Blender ウォッチング

樹木の3Dモデルを自動生成! パラメーター調整だけで細部までリアルな木が生えてくる

 本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。

 今回は樹木を自動生成するアドオン「Modular Tree」をご紹介します。

 このアドオンはMaxime氏による、ノードを使用し木を作成するアドオンで、去年冬にC++とジオメトリノードで書き直されて高速化しており、一部機能がまだ実装されていないものの「Blender 3.0」でも利用できます。

「Modular Tree」により自動生成された樹木のレンダリング例

アドオンのダウンロードとインストール

アドオンのダウンロード

 ダウンロードは下記リンク先から行います。

Releases · MaximeHerpin/modular_tree · GitHub

 「Blender」のアドオンは基本的にPythonスクリプトで作成されている物が多いのですが、このアドオンは上記のようにC++で書かれた部分があり、OS毎にダウンロードするファイルが違いますので注意してください。

「Assets」内の使用しているOSに対応したZIPファイルをクリックしてダウンロード

アドオンのインストール

 「Blender」内の[編集]メニューの[プリファレンス...]でプリファレンスを開き、[アドオン]タブから右上の[インストール...]をクリック、先ほどダウンロードしたZIPファイルを指定します。

囲み部分をクリックし、ZIPファイルを指定

 その後[プリファレンス]ダイアログの[アドオン]タブに現れた[Generic: Modular Tree]をチェックして有効化します。

囲み部分をクリックして有効化

幹と枝のノードをつないで樹木を生やす

 このアドオンは専用の「ノードエディター」を使用します。

ノードの新規追加

 まず邪魔な立方体を[Del]キーで消し、デフォルトの「Layout」ワークスペースの下側にある[タイムライン]エディターのヘッダー左端に表示されている時計型アイコンをクリックし、メニューから[Mtree]を選択します。

囲み部分をクリックしてメニューから[Mtree]に変更

 [タイムライン]エディターだった部分が[Mtree]エディターに変わるので、上のエディターとの境界をドラッグして上に広げ、ヘッダー中央の[新規]ボタンをクリックします。

上のエディターとの境界をドラッグして上に広げ、ヘッダー中央の[新規]ボタンをクリック

 [追加]-[Tree Mesher]メニューから[Tree Mesher]ノードを追加して配置します。表示が小さ過ぎて見づらい場合はマウスホイールで拡大してください。

[追加]-[Tree Mesher]メニューで[Tree Mesher]ノードを追加して配置

 同様に[追加]メニューから[Trunk]ノードと[Branch]ノードを1つずつ追加して右側に並べ、各ソケットをドラッグして繋げます。

このようになればOK

 そして[Tree Mesher]ノードの[Generate Tree]ボタンをクリックすると、「tree」という名前のメッシュオブジェクトが追加され、上側の[3Dビューポート]に木が表示されます。他にもこのボタンは生成されたオブジェクトへの変更がうまく反映されない時にも使用します。

[Tree Mesher]ノードの[Generate Tree]ボタンをクリック

幹の設定

 幹の形状の設定は[Trunk]ノードで行います。各パラメーターは以下のような役割をもっています。

[Trunk]ノードのパラメーターがもつ役割

 なお、幹自体の解像度を減らしてモデルを軽量化したい場合は[Tree Mesher]ノードの[Radial Resolution]を減らしてください。

枝の設定

 枝の形状の設定は[Branches]ノードで行います。各パラメーターの役割は以下の通りです(「シード」は[Trunk]ノードと同じなので省略しています)。

[Branches]ノードのパラメーターがもつ役割

葉は[モディファイアー]プロパティで茂らせる

 冬のシーンではこれで十分ですが、他の季節では木には葉っぱがないと感じが出ないですよね。

 「葉」の追加も[Tree Mesher]ノードの[Add leaves]ボタンから行うことができます。葉のオブジェクトは「twig」オブジェクトとして「tree」オブジェクトとは別に作成されます。

[Tree Mesher]ノードの[Add leaves]ボタンを押すと葉が表示される

葉の設定について

 葉の設定はノードではなく[モディファイアー]プロパティで行います。各パラメーターの役割は以下の通りです。

[モディファイアー]プロパティ内のパネル

 また「ジオメトリノード」による編集でもカスタマイズは可能です。

マテリアルについては未実装の部分も

 マテリアル(質感)は未実装の部分があるため、自分で用意したり編集したりする必要があります。今後の機能追加が待たれるところです。

幹のマテリアルの設定

 現時点では幹のマテリアルは付いていないため、自分で用意する必要があります。UV 座標は作成されますので、下記のような素材サイトからダウンロードするのがいいでしょう。

マテリアルとテクスチャを追加した幹の作例

葉のマテリアルとテクスチャについて

 一方、葉(「Twig」オブジェクト)のマテリアルとテクスチャは、スクリプトから自動的に設定され、「.blend」ファイル保存時に一緒に保存されます。

 ただし執筆時点では種類は1つのみで、葉のモデルを変更するには、形状を自分で編集する必要があります。

葉モデルの表示

終わりに

 今回は新しくなった「Modular Tree」をご紹介しました。リライトされたばかりで一部の機能は未完成ではありますが、使っていて楽しいアドオンです。機能が復活するのが待ち遠しいですね。

 なお開発の進捗状況については、下記リンク先(Mtree 4.0.0リリース以降)で確認できます。テクニックもいくつかありますのでチェックしてみてください。