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NPU対応の「DirectML」が登場 ~CPU統合のAIアクセラレーターで機械学習処理を省電力・高速に

開発者向けプレビュー、まずは新CPU「Intel Core Ultra」内蔵の「Intel AI Boost」で

統合NPU「Intel AI Boost」を搭載した次世代CPU「Intel Core Ultra」

 米Microsoftは2月1日(米国時間)、「Intel AI boost」に対応した「DirectML」を開発者向けにプレビュー公開した。昨年末に予告されたスケジュール通りで、開発が順調であることがうかがえる。

 「Intel AI boost」は、次世代CPU「Intel Core Ultra」に搭載されるNPU(ニューラルプロセッシングユニット)で、機械学習(ML)に関連するワークロードを効率的に処理するための専用アクセラレーターだ。SoCに直接統合されていることもあいまって、従来は外付けのグラフィックカード(GPU)を必要とするような負荷の高いAI演算を低い消費電力で効率よく処理できる。

 一方の「DirectML」は、ハードウェアベンダーが機械学習アクセラレーターを公開するための共通抽象化レイヤーを提供する低レベルAPI。要するに、GPUであっても、「Intel AI boost」のようなNPUであっても、「DirectML」に対応する「DirectX 12」互換であれば、どのデバイスでも機械学習のワークロードを高速化できるようにした仕組みだ。

 「DirectML 1.13.1」と「ONNX Runtime 1.17」のリリースで「Intel AI boost」がサポートされたことにより、Windows環境でNPUアクセラレーションによる機械学習プラットフォームが初めて実現された。この初期リリースはオープンソースモデルを使用し、ローンチパートナーであるSamsungとの緊密なパートナーシップにより開発されたとのこと。今後は開発者からのフィードバックをもとに、不具合の修正や安定性の向上が図られていくことになるだろう。

 なお、「DirectML」でNPUを利用するにあたっての要件は、以下の通り。

  • 「Intel AI boost」を統合した「Intel Core Ultra」搭載のWindows 11デバイス
  • 「DirectML 1.31.1」NuGet パッケージ
  • 「ONNX Runtime 1.17」
  • Intelによる最新のNPUドライバー

 なお、このバージョンはあくまでも開発中のプレビューのため、いくつかの機能制限がある。いずれは緩和される見込みだが、利用の際は注意したい。

  • 「DirectML」でのNPU対応は、今のところ「Intel AI boost」のみ
  • 「DirectML」でのNPU対応は、今のところ機械学習モデルのサブセットにのみ。モデルによってはまったく実行できなかったり、レイテンシーが高かったり、精度が低かったりする場合がある。将来的には改善される見込み
  • 今回の開発者プレビューに選ばれなかったモデルには、安定性や信頼性の問題がある可能性がある。今後対応が拡充される予定

 フィードバックは「GitHub」の「DirectML」リポジトリで受け付けている。