Blender ウォッチング

画像生成AI「Stable Diffusion」を「Blender」のテクスチャに作成に利用できる「Dream Textures」を導入してみた

 本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。

自動生成したテクスチャを使用した作例(背景除く)。「rice ball」や「noodle」でいいテクスチャができたので、ざるそば定食に決定

 今回は最近あちこちで名前を見るようになった「Stable Diffusion」を活用してテクスチャを自動生成する「Dream Textures」をご紹介します。

動作環境

 「CUDA対応のビデオカード」もしくは「Apple Silicon」(Mac)、さらに以下のリソースが消費できる環境が必要になると思われます(ディスクスペース以外は足りなくてもなんとかなるかもしれません)。

  • 【ディスクスペース】「ユーザーフォルダー」のあるドライブに10GB以上
  • 【RAM】「Blender」起動後のアドオン初回起動時と[Full Precision]オプション使用切り替え時、一時的に8GB程度消費
  • 【VRAM】6.3GB以上(512×512画像作成時)

 筆者のテスト環境は以下の通りです。解説はWindows版「Blender」v3.3にて行いました。

  • 【CPU】Intel Core i7-2600
  • 【OS】Windows 10 Pro
  • 【GPU】NVIDIA GeForce RTX 2060 12GB
  • 【メモリ】16GB

 ちなみに最初の画像の制作中は主に「1,024×1,024」で作成していましたが、VRAMが11.6GBほど消費され、「Cycles」レンダーがGPUで起動できませんでした。

アドオン導入の注意

 「Blender」は新バージョンの初回実行時、「ユーザーフォルダー」のアドオンを新バージョンのユーザーフォルダーにもコピーします。

 そのため、もし単なるテスト用として利用したい時は、デフォルトの場所ではなく、ハードディスクなどの別の場所に「Blender」のZip(Portable)版を展開し、展開したフォルダー内の[3.3](もしくはバージョン名)のフォルダーに[config]フォルダーを作成した後、この「Blender」にアドオンをインストールすることを推奨します。

アドオンのインストール

 GitHubの「Releases」ページから「dream_textures-win32-cuda.7z」をダウンロード後、7-zipなどを使用し、適当なフォルダーに展開します。

Releases · carson-katri/dream-textures

 そして[ファイル]メニューの[プリファレンス...]から[プリファレンス]ダイアログを開き、[アドオン]タブから右上の[インストール...]ボタンで、展開したフォルダー内の「dream_textures-win32-cuda.zip」を指定しインストールします。

[ファイル]メニューの[プリファレンス...]から[プリファレンス]ダイアログを開き、[アドオン](①)タブから右上の[インストール...](②)で「dream_textures-win32-cuda.zip」を指定

 インストールが終わったら、パネル左端のアイコンをクリックしてパネルを開き、隣のチェックボタンをクリックして有効化します。

パネル左端のアイコンをクリックしてパネルを開き、隣のチェックボタンをクリックして有効化

学習データのダウンロード

 次に、AIが使う学習データをダウンロードしないといけません。これは配布を行っている他のサイトへ登録し、ダウンロードを行います。なお、メールアドレスと名前が作者に渡りますので、自己責任でお願いします。

 アドオンパネル内の[Download Weights from Hugging Face]をクリックすると、Webブラウザーで配布サイトの「Hugging Face」の学習データダウンロードページが開かれます。「Hugging Face」で学習データをダウンロードするにはアカウントの登録が必要です。詳しい登録方法は以下の記事を参考にしてください。

アドオンパネル内の[Download Weights from Hugging Face]をクリックすると、配布サイトに移動

 「Hugging Face」で学習データのファイル「sd-v1-4.ckpt」(4GB)をダウンロードしたら(要アカウント登録)、プリファレンスのアドオンパネル内の[Open Target Directory]ボタンをクリックし、そこにダウンロードしたファイルをコピーします。

 最後にこのファイルを「model.ckpt」にリネームし、「Blender」を再起動すればやっと準備OKです。

[Open Target Directory]ボタンをクリックし、「sd-v1-4.ckpt」をコピー後、「model.ckpt」にリネーム

 すべてが完了すれば、アドオンパネル内に下図のような表示が出ます。

 お疲れさまでした。

設定が完了すれば、アドオンパネルに完了のメッセージが表示
うまく完了しない場合

 Windows環境でのファイルパスの長さ制限に引っかかり、ライブラリが読み込めていない可能性があります。「レジストリ エディター」を使用し、ロングパス対応に設定してください。ロングパス未対応のアプリがあって設定できない場合は、前述のように、新たにBlenderを浅いパスの場所にインストールし、そこからアドオンを再度インストールし直してみてください。

 [ファイル名を指定して実行]ダイアログなどから「レジストリ エディター」を起動し、「HKEY_LOCAL_MACHINE¥SYSTEM¥CurrentControlSet¥Control¥FileSystem」の「LongPathsEnabled」を「1」にして[OK]をクリック後、PCを再起動します。

「HKEY_LOCAL_MACHINE¥SYSTEM¥CurrentControlSet¥Control¥FileSystem」(①、②)の「LongPathsEnabled」(③)を「1」(④)にしてOK(⑤)をクリック後、PCを再起動

終わりに

 実は入稿直前になって新バージョンが登場したため、若干飛ばし気味になってしまいました。次回は実際の使用方法と、注意点などについて解説したいと思います。

ではまた。