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Windows 11が「MIDI 2.0」にフル対応 ~「Windows MIDI Services」をプレビュー開始

「MIDI 1.0」のモダン実装も含んだ新しいMIDIスタックとアプリ開発SDK

Microsoft、「Windows 11 Insider Preview」Build 27788をCanaryチャネルで公開

 米Microsoftは2月5日(現地時間)、「Windows 11 Insider Preview」Build 27788をCanaryチャネルで公開した。「MIDI 2.0」標準をフルサポートした「Windows MIDI Services」の初期バージョンがパブリックプレビューされている。

 「MIDI」(Musical Instrument Digital Interface)は1983年に初めてリリースされた標準規格で、現在ではほぼすべての電子音楽機器でサポートされている。音符情報の記録や再生、ステージの照明やエフェクトのコントロール、ミキサーの同期といったさまざまな用途に活用されており、厳密にはオーディオとは関係のない規格ながら、現代の音楽には欠かせない。最新の「MIDI 2.0」規格は2020年に策定された新しいMIDIで、双方向通信、高解像度、プロパティ交換などの機能を追加された。「Android 13」以降でもサポートされている(仮想デバイスは「Android 15」で対応)。

 今回導入された「Windows MIDI Services」は「MIDI 2.0」だけでなく、「MIDI 1.0」のモダンな実装も含んだ新しいMIDIスタックだ。主なメリットは以下の通り。

  • オープンソース
  • ARM64を含む64bit OS対応
  • MIDI 2.0規格のフルサポート
  • MIDI 1.0とMIDI 2.0の両方をフルサポートする高速USB MIDIドライバー
  • すべてのエンドポイントがマルチクライアント。複数のアプリが同時にデバイスへアクセスできる
  • 高速な転送。タイミングの改善、ジッターの減少
  • SDKを用いたアプリであればタイムスタンプ付きの送信メッセージが利用可能
  • MIDI 1.0とMIDI 2.0の自動変換
  • デバイスの通知・更新・削除が改善。デバイスメタデータも多く得られる
  • WinMM(MME)MIDI 1.0 APIとの下位互換性。アプリ側の変更なしにMIDI 1.0機能レベルでMIDI 2.0デバイスにアクセス。将来的にはWinRT MIDI 1.0にも対応

 対応するアプリを開発するためのソフトウェア開発キット「Windows MIDI Services App SDK」は、「GitHub」のリリースページから無償でダウンロード可能。このSDKには以下のツールが含まれる。

  • Windows MIDI Services Console(midi.exe):メッセージの送信、MIDIの状態のチェック、受信メッセージのモニター、システムエクスクルーシブの送信などに使えるコンソールツール
  • MIDI Diagnostics(mididiag.exe):PC上のMIDIの状態に関する情報を提供するテクニカルサポートツール
  • MIDI Kernel Streaming Endpoint Info(midiksinfo.exe):KS(カーネルストリーミング)エンドポイントに関する情報を提供するハードウェア開発者向けのツール
  • MIDI multicast dynamic DNS Info(midimdnsinfo.exe):来るべきNetwork MIDI 2.0トランスポートをサポートするツール

 ただし、SDKはまだ署名されていないため、ダウンロードしてインストールする際に警告が表示される点には注意したい。

 そのほかにも、本ビルドではスマートフォン(iOS/Android)で行っていた「OneDrive」ファイルの編集の続きをPCで継続するのに便利なレジューム通知機能などが展開される。