Blender ウォッチング

パラメーター操作だけで人間を作れる「Make Human」の「Blender」アドオン版「MPFB2」

最近公開されたアルファ2を試してみた

 本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。

様々な年代のボディ

 今回は以前の記事で取り上げた、「Make Human」の Blender アドオン版、「MPFB2」をご紹介します。

 このアドオン版は以前のインポーターアドオンとは別の物で、わざわざインポートせずともBlenderの中で直接、人体モデルを作成・調整できます。他にも「Rigify」アドオンとの連携など、スタンドアローン版Make Human(以下「MH」)にはない機能も追加されています。

 最近「アルファ2」になり、現時点での完成度などを調査してみました。

ダウンロードとインストール

 まずはダウンロードです。Make Human の公式サイトにはアルファ版の記事がありますが若干古いので、下のリンク先から、「mpfb2-(日付).zip」をダウンロードします。

Index of /makehuman/plugins/

 本記事では「mpfb2-20220823.zip」を使用しています。

ダウンロードページ

 いつものように[ファイル]-[プリファレンス...]メニューで[プリファレンス]ダイアログを開き、[アドオン](①)タブから右上の[インストール...](②)でZIPファイルを指定しインストールします。

[プリファレンス]ダイアログ

 インストール後少し待つと、自動的に検索窓にアドオン名が設定され、アドオン設定パネルが表示されます。パネル左上をチェックボックスで有効化し、三角アイコンをクリックしてパネルを展開します。

アドオンパネルの赤い部分をクリック

 パネルの下半分には、パスを入力するフィールドがあります。

  • 「Path to MPFB user data」は、設定やアセットデータが入る場所です。データフォルダーを分けておきたい場合は設定してしまいましょう。
  • 「Globally log all uncaught exceptions」はそのままでOKです。
  • 「Path to MakeHuman user data」は「MH」を使用していた場合のユーザーデータのパスを指定します。
  • [Autodiscover path to MakeHuman user data]は、チェックすることで、「Path to MakeHuman user data」が空欄の場合に自動的に検索するらしいのですが、MHの「Home Folder」をデフォルト以外のフォルダーに設定していた場合は検索に失敗するので、自分で設定しないといけないようです。

 設定後はプリファレンスを保存後し、Blenderを終了・再起動してください。

パスのフィールドとプリファレンス保存

まずは作成してみよう

 デフォルトの立方体を削除し、[3Dビューポート]にマウスカーソルを置いて[N]キーを押すか、右上の[≺]をクリックして[サイドバー]を表示後、[MPFBv2.0-a2](執筆時点)と表示されているタブをクリックします。

[3Dビューポート]右上の[≺](①)をクリックでサイドバーを開き、[MPFBv2.0-a2]タブ(②)をクリック
[New human](①)→[From scratch](②)とクリックしてパネルを開き、一番下の[Create human](③)をクリック

 一番上の[New human]をクリック後、[From scratch](一から作成)をクリックして開き、一番下の[Create human]をクリックすれば作成できます。

 スクリーン中心に小さくモデルが出てきます。ホイールでズームアップしましょう。ちなみにこのモデルは身長が1.66mになっています([サイドバー]-[アイテム]タブ-[寸法]で確認)

身長が1.66mでサイドバーから確認できる([サイドバー]-[アイテム]タブ-[寸法])

カスタマイズしてみよう

 サイドバーを再び[MPFBv2.0-a2]タブに戻し、次は少し下の[Model]パネルをクリックします。

 非常に長いサブパネルのリストが表示されて一瞬めまいを感じるかもしれませんが、部位別に分かれているだけです。

サイドバーを[MPFBv2.0-a2]タブに戻し、少し下の[Model]パネルをクリック(図はパネルの一部)

 phenotype(表現タイプ)パネルをクリックしてみましょう。

 ここでは基本的な体型などを調整できます。最初の[From scratch]パネル内にあった物とほぼ同じですが、パラメーターが数字になっています。

Macrodetails(全体的な特徴)

[Gender]

 「0.0」で女性、「1.0」で男性になります。身長には影響しません。

[経過時間](Age)

 「0.0」で赤ちゃん、[0.1875]で子供、[0.5]で25歳の若者、[1.0]で老人になります。身長に影響します。

 ただし執筆段階(MPFB v2.0 alpha2)では、赤ちゃんに変形するモーフターゲットがないため作成できません。変形の年代の境界の一つである「0.1875」未満では、どの種族でも強制的に代替のターゲットモデルになるようです。

 ちなみに[From scratch]でも「Baby」で作成するとエラーが表示され、なぜか髪の長い男性モデルが作成されます。

[経過時間]設定による違い

[ウェイト](体重)と[高さ]

 体型を変えます。具体的な数値が出ないので、現状ではMHに比べて退化しています(もしくは未実装)。とはいえ、体重なんて通常は使用しないし、身長も前述通り[アイテム]タブから確認できるのであまり問題はないと思います。

 [高さ]は他の項目にもありますが、他のパラメーターに影響されるので、一番最後に設定することをお勧めします。

[Proportions](プロポーション)

 「0.0」でいわゆるオッサン体型、「1.0」で逆三角形型になります。

[proportions]設定による違い

Breast shape

 胸の形状を設定できます。身長には影響しません。こちらでは男性の胸も大きくできます。

Race(種族)

 [African](アフリカ系)、[Asian](アジア系)、[Caucasian](コーカソイド系)からミックスすることができます。身長に影響します。

 MHではこのパラメーターは全部で「1.0」になるように自動調整されますが、このUIでは制限はないため、例えばすべての値を「1.0」にするとそれぞれの特徴がぶつかって人間に見えなくなってしまいます。

その他のパラメーター

 その他の部位別のパラメーターはMH同様の図が表示されていますので、以前の記事を参照してみてください。なおデフォルトボディには男性器はないため[genitals]は動作しません(これはMHも同様)。

[arms]サブパネルの設定

終わりに

 次回はアセットの導入と質感付けについて解説します。

 ではまた。