Blender ウォッチング

人型3Dキャラをパラメーター操作で作れるアドオン「MPFB2」の最新アルファ版を試す

アルファ3の本体とアセットパックの大幅なオーバーホールをチェック

 本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。

MPFB2とCC0のアセットパックによる作例(杖のマテリアルと衣服の編集あり)。背景はPolyhavenより

 今回は約1年前にご紹介した、「MPFB2」の「アルファ3」が7月14日に公開されましたので、変更点などについてご紹介したいと思います。
 なお、本記事では「Blender 3.6.1」を使用しています。

「MPFB2」とは

 MPFBとは「MakeHuman Plugin For Blender」の略で、人体モデル生成アプリケーションの「MakeHuman」の「Blender」プラグイン版です。「MPFB2」はそのMPFBの新バージョンで、現在ようやく「アルファ3」まで来ました。

ダウンロードとインストール

アドオンのダウンロード

 ダウンロードはダウンロードページの「releases」ディレクトリからリリースビルドをダウンロードします。下図のリスト内の「mpfb-2.0-a3.zip」をクリックしてください。※

今では割と珍しくなったディレクトリ表示から「mpfb-2.0-a3.zip」をダウンロード
※前回アルファ2で利用した「plugins」ディレクトリにもナイトリービルド(毎晩更新される最新版)があるのですが、本記事ではリリースビルドを採用しています。

 そして「Blender」の[プリファレンス]ダイアログを開き、[アドオン](①)タブから右上の[インストール...](②)で「mpfb-2.0-a3.zip」を指定しインストールし、パネル開閉ボタンとチェックマーク(③)をクリックして有効化します。

[プリファレンス]ダイアログにて[アドオン](①)タブから右上の[インストール...](②)で「mpfb-2.0-a3.zip」を指定してインストール後、パネル開閉ボタンとチェックマーク(③)をクリックして有効化

 インストール後は、デフォルトでは「%APPDATA%Blender FoundationBlender3.6」に設定やアドオンが保存される「MPFB」フォルダーが作成されます。

 必要があればアセットや設定を保存する作業用のフォルダーのフルパスを指定し、「Blender」を再起動してください(詳細については以前の記事をご覧ください)。

 筆者は以前のバージョンで設定したフォルダーとは別のフォルダーを作成し、以前のフォルダー内の「config」フォルダー内の「プリセット名.json」ファイルだけ、新規フォルダーの「config」フォルダーにコピーし、後述のアセットパックは新たにダウンロード・インストールし直しました。

アセットパックについて

 アセットパックのダウンロードはこちらから行います。各アセットパックのページへのリンクをクリックし、さらに各ページ内のリンクからダウンロードします。ここではパックの中身がサムネイル付きで確認できます。

 必要最小限のアセットが揃った「MakeHuman system assets (267MB)」だけでもOKです。

アセットパックのダウンロードページから各アセットパックのページに移動し、その中のリンクからダウンロード。内容を確認することも可能

 後述しますが、アセットパックにも変更や追加があるため、以前のファイルの単なるコピーではなく、再ダウンロードすることをお勧めします。

 インストールや使用方法の詳細については、以前のインストール記事をお読みください。

アルファ3での変更点

 導入もできたところで(?)、以前のアルファ2との変更点を見ていきましょう。

 なお、サブリグなど一部機能については確認ができなかったのでスキップしています。

アセットライブラリのビューが大幅強化

 アセットを複数列表示できるようになり、アセットの視認性が改善されました。

 他にも各アセットのサムネイル画像も更新され、アセットパックによる検索もできるようになりました。

アセットが複数列表示できるように。他にもアセットパックによる検索が可能になり、サムネイル画像も更新されている

アセットパックの追加とCC0アセットの増加

 前述のダウンロードページにもありますが、いくつかの衣類のアセットがパックにまとめられ、わかりやすくなりました。また、新しく「CC0」(クリエイティブコモンズライセンス0)のアセットが増え、利用の幅が広がりました。

アセットがわかりやすくまとめられ、CC0のアセットも増加。左側のペインでは、各アセットページに直接ジャンプ可能

新しいスキンシェーダー

 従来のスキンシェーダーに加え、パラメーターによるコントロールが容易なスキンシェーダーマテリアルが追加されました。

 使用するには、[Library Settings]-[スキン]-[Skin type]を「Multilayered (skin model v2)」にする必要があります。

新しいスキンシェーダーマテリアルを使用するには、[Library Settings]-[スキン]-[Skin type]を「Multilayered (skin model v2)」にする必要がある。ヘアーアセットはElvaerwyn氏作の「elvs_witchy_lil_bob」(hair02_ccby.zip

 以前のマテリアルは部位ごとにスロットが分かれていましたが、このマテリアルは一つにすべてまとめられています。そのため一見複雑に見えますが、部位ごとにパラメーターがまとめられたノードがあるため、アクセスしやすくなっています。

 また、左側には「Master Color Settings」があり、色を設定し、「~ Override」を上げるとテクスチャカラーを置き換えることができるようになります。

新しいマテリアルのノードツリーの一部(クリックで全体図)。部位ごとにノードが縦に並べられており、左側には「Master Color Settings」がある

身体モデルのパラメーター変更にアセットが自動的に追従

 [Model]パネル(見当たらない場合は体をクリック)内の[設定]-[Auto refit assets]をONにすると、体形を変更した時にアセットが自動的に追従するようになります。

[Model]-[設定]-[Auto refit assets]をONにして、体形の変化に衣服を追従させた例。下品だがご容赦を

「Mixamo」対応リグが追加

 まだ準備段階ですが、キャラクターアニメーションのライブラリサイト、「Mixamo」へのアップロード・ダウンロードに対応しました。使用リグを「Mixamo」にする必要があります。

Early Experiments with Mixamo

 使用方法を簡単に書くと、Mixamoサイト(要登録)で出力した「FBX」ファイルのインポートし、インポートで作成されたアーマチュアとMPFBのアーマチュアを選択して[処理リスト]-[アニメーション]-[Map mixamo]-[Snap to mixamo]を実行します。

 詳しくは上記の公式動画をご覧ください。日本語環境では「Operations」が「処理リスト」にあたります。

最初の画像での使用例。Mixamoサイトで出力した「FBX」ファイルをインポートして作成されたアーマチュアと、MPFBアーマチュアを選択し[処理リスト]-[アニメーション]-[Map mixamo]-[Snap to mixamo]を実行することでアニメーションを利用

終わりに

 正直なところ、1年経ってまだアルファステージなのか……と、あまり期待もしないで触り始めましたが、予想以上のパワーアップに驚きました。

 今回ご紹介した機能以外にも、「Inkレイヤー」などの機能があります。チェックしてみてください。

 それでは。