どれ使う?プログラミング教育ツール

マイコンボード「micro:bit」のログを取ってワンランク上のプログラミング学習を!

 マイコンボードタイプのプログラミング学習用ツールでよく名前の上がる「micro:bit」。これまでいろいろな使い方を紹介してきましたが、意外と知られていないかもしれない便利機能を今回は紹介しましょう。「micro:bit」の明るさや温度、マイクなどのセンサーの値をリアルタイムでグラフ表示したり、ログとして記録してダウンロードしたりすることができるのです。

センサーの値がリアルタイムで記録されている

センサーの値を記録に残したい!

 「micro:bit」で明るさなどのセンサーの値を表示する一番簡単な方法は、「micro:bit」のLEDに数字で表示することですが、一覧性がなく、履歴が残らずけっこう不便です。センサーの値を記録したりリアルタイムで可視化するには別の方法があります。

 まず、「micro:bit」のプログラミングに使う「MakeCode」を「Google Chrome」などWebUSBが使えるWebブラウザーで開き、USBケーブルでパソコンと「micro:bit」をつなぎます。WebUSBで接続するための条件や手順、ファームウェアの確認方法などはこちらの記事にまとめてあるので参考にしてください。

 プログラムで使用するのは、[高度なブロック]-[シリアル通信]カテゴリの[シリアル通信 名前と数値を書き出す "x" = "0"]ブロックです。

[高度なブロック]カテゴリーをクリックするとさらにいろいろなブロックが表示される

 このブロックを使って次の図の通りプログラムします。「micro:bit」の新型モデルVersion2にはマイクがついているので、今回はマイクが取得する音の大きさを記録します。なお、旧型モデルの場合マイクはついていませんが、明るさや温度のセンサーの値も同じように記録できます。

1,000ミリ秒(1秒)ごとにデータを記録するプログラム。

 プログラミングできたらプログラムを[ダウンロード]ボタンで転送し、シミュレーターの下にある[コンソールを表示 デバイス]ボタンをクリックします。すると、次の画面になります。

リアルタイムで「micro:bit」のマイクが取得した音の大きさのデータが表示される
【「micro:bit」のマイクが取得した音の大きさのデータをリアルタイムで表示 - 窓の杜】

データをダウンロードした後加工するのも便利

 取得したデータはCSVデータでダウンロードできます。表計算系のアプリケーション(「Microsoft Excel」、Appleの「Numbers」、「Google スプレッドシート」など)で開いてみると、次の図の左側のように取得した時間(秒)と値が並んでいます。各アプリケーションのグラフ作成機能でグラフを作るなど、取得後にデータを加工したり、データ分析をしたりするのにもとても便利です。

「Numbers」でデータを開いたところ。右側のグラフは、「Numbers」内でデータからグラフを作成したもの。「Microsoft Excel」でも同様のことができる

 こんなふうにログが手軽に取れると、算数や理科とプログラミングをかけあわせた学習が簡単にできそうですね。小学校では通常の教科の学習の中でプログラミングを取り入れることが推奨されていますから、アイデアのひとつとして使えると思います。

 また、センサーの取得する値を手軽に検証できるので、センサーを使った仕組みをプログラムするときの値の設定を決めるのに役立ちます。基本の「micro:bit」といつもの「MakeCode」だけでできますからぜひ試してみてください!

 2020年度から小学校でプログラミング教育が実施されています。これに伴い家庭でも手軽にプログラミングを学習できるツールが多数登場していますが、どんなツールを使えばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか? そこで本連載では家庭でのプログラミング教育にピッタリなお勧めツールを紹介していきたいと思います。