どれ使う?プログラミング教育ツール

各種センサーなどを備えた教育用マイクロコンピューター「micro:bit」のプログラミングはワクワク感倍増!

無料の「MakeCodeエディター」でプログラミングしてみよう

 2020年度からついに小学校でプログラミング教育が実施されます。これに伴い家庭でも手軽にプログラミングを学習できるツールが多数登場していますが、どんなツールを使えばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか? そこで本連載では家庭でのプログラミング教育にピッタリなお勧めツールを紹介していきたいと思います。

 子ども向けのプログラミングというと、タブレット端末やパソコンの画面内で作業をして画面内で動く作品を作るものだというイメージがあるかもしれませんが、画面の外のもの動かせる教材もあります。今回は、子どもがプログラミング学習に使うハードとしては安価な部類の「micro:bit(マイクロビット)」を紹介します。プログラミングに使うアプリ「MakeCodeエディター」は無料で、子ども向けとして一般的なブロック型のビジュアルプログラミングなので安心です。また、アプリ内にシミュレーターが備わっているので、「micro:bit」を持っていなくてもプログラムを作成して擬似的に試すことができます。

「micro:bit」って何?

 「micro:bit」は、教育用のマイクロコンピューターで、小さな基板ひとつ分のサイズの中に、さまざまな機能が詰まっています。ボタン、25個並んだLED、光・温度センサー、加速度計、コンパス等の機能があり、Bluetoothでの通信も可能です。日本では(株)スイッチサイエンスおよび(株)スイッチエデュケーションが2,000円(税別)で販売しています。プログラミング用のアプリは無料でWebブラウザーから利用できます。

「micro:bit」の表と裏。サイズは5cm×4cm程度。表はボタンとLEDですっきりしていて裏にするとUSBや電源用のコネクタやセンサー類が見える

 見た目はただの基板ですが、例えばこれを何か工作に仕込んでLED部分だけ見せたり、腕時計のように身につけて動きに応じて何か起こるようにするなどして工夫すると印象が変わり、さまざまな仕掛けを作って遊ぶことができます。

筆者が作成した「micro:bit」を2つ使った例。「micro:bit」をはめた腕でパンチをすると、パンチスピードに応じて、紙筒に仕込んだ方の「micro:bit」が反応して顔アイコンが出る

 また、拡張性が高く、別売りのモジュール等を追加すればモーターなどその他の機能を連動させることもできます。ただし拡張すると問題が発生した時の原因の特定が煩雑になるので、最初はシンプルに、1つの「micro:bit」で、拡張なしで試せることから始めるのがおすすめです。それだけでも十分に楽しめます。

「micro:bit」なしで簡単なプログラムを試す

 早速プログラミング用のアプリ「MakeCodeエディター」を使ってみましょう。「micro:bit」のWebサイトで、上部のナビゲーションから[プログラムしましょう]に進み、表示されたページで[MakeCodeエディター]の[プログラムしましょう]ボタンからプログラム作成の[ホーム]画面に入ります。

「micro:bit」のWebサイトからプログラム作成画面に入れる

 [ホーム]画面で[新しいプロジェクト]をクリックするとプログラミング画面が開きます。プログラミング画面の左側には「micro:bit」本体のシミュレーター、真ん中にプログラム用のブロック、右側にはプログラミングエリアがあります。

プログラム作成画面の[ホーム]。新しいプロジェクトの作成はここから行う。チュートリアルや作例なども多数掲載されている
プログラム画面。ここでプログラムの作成とシミュレーションを行う

 プログラミングエリアには、初めからヒントとして“最初だけ”ブロックと“ずっと”ブロックが配置されていますが、いつでも追加できるので削除してしまいましょう。プログラム用ブロックのエリアにドラッグするとゴミ箱マークが出て削除できます。

 それでは、早速簡単なプログラムを作ってみましょう。プログラム用ブロックの[入力]カテゴリーから[ボタンAが押されたとき]をプログラミングエリアにドラッグします。さらに、[基本]カテゴリーから[アイコンを表示]をドラッグします。[ボタンAが押されたとき]の間にはまるように[アイコンを表示]ブロックを入れます。アイコンの種類はドロップダウンメニューで好きなものを選べます。

ボタンAが押されたときにハート型のアイコンを表示するプログラムが作成されたところ

 機能するかどうかシミュレーターで試してみましょう。左側に表示されている「micro:bit」のAボタンをマウスでクリックすると、LED部分にハートマークが表示されることがわかります。

Aボタン部分をクリックすると、シミュレーターで「micro:bit」の動作を確認できる

 さらに、Bボタンが押されたら表示を消すというプログラムを追加すれば、ふたつのボタンでアイコンをつけたり消したりすることができます。

Bボタンを押したときの動作をプログラムに追加した

 これだけでは用途がイメージできないかもしれませんが、例えば、Aボタンを押したときのプログラムを、ランダムな1-6までの数字が表示されるという内容に変えれば、電子サイコロになります。また、アイコンを表示する条件を、Aボタンを押すのではなく別のことに変えれば、何か面白いことができそうですね。

 ここまでは、「micro:bit」本体がなくても、アプリのシミュレーターだけでできてしまいました。次回後編では、実際に「micro:bit」をつないでみましょう。