いまさら聞けないExcelの使い方講座

【Excel】2段階の分け方でデータをグラフで俯瞰するには? 分類と内訳を表す二重ドーナツグラフを作る方法

「二重」のドーナツグラフは元の表を整えるのがポイント

省スペースで情報量の多い二重のドーナツグラフ

 全体を100%として内訳の割合を表現する場合に円グラフを使うことが多いでしょう。元の表を選択して「挿入」するだけなので簡単ですよね。類似するグラフとして、真ん中が空洞の「ドーナツグラフ」を利用することもありますね。作成方法は円グラフと同様に作成するグラフの一覧から「ドーナツ」を選択すればOKです。

 ドーナツグラフは意図する情報を配置しやすく、わかりやすくなるメリットがあります。以下は、ある製品の実店舗とECサイトでの販売状況をグラフ化したものです。実店舗とECサイト共に製品Cの販売数が多く、実店舗よりもECサイトで購入する人が多いことがわかります。

ある製品の実店舗とECサイトでの販売状況を3つのドーナツグラフで表現しました

 しかし、この3つのドーナツグラフには弱点があります。例えば製品Aに注目すると、ECサイトで33%、実数は215、実店舗で34%、実数は143です。実際にはECサイトで売れているのですが、ぱっと見では実店舗で売れているような印象を与えます。

 ここで表現したい情報は販売数の割合なので、全体を俯瞰できるように3つのグラフをまとめたいですね。そこで使いたいのが「二重」のドーナツグラフ。以下のようにまとめることが可能です。スペースを節約して、情報もまとまるなら便利ですよね。難しそうですが、元の表の構造に気を付ければすぐに作成できます。

先ほどの3つのドーナツグラフを1つにまとめて表現しました。実店舗とECサイトの割合、それぞれの製品の内訳がわかりやすくなりました

内側と外側を意識して表を作成する

 「二重」のドーナツグラフの内側と外側を意識して表を作成するのがポイントです。表の左端に系列名を用意しておきます。系列名のすぐ右側(B列)の値が内側のデータとして扱われます。その右側(C列)の値は外側のデータになります。

B列の内訳(①)が内側、C列の合計(②)が外側のデータになります

 内側(B列)と外側(C列)のデータは同一列ではなく、ずらして入力することを覚えておきましょう。内訳と合計を逆にすれば、内側と外側が入れ替わりますが、大きい区切りを外側に配置するのが一般的です。入れ替えの方法は後述します。

表全体を選択して、[挿入]タブ(③)の[円またはドーナツグラフの挿入](④)-[ドーナツ](⑤)の順に選択します
二重のドーナツグラフが挿入されました

グラフのデザインを整える

 グラフのデザインを整えましょう。操作しやすいようにグラフのサイズを調整しておきます。まずはドーナツグラフの任意の系列をクリックして[系列のオプション]から穴のサイズを調整します。0%にすれば、内側のドーナツグラフは円グラフに変わります。

 ここではデータラベルとして[分類名][値][パーセンテージ]を表示し、製品ごとに色を合わせます。ドーナツグラフ以外でも共通ですが、グラフ全体、データラベル、データ要素など、選択している対象によって、作業パネルが切り替わります。操作対象の項目が見当たらない場合は、正しく選択できているかを確認しましょう。

グラフの選択時に表示され得るハンドルをドラッグしてサイズを調整しておきます。グラフ上の「グラフエリア」と表示されるところをダブルクリック(⑥)します。画面右側に作業パネルが表示されます
内側・外側のいずれかのデータ系列をクリック(⑦)すると作業パネルの表示が「データ系列の書式設定」と表示(⑧)されます。[系列のオプション](⑨)をクリックして、[ドーナツの穴の大きさ]を調整します(⑩)。ここでは「60%」としました
グラフエリアの右側にマウスポインターを移動して[グラフ要素](⑪)をクリックします。[データラベル]-[その他のオプション](⑫)を選択します
作業パネルの表示が「データラベルの書式設定」に切り替わり(⑬)、内側のドーナツグラフのデータラベルが選択されます。[ラベルオプション](⑭)をクリックします。ボタンの下の[ラベルオプション](⑮)をクリックして、[分類名][値][パーセンテージ]にチェックを付けます(⑯)。改行文字で[(改行)](⑰)を選択します
外側のドーナツグラフのデータラベルを選択します(⑱)。先ほどと同様に[分類名][値][パーセンテージ]にチェックを付けます(⑲)。改行文字で[(改行)](⑳)を選択します
続けてデータ要素の色を変更します。外側のデータ要素(実店舗)を選択します(㉑)。作業パネルが「データ要素の書式設定」に切り替わります(㉒)。任意の[色]を選択します(㉓)
同様に内側のデータ要素の色を設定します(㉔)。ここでは製品A、B、Cでそれぞれ同じ色を設定しました
グラフタイトルの内容と位置を調整して、凡例を非表示にしました

内側と外側のドーナツを入れ替える

 系列の順番を変更することで、二重のドーナツグラフの内側と外側を入れ替えが可能です。グラフを選択して[データソースの選択]ダイアログボックスを呼び出します。

グラフを選択して[グラフのデザイン]タブ(㉕)にある[データの選択](㉖)をクリックします
[データソースの選択]ダイアログボックスが表示されました。[凡例項目(系列)]から内側のデータ(ここでは内訳)を選択(㉗)して[下へ移動](㉘)をクリックします
合計と内訳の順番が入れ替わりました(㉙)。[OK](㉚)をクリックします
ドーナツグラフの内側と外側が入れ替わりました

三重以上のドーナツグラフはオススメしない

 元の表を整えておけば二重のドーナツグラフも簡単ですよね。同様に三重、四重のドーナツグラフも作成可能ですが、情報量が多くなりすぎるためおすすめしません。データラベルが小さくなってしまう弊害もあります。3つ以上の系列を比較したい時は、100%積み上げ棒グラフで比較するのがスマートでしょう。