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「Android Studio Iguana」(2023.2.1)が公開 ~デバッグ、設計、ビルドをより洗練

Androidアプリを開発するためのオフィシャル開発環境

「Android Studio Iguana」(2023.2.1)

 米Googleは2月29日(現地時間)、「Android Studio Iguana」(2023.2.1)を安定版としてリリースした。対応OSはWindows/Mac/Linux/Chrome OSで、現在Android開発者向けのサイト「Android Developers」から無償でダウンロード可能。Windows版向けは64bit版のWindows 8以降で利用できる。

 「Android Studio」は、Androidアプリを開発するためのオフィシャル開発環境。各バージョンにはAから順に動物の名前が愛称として付けられているが、本バージョンでは「イグアナ」(Iguana)が採用された。「2023.2」は、ベースとなっているIntelliJ社の開発環境のバージョンを表す。「GitLab」のサポートや「Search Everywhere」を用いたテキスト検索、UIカラーのカスタマイズ改善といった改善が含まれている。

 「Android Studio Iguana」(2023.2.1)では、「App Quality Insights」とバージョン管理システムの連携を強化。リリースビルドがローカルソースコードより数コミット遅れている場合に、「Firebase Crashlytics」クラッシュレポートの行番号が古くなりやすくなり、「App Quality Insights」でクラッシュからコードに正確に特定するのが難しくなるという問題に対処するため、「Android Gradle」プラグインv8.3以降と最新バージョンの「Crashlytics SDK」を用いてアプリをビルドする場合、「Google Play ストア」に公開されるビルドアーティファクトの一部としてAGPに「git」コミット情報が含まれるようになった。クラッシュの原因を追うのが従来より簡単になり、デバッグが容易になる。「Crashlytics」には、よく似たスタックトレースを共有するイベントを問題のバリアントとしてグループ化する機能も追加されている。

 設計面では、「Jetpack Compose」にUIチェックモードが追加されたのが目玉。このモードを有効にすると「Compose UI」が自動的に監査され、さまざまな画面サイズでの見栄えの問題や、アクセシビリティ上の懸念点がリストアップされる。また、「Compose Previews」にプログレッシブレンダリングが実装され、読み込み時間を短縮してデザインを試行錯誤できるようになった。

「Jetpack Compose」にUIチェックモードが追加
さまざまな画面サイズでの見栄えの問題や、アクセシビリティ上の懸念点がリストアップされる

 さらに、テスト関連ではベースラインプロファイルのジェネレーターテンプレートが追加。Androidで初めてアプリを実行すると、OSがJust-In-Timeコンパイルを実行する関係でアプリの起動時間が遅く見えることがある。この対策としてベースラインプロファイルを生成してアプリの起動時間、スクロール、アプリのナビゲーション速度などを改善する方法が効果的だが、テンプレートの追加でこの作業が簡素化される。「Gradle」コマンドで自動化することも可能。「Espresso Device API」を使用した構成変更に対するテストや、最新の「Pixel 8」「Pixel 8 Pro」デバイスに対応した「Android Emulator 34.2」なども、アプリのテストに役立つだろう。

最新の「Pixel 8」「Pixel 8 Pro」デバイスに対応した「Android Emulator 34.2」

 最後に、ビルド関係ではTOMLベースの「Gradle」バージョンカタログがサポートされた。新しいプロジェクトでは依存関係の管理にこのバージョンカタログが自動的に使用されるため、依存関係の解決が容易になる。

 また、「Google Play SDK Index」が統合され、「Google Play」ポリシーの違反が事前に警告されるようになった。サポートされていない「compileSdk」バージョンのプロジェクトを開発すると、古いバージョンの「Android Studio」で新しい「Android SDK」が正しく処理されず、予期せぬエラーが発生する問題へ対処するため、プロジェクトの意図した「compileSdk」が公式にサポートされていない新しいバージョン用である場合に明示的に警告したり、移行を促す機能も導入されている。

 なお、執筆時現在、日本語サイトからダウンロードできるバージョンは1つ前の「Android Studio Hedgehog」になっているようだ。英語サイトからのダウンロードをお勧めする。

ソフトウェア情報

「Android Studio」Windows向け安定版
【著作権者】
Google LLC
【対応OS】
64bit版のWindows 8以降
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
2023.2.1(24/02/29)