レビュー

「Windows バックアップ」使ってる? OS標準搭載の超簡単バックアップツール

利用の基本的な流れ、メリットとデメリット

新たにOSへ加えられた「Windows バックアップ」アプリ

 「Windows バックアップ」は、OS標準の新しいバックアップアプリだ。2023年8月の非セキュリティ更新プログラムを適用したWindows 10/11に含まれており、インストール不要で利用できる。

 「Windows バックアップ」は、利用中のデバイスのデータや設定をバックアップし、新しいデバイスをセットアップする際に復元できるようにするアプリ。今使っているデバイスをクリーンアップして、OSを再インストールする際にも利用できる。以前の環境を簡単に復元できるのが魅力だ。

 「Windows バックアップ」アプリを利用するには、 個人の「Microsoft アカウント」(MSA) が必要(「*@outlook.com」、「*@live.com」などのアカウント)。職場や会社のアカウント(Active Directory、Microsoft Entra ID)では利用できないので注意したい。

 本ソフトでバックアップできる項目は、現在のところ以下の4つとなっている。フォルダーのバックアップには「OneDrive」が用いられるため、「Microsoft 365」サブスクリプションの購入がおすすめだ。「Office」アプリが不要の場合は、「OneDrive」100GBプランの後継「Microsoft 365 Basic」(年額2,244円、税込み)がもっとも安い。

  • フォルダー:デスクトップ、ドキュメント、写真を「OneDrive」に保存する
  • アプリ:インストールされたアプリと固定(ピン留め)されたアプリの設定を記憶する
  • 設定:OSの設定(アクセシビリティ、言語設定と辞書、個人用設定など)を保存する
  • 資格情報:Wi-Fiネットワークとパスワード

 バックアップ項目を確認して[バックアップ]ボタンを押せば、あとは待つだけで、基本的にユーザー側での操作は不要。資格情報(ログイン)周りのトラブルで、再試行を求められることがある程度だ。

バックアップ項目を確認して[バックアップ]ボタンを押せば、基本的にあとは待つだけだ

 「Windows バックアップ」アプリはシステムに統合されているので、Windows 11の場合、バックアップの状況は「設定」アプリの[アカウント]-[Windows バックアップ]ページ(ms-settings:backup)でも確認できる。

Windows 11の場合、バックアップの状況は「設定」アプリの[アカウント]-[Windows バックアップ]ページ(ms-settings:backup)でも確認できる

 ちなみに、インストールされたアプリと固定されたアプリの設定が一部バックアップされないことがあるのは、アプリ側が未対応であるからだ。アプリ開発者側の対応を待つしかない。

 バックアップデータの復元は、OSの初回セットアップ画面(OOBE)で行う。バックアップしたときと同じ「Microsoft アカウント」でサインインし、デバイスをインターネットに接続すれば、データの復元が提案される。あとは案内に従って操作を進めればよい。

バックアップデータの復元は、OSの初回セットアップ画面(OOBE)で

 本ソフトのメリットをまとめると、以下のようになるだろう。

  • Microsoftが公式で提供しているという安心感
  • システムに統合されており、操作が簡単

 一方で、以下のような要素を期待していると裏切られることになる。とくに「OneDrive」の利用が前提となっている点は、Microsoft系のサービスで統一しているエントリーユーザーならいざ知らず、それ以外の、とくにパワーユーザーにとってネックとなりそうだ。

 以下のようなユーザーは別のバックアップツールが必要となる。

  • デスクトップ、ドキュメント、写真など、一般的にユーザーデータが保管されるフォルダー(Known Folders)に保管されているデータもバックアップしたい
  • 「OneDrive」以外のクラウドストレージや、外付けHDDなどのローカルストレージを利用したい
  • 「Microsoft アカウント」を利用せずにバックアップしたい
  • アプリの再インストールとセットアップまで面倒を見てほしい

【無料】同期・バックアップのソフト一覧 - 窓の杜

 ちなみに、「Windows バックアップ」アプリはシステムコンポーネントの一部となっているため、 現在のところ単体でアンインストールすることはできない 。ただし、「Microsoft Entra ID」や「Active Directory」を利用しているユーザーにとってはまったく不要な機能であるため、非表示にする機能が将来の「Windows Update」でリリースされる予定だ。「Pro」以上のエディションで利用できるようになるだろう。