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プレジデンテ! 南の島の国家統治シミュレーション「Tropico 6」

陰謀渦巻く世界の中、小国の大統領は信じる正義を貫くか、悪に手を染めるのか?

「Tropico 6」のタイトル画面
「Tropico 6」のタイトル画面

 今回紹介するのは、南の島国を舞台にした国家運営シミュレーション「Tropico 6」(トロピコ 6)。「PC Game Pass」での配信当初は日本語に非対応だったが、本稿執筆時点では字幕やUIが日本語に対応している。

 プレイヤーは熱帯気候の群島でなる小国のエル・プレジデンテ(大統領)となり、国の運営を一手に引き受ける。国民の住環境を整え、仕事を用意し、快適な暮らしを提供して、国を大きくしていくのが基本的な目的だ。

 具体的には、国の予算を割いて住居を作り、農業や工業、観光業などの職場を整備する。同時に国の予算が破綻しないよう、国内消費に加えて外国との貿易も行う。国民生活に必要なものを用意しながら、外国に売れる産業も整え、必要なら輸入もする。

 産業には適した土地がある。農場で作る作物は選べるが、場所によって生産性が大きく変わる。また石炭のような資源は特定の場所でしか取れない。それぞれに適した場所はヒートマップのような色分けで確認できるので、どこに何を置くと効率がいいのかも考える必要がある。

国民が幸せに暮らせる国を作る。まずは住む家が必要
国民が幸せに暮らせる国を作る。まずは住む家が必要
働く場所も用意する。場所によって生産性が変わるので要検討
働く場所も用意する。場所によって生産性が変わるので要検討
作ったものは港から輸出もできる。国の重要な収入源だ
作ったものは港から輸出もできる。国の重要な収入源だ

 ここまでの内容であればただの都市開発シミュレーションだが、本作はそこに留まらない。まず大統領は選挙で選ばれるため、住民からの支持が得られないと選挙に負けて失脚してしまう。ゲームを続けるためには選挙にも勝ち続けねばならない。

 国民は大統領を支持するかどうかを判断する際、派閥の影響を受ける。特定の派閥の進言を取り入れていくと、対する派閥からは嫌われる。さらに国民の不満が募ると反体制派も増え、ゲリラと化すこともある。国民生活を豊かにしつつ、あらゆる派閥のご機嫌を伺って政策を練る必要がある。

プレジデンテの選挙演説。公約を守るかどうかもプレイヤー次第
プレジデンテの選挙演説。公約を守るかどうかもプレイヤー次第

 突発的な事象も発生する。島国だけあって海賊に狙われることがあり、建設した施設を破壊されてしまう。何もしなければ一方的に搾取されてしまうので、適切に防衛施設を用意して国を守ることも考えねばならない。ちなみに国として海賊行為を働き、海外から資源や人を持ってくることも可能だ。

周囲が海なので海賊がやってくる。撃退するには防衛施設が必要
周囲が海なので海賊がやってくる。撃退するには防衛施設が必要

 外国との関係も重要になる。貿易相手として、よりうまみのある取り引きを探すのはもちろん、時代ごとに世界の趨勢を見極めて国の立場を決める必要がある。例えば世界大戦時代には、連合国と枢軸国(すうじくこく)のどちらにおもねる政策を取るかも迫られる。小国であるがゆえの苦労が垣間見える。

割のいい貿易が国の経済を支える
割のいい貿易が国の経済を支える
大国の動向を見誤れば国の存亡にかかわる
大国の動向を見誤れば国の存亡にかかわる

 本作はとにかくやれることが多い。そのため大変丁寧なチュートリアルが用意されており、全て終わらせるのに2~3時間かかる大ボリュームとなっている。ストーリー要素もあり、南国の陽気な世界観もきっちり表現されており、学びながらもしっかり楽しめる内容だ。それでも、説明されるのは本作にある要素の主だった部分だけだ。

 ゲーム本編としては、定められた目的の達成を目指すミッションが用意されている。NPCからの要望に答えつつ、自分なりに国を豊かにしていきながら、目的達成に必要な手順を探る。最初は1つのミッションしか選べないが、クリアすると選べるミッションが増えていく。難易度選択もできるので、チュートリアルの続きのような感覚で遊べる。

ミッションでは国内外からさまざまな要求が突きつけられる。達成すれば報酬もある
ミッションでは国内外からさまざまな要求が突きつけられる。達成すれば報酬もある

 ほかには、地形やルールなどを自由に設定して遊べるサンドボックスモードも用意されている。ミッションをプレイしてゲーム内容が把握できたら、自分なりのユニークな国を作ってみるのもいいだろう。貿易を駆使して特定の産業に偏った国にするのも、国民を完全に管理した独裁国家にするのも、プレイヤーの自由だ。

 「トロピコ」という名前から連想されるとおり、本作では南国の島々の自然豊かな風景が広がる。音楽もラテン系の陽気なBGMで、とにかく明るいノリでゲームが展開される。ただ実際には、プロパガンダに言論統制、反乱分子の暗殺、大国の核実験場に島1つを提供などなど、国というよりマフィアの運営かと思うようなドス黒い行為も満載だ。

 本作をプレイすると、国家運営は綺麗事だけではいかない、ということを思い知らされる。プレジデンテがいかに清廉潔白であろうとしても、その考えに反発する国民は必ずいるし、大国は小国の事情などお構いなしだ。それでも自分の信じる正義を貫き通すため苦労を重ねるか、あるいは妥協してうまく立ち回るか、完全なる独裁者となって国を支配するか。今の時代に不謹慎と言われる内容かもしれないが、国家というもののありようを一端でも理解するきっかけとして、注目して欲しい作品だ。

小国は大国におもねる姿勢が大事。どこまで許容するかはプレジデンテの考えひとつ……
小国は大国におもねる姿勢が大事。どこまで許容するかはプレジデンテの考えひとつ……

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