レビュー

Android端末の画面をPCで表示・操作できるGUIアプリ「Escrcpy」、複数台の操作やバッチ処理も可能

Windows/Mac/Linuxで手軽に利用可能、「scrcpy」+「Electron」

「Escrcpy」v1.32.2

 「Escrcpy」は、AndroidデバイスのスクリーンをPCから表示・操作できるようにするアプリ。「GitHub」でホストされているオープンソースプロジェクトで、ライセンスは「Apache-2.0」(寄付歓迎)。「GitHub」のリリースページから、Windows/Mac/Linux向けバイナリを無償でダウンロードできる。

 本ソフトは、USB/Wi-Fi接続されたAndroidデバイスの画面をPCからリモート表示・操作できるコマンドライン(CLI)ツールscrcpyを、Web技術(JavaScript、HTML、CSS)をベースにしたGUIアプリフレームワーク「Electron」でGUI化したツールだ。

 似たようなコンセプトのアプリに「QtScrcpy」があるが、こちらはGUIアプリフレームワークに「Qt」を採用しているのが異なる点だ。

 「Escrcpy」には「scrcpy」が内蔵されているので、「scrcpy」を別途インストールする必要はない。操作対象のAndroidデバイスは、少なくとも「API 21」(Android 5.0)への対応が必要(音声転送を利用する際は「API 30」(Android 11)以降)。Androidデバイスを接続する際は、事前に以下の作業を行っておく必要がある。

  • 開発者向けオプション(開発者モード)を有効にする。「設定」アプリを開き、[デバイス情報]または[電話について]ページにある「ビルド番号」を7回連続でタップ
  • [開発者向けオプション]設定ページで「USB デバッグ」を有効にする
  • (ワイヤレス デバッグを行う場合は)[開発者向けオプション]設定ページで「ワイヤレス デバッグ」を有効にする

 もっとも簡単なのはUSBケーブルを介した有線接続で、とくに何もしなくてもAndroidデバイスが「Escrcpy」のデバイスリストに表示される。リストビューの[Control]欄にある[Connect]ボタンを押せば、別ウィンドウにデバイスのスクリーンが表示される。初回接続時にAndroidデバイス側にデバッグ認証のプロンプトが表示されたら、[許可]をタップするのを忘れないようにしよう。

[開発者向けオプション]設定ページで「USB デバッグ」を有効に

 PCとAndroidデバイスが同じネットワークにある場合は、Wi-Fiを通じた無線接続(ワイヤレスデバッグ)も利用できる(初回利用時はファイヤーウォールの許可が必要)。「Escrcpy」側でQRコードを表示して、Androidデバイスの[開発者向けオプション]設定ページからQRコードによるデバイスのペア設定を行うのが簡単だろう。IPアドレスとポートを指定した接続も行える。

QRコードによるデバイスのペア設定

 本ソフトの魅力の一つは、なんといってもGUIである点だ。「scrcpy」より気軽に利用できる。リストビュー右端の矢印でコマンドバーを展開すれば、電源操作、ボリューム調整、画面の回転、スクリーンショットの撮影、ファイルへのアクセス(ファイルマネージャー)などが利用できる。[Control]欄の[Extra]メニューからはスクリーンやカメラの録画、オーディオの録音なども可能(出力ファイルはデスクトップに保存される)。

デバイスリストビュー。ツールチップでデバイスの状態も確認可能
[Control]欄の[Extra]メニューからはスクリーンやカメラの録画、オーディオの録音なども可能(本ソフトはダークモードにも対応している)

 また、複数Androidデバイスのスクリーンをあらかじめ指定したレイアウトで表示したり、カスタムスクリプトをバッチ実行したり、タスクをスケジューリングしたり、「Gnirehtet」でPCのインターネット接続をAndroidデバイスに使わせたり(リバーステザリング)することも可能で、大量のデバイスを管理・自動化するのにも向いている。

レイアウトの設定。ツールバーのコマンドから利用できる

ソフトウェア情報

「Escrcpy」
【著作権者】
viarotel-org
【対応OS】
Windows/Mac/Linux(編集部にてWindows 11で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】
1.32.2(25/09/29)