ニュース
垂直タブ、AI統合の新しいサイドバーを搭載した「Firefox 136」が正式リリース
Linux向けARM64版も追加。セキュリティ関連の修正は15件
2025年3月5日 08:15
Mozillaは3月4日(米国時間)、デスクトップ向け「Firefox」の最新版v136.0をリリースチャネルで公開した。「Firefox 136」の目玉は、新しくなったサイドバーと垂直タブレイアウトだ。
AIも統合した新しいサイドバー
新しいサイドバーは、設定画面(about:preferences)の[一般]-[ブラウザーレイアウト]セクションで有効化できる(既定は無効)。このサイドバーには「Firefox ツール」として以下の機能が統合されている。サイドバーは一度有効化してしまえば、ツールバー左端のボタンで簡単に開閉が可能だ。
- AI チャットボット
- 他の端末からのタブ
- 履歴
- ブックマーク(既定無効)
なかでも注目は、以前からテストされていた「AI チャットボット」だろう。以下のAIプロバイダーから好みのものを選んで、選択したテキストを要約させたり、雑談をしながらアイデア出し(ブレインストーミング)したり、書いたテキストを校正してもらったりできる。
- Anthropic Claude
- ChatGPT
- Google Gemini
- HuggingChat
- Le Chat Mistral
垂直タブレイアウト
さらに、サイドバーでは垂直タブレイアウトを有効化することも可能。これは「Microsoft Edge」などでもおなじみの機能で、大量のタブを開いてブラウジングする際の一覧性と操作性に優れる。
垂直タブレイアウトを有効化すると、アドレスバーやツールバーはタイトルバーに統合される。さらに、サイドバー設定の[タブとサイドバーを隠す]オプションを有効化すれば、垂直タブパネルをサイドバーごと非表示にして、ユーザーインターフェイスを極限までシンプルにすることが可能。サイドバー・垂直タブパネルへアクセスしたい場合は、タイトルバー(に統合されたツールバー)左端のボタンを押して展開するとよい。
その他の改善
そのほかにも、「Firefox 136」では以下の改善が行われた。
- 閲覧データとCookieの消去ダイアログで、閲覧履歴とは別に保存したフォーム情報だけを消去できるように
- 「Smartblock Embeds」の採用で、強化型トラッキング防止(ETP)機能の厳格モードとプライベートブラウジングモードで特定のソーシャルメディア埋め込みをブロック対象外に。Webページを壊さずにプライバシーも尊重できる
- HTTPを自動でHTTPSへアップグレードして、より安全な接続を確保する「HTTPSファースト」。セキュアな接続に失敗した場合は潔くHTTPにフォールバックされる
- macOSで一部のバックグラウンドタブが消費電力の低いコアに移動。電力効率が向上
- macOSでHEVCビデオコンテンツのハードウェアアクセラレーションによる再生がサポート(Windowsは「Firefox 134」から対応)
- LinuxでAMD GPUのハードウェアビデオデコーディングが有効に
- LinuxでARM64(AArch64)版を追加。APTとtarballsによるインストールオプションが追加された。「Flatpak」サポートも間もなく実施
- 新規タブページの天気予報がメキシコ、ブラジル、アルゼンチン、チリを含む追加地域に拡大(プログレッシブロールアウト)
- イギリスで住所自動入力が可能に
セキュリティ関連の修正
セキュリティ関連の修正は、15件。深刻度の内訳はMozillaの基準で4段階中上から2番目の「High」が8件、3番目の「Moderate」が5件、最低の「Low」が2件となっている。サンドボックスの迂回やタップ操作の乗っ取り、アプリのクラッシュ、領域外アクセス、任意コードの実行などにつながる可能性があり、できるだけ早いアップデートが必要だ。
デスクトップ版「Firefox」はWindows/Mac/Linuxなどに対応する寄付歓迎のフリーソフトで、現在MozillaのWebサイトからダウンロード可能。Windows版はWindows 10/11に対応しており、窓の杜ライブラリからもダウンロードできる。