Windows Insider Preview

起動不能OSを自動修復する「迅速なマシンの回復」は将来「Windows 11 Home」でも有効に

自分でトラブルシューティングできないユーザーにとって心強い存在に?

 このコーナーでは、「Windows 11 Insider Preview」ビルドでテストされている最新のOS機能を紹介します。ただし、テストの結果、紹介した機能が製品版OSに搭載されないこともあります。あらかじめご留意ください。

「迅速なマシンの回復」(Quick machine recovery:QMR)と呼ばれるリカバリー機能が導入へ

 先日Betaチャネルでリリースされた「Windows 11 Insider Preview」Build 26120.3653(KB5053658)には、「迅速なマシンの回復」(Quick machine recovery:QMR)というリカバリー機能が導入されている。この機能は何らかの理由でOSが起動不能になったとき、その障害を検出してOSの修復を自動で行い、ダウンタイムを最小限に抑えるというものだ。

 この機能は「Ignite 2024」で発表された「Windows Resiliency Initiative」という取り組みの一環で、Windowsのセキュリティと回復力の改善を目指したもの。この取り組みには、OSを稼働させたままセキュリティパッチを充てる仕組み「Windows Hotpatch」なども含まれる。

 Microsoftによると、「迅速なマシンの回復」は具体的に以下のプロセスで行われるという。

  1. デバイスをリカバリーモードにする:「Windows 11 バージョン 24H2」デバイスでOSの正常な起動を妨げる重大な障害が発生した場合、Windows回復環境(Windows RE)に入る
  2. ネットワーク接続の確立:イーサネットまたはWi-Fi保護アクセス(WPA)を利用してネットワークに接続し、デバイスがMicrosoftの回復サービスと通信できるようにする
  3. インシデント分析:Microsoft側でデバイスのクラッシュデータ分析を実施。広範な障害が検出された場合、即応チームが修復方法を開発・検証・準備する
  4. 改善策の展開:デバイスに設定された更新ポリシーに従って「Windows Update」経由で改善策を展開

 「迅速なマシンの回復」は、最新バージョンの「Windows RE」を搭載した「Windows 11 バージョン 24H2」デバイスで利用可能になる。最終的には「Windows 11 Home」デバイスで既定有効になるという。自分でトラブルシューティングできないユーザーにとって、心強い存在となるだろう。

Windows回復環境(Windows RE)に含まれる「迅速なマシンの回復」(Quick machine recovery)
問題なく起動するデバイスなので解決策は提示されなかったが、OSが起動不能になるようなクリティカルな問題に遭遇した際は、ここで修復方法が案内されるはずだ

 なお、「Windows 11 Pro」および「Windows 11 Enterprise」を実行しているデバイスでは、ローカル管理者とIT管理者の両方がこの機能をコントロールできる。診断情報が外部に送信されることを嫌う場合は、無効化できるというわけだ。

 「迅速なマシンの回復」には、実際に障害が発生していなくても機能を試行できるテストモードも搭載されており、管理者権限の「コマンド プロンプト」から利用できる。以下のコマンドを実行し、OSを再起動するとテストモードで「迅速なマシンの回復」を利用可能だ。詳しい情報については、「迅速なマシンの回復」の解説ページを参照してほしい。

::テストモードを有効にする
reagentc.exe /SetRecoveryTestmode

::次回起動時にWindows回復環境を起動するようにWindowsを構成する
reagentc.exe /BootToRe