
パネル内の[Object]フィールドをクリックし、「衝突判定用オブジェクト」を設定します。
[スカルプト]モードに変更し、[くし]ブラシでといてみましょう。うまく表面で止まってくれれば成功です。皮膚からもう少し離したい場合は、同パネル内の[Margin]を増やしてください。
終わりに
今回は新しいヘアーカーブの弱点を補強する方法を模索してみました。将来のリリースでは改善されるとは思いますが、ジオメトリノードモディファイアーによる拡張は覚えていて損はないと思います。
次回は編集のテクニックを中心に解説します。
ではまた。