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LinuxなどでWindowsアプリを動かす「Wine」がメジャーアップデート、ゲーム性能が向上、新しい「WoW64」も完成

「Wine 11.0」、6,300以上の変更と600件以上の不具合修正を反映

「Wine 11.0」がリリース

 「Wine」の最新版「Wine 11.0」が、1月13日に公開された。毎年1回実施されているメジャーバージョンアップとなる。

 「Wine」(「Wine Is Not an Emulator」の頭文字とされる)は、Linux環境やMac環境などでWindowsのGUIアプリケーションを直接実行できる互換レイヤー。仮想マシンやエミュレーターのようにWindowsの内部ロジックをシミュレートするのではなく、WindowsのAPIコールをPOSIXコールにオンザフライで変換するため、パフォーマンスやメモリーのペナルティが少ないのが特徴。人気のWindowsアプリケーションをLinuxデスクトップへきれいに統合できる。ライセンスは「LGPLv2.1」。

 今回リリースされた「Wine 11.0」では、この1年間に寄せられた6,300以上の変更と600件以上の不具合修正が反映された。主なハイライトは、「NTSYNC」ドライバーへの対応と新しい「WoW64」アーキテクチャーの完成だ。

 「NTSYNC」は、「Windows NT」の同期プリミティブ(並行処理を行うにあたり共有資源の利用を適切に管理する仕組み)をLinuxカーネル内で直接シミュレーションするためのカーネルモジュール。Linux環境でWindowsのアプリやゲームを実行する際のボトルネックが解消され、パフォーマンスが大幅に向上すると期待されている。

 一方の「WoW64」は、64bit環境で32bitアプリ(Win32)を動作させるためのWindows互換レイヤー。「Wine」では「WoW64」対応を改善するため、「Wine 9.0」から新しいアーキテクチャーを実験導入していたが、これが「Wine 11.0」で一応の完成を見ることになる。新しい「WoW64」アーキテクチャーでは16bitアプリの実行も可能だ。

 そのほかにも、以下の改善が行われている。

  • NTリパースポイントが実装
  • 「syscall」番号をハードコードするアプリに対応するための変更
  • EGL/OpenGLバックエンドを拡張し、「X11」ではデフォルトに。GLXバックエンドは非推奨化
  • 「Vulkan 1.4.335」をサポート
  • 「Wayland」ドライバーでクリップボードや入力メソッド対応を改善
  • 「Direct3D」でH.264ハードウェアデコードに対応(「Vulkan」経由)。
  • 「BlueZ」を用いたBluetooth デバイスの検出・ペアリングに対応
  • 「TWAIN 2.0」APIを搭載。64bitアプリでスキャンが可能に
  • マルチメディア対応の改善
  • 「Unicode 17.0」対応