どれ使う?プログラミング教育ツール

教育用マイクロコンピューター「micro:bit」で歩数計を作ってみる ~休校中でもプログラミングを楽しんで身体を動かそう

 2020年度からついに小学校でプログラミング教育が実施されます。これに伴い家庭でも手軽にプログラミングを学習できるツールが多数登場していますが、どんなツールを使えばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか? そこで本連載では家庭でのプログラミング教育にピッタリなお勧めツールを紹介していきたいと思います。

 全国的に学校が休校となり、子供たちが時間と体力とエネルギーを持て余している中、何か子供と一緒にできる面白そうなことを探しているる保護者の皆さんも多いことでしょう。今回は以前紹介した「micro:bit」を使って、プログラミングをしてから体を動かす遊びに使えるカウンターを作ってみましょう。「micro:bit」を所有していないと実際のカウンターを作ることはできませんが、プログラミングのアプリは無料なので、画面内のシミュレーターでプログラムを試すところまでは誰でもできます。

公式サイトの作例を参考に“Step counter(歩数計)”を作ろう!

 子供向けプログラミング教材は、公式サイトにサンプルプログラムやチュートリアルが掲載されていることが多くとても便利です。「micro:bit」の場合も、公式サイトの“Projects”コーナーに作例が掲載されています。この中から“Step counter(歩数計)”をプログラミングしてみましょう。このページは英語表記(原稿執筆時点で)ですが、プログラム用ブロックは日本語で示されています。

「micro:bit」公式ウェブサイトの“Projects”コーナー
“Step counter(歩数計)”の作例ページ

 「micro:bit」には加速度を検知するセンサーが入っているので、「micro:bit」の動きに応じて何かが起きるプログラムを作ることができます。LED画面には数字やアルファベットを表示できます。そこで、「micro:bit」がゆれるたびに、LED画面に表示される数字が1から順に増えていくというプログラムを作って“Step counter(歩数計)”にします。

 最初に「micro:bit」のプログラミングアプリである「MakeCode for micro:bit」を開いておきましょう。

変数を作ってカウンターをゼロにセット

 まずは、カウンターの数字を管理するために“変数”を作ります。“変数”は点数やカウンターのように変化する値を入れておく入れ物です。[変数]カテゴリで[変数を追加する…]をクリックすると変数に好きな名前をつけられるので、作例通り、“steps”と名前をつけます。下の図を参考にしてください。

[変数]カテゴリで[変数を追加する…]をクリック
任意の名前をつける
作成した変数(ここでは“steps”)を使えるようになった

 プログラム編集エリアには、初期状態で[最初だけ]ブロックが配置されています。そこに、[変数“steps”を“0”にする]ブロックを入れます。これで、「micro:bit」の電源を入れるたびにカウンターが0にセットされます。

変数“steps”を0に設定するプログラム。プログラム編集エリアに使わないブロックがあったら削除しておく

加速度を扱うのがとてもラクなブロック類

 加速度は、値を数字で扱うこともできますが、もっとラクができるように“ゆさぶられた”“落とした”“左に傾けた”などの状態を検知するプログラムブロックが用意されています。[入力]カテゴリから[“ゆさぶられた”の時]ブロックを選びます。選択肢にはたくさんの状態が用意されていてとても便利です。

“ゆさぶられた”以外にもさまざまな状態が用意されている

 [“ゆさぶられた”の時]ブロックの間に[変数“steps”を“1”だけ増やす][数を表示“steps”]を入れればプログラムは完成です。下の図を参考にしてください。とても簡単ですね。

完成したプログラム。ゆさぶられる度に変数“steps”を1増やし、その値をLED画面に表示する。画面左側のシミュレーターで「SHAKE」をクリックすれば動作を確認できる

「micro:bit」を身につけて動き回ってカウンターの数値を上げよう!

 完成したプログラムは、[ダウンロード]ボタンでパソコンにダウンロードします。USBケーブルでパソコンから「micro:bit」にプログラムファイルを転送したら、「micro:bit」をケーブルから外し、手に持って振ってみましょう。振るたびに数字が増えていくのが確認できます。二桁になると、数字が電光表示のように横にスクロールしながら表示されます。「micro:bit」をパソコンから外した時は電池が必要なので気をつけてください。

 下の写真の「micro:bit」は、バングルセットとして販売されているものです。ボタン電池で使う薄い電池モジュールを「micro:bit」に重ねてネジ止めし、マジックテープを通して腕にはめています。

バングルセットは、「micro:bit」をネジ止めできる電池モジュールにマジックテープが通せるようになっている
腕にはめたところ。足首に巻くのも楽しい

 腕につけたり足につけたりして動き回ると数字が増えていきます。例えば30秒でいくつまでカウンターを上げられるか競うなどすると、楽しく運動できそうですね。家の中でプログラミングも運動も両方とも楽しんでください。

発展させてみよう

 公式サイトの“Step counter(歩数計)”のチュートリアルには発展系として「カウンターをリセットするボタンを作ってみよう」と書かれています。試しに、Aボタンを押してカウンターを0にするプログラムを作ってみました。

ボタンAがおされたら、変数“steps”を0にして、0になったことのフィードバックとしてLED画面に0と表示させる

 オリジナルで何を作るか思いつかなくても、こうして作例やチュートリアルを活用して少しアレンジするだけで、十分楽しめます。実は、作例ページから完成したプログラムのダウンロードもできます。自分でプログラムせずにとりあえず動かしてみることもできますので、自分にあったやり方で活用してみましょう。