Blender ウォッチング

お手軽人体モデリングツール「MakeHuman」をフル活用! アセットと「Blender」連携

豊富な衣装や髪型をダウンロードして「Blender」で自在にポージング

 本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。

 今回は人体をモデリングするツール「MakeHuman」について、「アセット」を使用する方法と、「Blender」との連携についてご紹介します。

「MakeHuman」のモデルを「Blender」内で表示

アセットを使って3Dモデルのバリエーションを増やそう!

 デフォルトの「MakeHuman」では、パーツなどのバリエーションに限りがありますが、「アセット」による補強が可能です。アセットを入手するには、一番右端の[Community]タブをクリックします。

右端の[Community]タブをクリック

Synchronize(同期)で使えるアセットのリストをダウンロード

 アセットを入手するには、まずデータベースの同期が必要です。

 右下にある[get screenshots]にチェックを入れ、その下の[Synchronize]ボタンをクリックすれば、データベースとスクリーンショットが同期されます。

 あまり同期速度が出ないため、余裕のある時に行う方がいいでしょう。2回目以降は差分だけなので、比較的に短時間で済みます。

 終わるとダイアログが表示されます。

右下の[get screenshots]にチェックを入れ、[Synchronize]ボタンで同期。時間に余裕のある時に行うこと

 同期できれば、次は左側の[Filter assets]から絞り込みの条件を設定し、左下の[Update list]ボタンをクリックすれば、アセットのリストが中央に現れます。

「Filter assets」から条件を設定し、[Update list]ボタンをクリック

 リストの各行をクリックすると、右上に簡単な説明と(利用可能なら)サムネイルが表示されます。[Show/Hide details]ボタンで詳細表示の切り替え、[Download screenshot]で(利用可能なら)大きなスクリーンショットのダウンロード、[Download]ボタンでそのアセットがダウンロードできます。なお、アセットの一括ダウンロードはできません。

 なお、現時点ではスクリーンショットが用意されていなかったり、エラーで使用できない物があります。この辺は無償ベースで行っている限界だと割り切るしかありません。

[Show details]ボタン(図では[Hide detail]ボタン)で表示された詳細

欲しいアセットを探すにはタイプで絞り込み

 [Asset type]で指定できるタイプは、ウィンドウ上部のタブで分けると次のように分類できます。

[モデル]タブに属する物

  • target(ターゲット):スライダーで設定するパーツです。
  • model:完成品の3Dモデル。[ファイル]タブ-[ロード]サブタブから使用します。大抵は他にもアセットが必要で、何が必要かが記載されています。

[ジオメトリ]タブに属する物

  • clothes(衣服)
  • hair(髪)
  • theeth(歯)
  • eyebrows(まゆ)
  • eyelashes(まつげ)
  • proxy(プロキシ。モデル構造用)

[マテリアル]タブに属する物

  • skin(肌)
  • material(マテリアル):目や衣服などの質感

 これらには、特定の「model」用のデータが混じっていますので、[Asset subtype]で[for core asset]を選択してフィルタリングするといいでしょう。

[material]と[for core asset]によるフィルタリング

[ポーズ/アニメーション]タブに属する物

  • pose(ポーズ)
  • rig(リグ):複数のボーンの動きを連動させるための仕組み
  • expression(表情)

 ポーズ適用時は編集中のモデルの高さと身長がイコールではなくなりますので注意が必要です。

ライセンスに注意!

 MakeHumanで作成された画像や、エクスポートしたデータは基本的には制約のない「CC0」ですが、もし他のライセンスを使用したアセットが使用されている場合、そちらに従う必要があります。
 例えば「CC-BY」の場合、作者のクレジットの表示が必要になります。

・@@link|https://github.com/makehumancommunity/makehuman/blob/master/LICENSE.md|公式のライセンス解説(英文)|

リスト内のライセンス表記。他にも制約の厳しい「AGPL」があるが、ごく少数

Blenderとの連携で自由な編集とポージングが可能に

 前回述べましたが、「MakeHuman」は「Blender」と強力な連携が可能です。ここでは「Windows 10」と「Blender 3.0」を例に解説しますが、「Blender 2.93」などでも利用可能です。

プラグインの導入

 プラグインは「MakeHuman」のダウンロードファイル「makehuman-community-1.2.0-windows.zip」を展開した、「MakeHuman」のインストーラーと同じフォルダー内にある「addons_for_blender_28x」フォルダーにあります。

「makehuman-community-1.2.0-windows」フォルダー内の「addons_for_blender_28x」フォルダー

 「Blender」内の[編集]-[プリファレンス...]メニューで[プリファレンス]画面を開き、[アドオン]タブから右上の[インストール...]をクリックし、上記のフォルダーから「makehuman-plugin-for-blender.zip」を指定します。

囲み部分をクリックし「makehuman-plugin-for-blender.zip」を指定

 その後[プリファレンス]画面の[アドオン]タブで[MakeHuman: MH Community Plug-in]チェックボックスから有効化します。

囲み部分をクリックして有効化

UIの表示とインポート

 インターフェイスは[N]キーで表示できる3Dビューポートの「サイドバー」の[MakeHuman]タブから使用します。

 [Import human]ボタンをクリックすると、同じマシンのポートを使用し、MakeHumanと直接やり取りします。

[Import human]ボタンによるインポート。バストが少し残念なことに

 デフォルトでは、同じマシン(「127.0.0.1」)の内部ポート「12345」を使用しますが、「Blender」内では[設定]タブの一番下にある[Connect to MH]パネル、「MakeHuman」内では[Socket]タブの[Server]パネル内の「Advanced Setings」からホストとポート番号を変更できます。

「Blender」側のアドオンの[設定]タブ-[Connect to MH]パネル内のホストとポート設定

ヒント

  1. 「MakeHuman」側の[ジオメトリー]タブ-[トポロジー]でモデル構造をローポリモデルなどに変更できます。
  2. [ポーズ/アニメーション]タブから「リグ」(体にポーズを取らせるための機構)が変更可能です。
  3. 「Blender」側のアドオンの[メッシュ]タブ-[IK Rig]設定から、ポージング補助用の「コンストレイント」を追加できます。
[IK Rig]でコンストレイントを追加し、ポージングしている例

終わりに

 「アセット」の使用と「Blender」との連携で、「MakeHuman」の可能性は大幅に広がります。他にも紹介しきれなかった機能がありますので、色々試してみてください。