週末ゲーム

第530回

同人ゲーム体験版特集 2013夏

“夏コミ”出展サークルの作品から体験版を6本紹介

（2013/7/26 10:31）

　インターネット上で公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介している『週末ゲーム』。今回は、8月10日から12日にかけて開催が予定されている国内最大規模の同人誌即売会“コミックマーケット（コミケ）”を目前に控え、“同人ゲーム”をテーマとした特集をお届けする。

　同人ゲームは、フリーゲームなどと同様に個人や趣味のサークルによって制作されているが、発表の場は全国各地で開催される即売会や、専門ショップでの委託販売が中心となっている。また最近では、ダウンロード販売される例も増えつつある。

　今回は、通称“夏コミ”と呼ばれる次回のコミケに出展するサークルの作品の中から、Webで体験版が公開されている6作品をご紹介。また、本特集で過去に紹介した作品の続編や完成版、関連作品に関する情報も併せて紹介する。いずれも夏コミでの頒布内容などの詳細は、サークルのWebサイトで確認してほしい。

コミックマーケット公式サイトへようこそ: http://www.comiket.co.jp/

シューティングゲーム編

かすり避けと結界による弾幕処理が決め手のシューティング「雪晶石 -Malice Eater-」

「雪晶石 -Malice Eater-」

透明感のある白銀の世界と、禍々しい色合いの敵弾のコントラストが美しい

登場キャラクター同士の会話シーンもある

　「雪晶石 -Malice Eater-」は、和風なファンタジー世界を舞台にした縦スクロールシューティングゲーム。“神﨑雪希”と“神﨑時雨”という姉妹があやかしと戦う。夏コミでは暫定完成版（ver0.9）を頒布予定で、体験版ではステージ2までをプレイできる。

　本来は人の住めない極寒の地を舞台にしており、寒々しくも透明感のあるフィールドに、氷や雪をモチーフにしたエフェクトが映えるビジュアルが特徴。ふわふわとした姉妹の衣装や、がしゃどくろなど日本の妖怪をモチーフにした敵キャラクターも、和風でありつつも独特な世界観を生み出している。

　システム面の特徴はかすりボーナス。敵弾を至近距離まで引きつけて避けると、画面下のゲージが溜まる。ゲージは2つあり、通常移動時には青、低速移動時には赤のゲージが溜まっていく。それぞれフルになると結界を発動でき、発動中は敵の弾を被弾しても一度だけ無効化できるほか、結界を中断して弾消し効果のある特殊攻撃を放つことも可能だ。

　また結界発動中に敵弾をかすり避けすると、今度は画面の左右にある丸いゲージが溜まっていく。低速移動中に発動した結界では左の赤いゲージが増えていき、フルになると残機が増える。通常移動中の結界では右のゲージが増え、こちらは画面上の弾を消す“消幕”の残量が増える。

　結界のゲージは、ボス戦などで弾幕に囲まれるとすぐにフルになる。2種類のゲージを交互に使って被弾が許される状態を保ちつつ、特殊攻撃や消幕も絡めて弾幕をやり過ごすのが基本。見た目は弾幕系シューティングだが、弾を適度に避けつつ、適度に消してガンガン攻めるという感触のゲームになっている。

弾幕はかなり激しいが、結界を使って対抗できる。避けて凌ぐか結界で攻めるかという判断も楽しい部分だ

「雪晶石 -Malice Eater-」体験版

【著作権者】: Amusement Makers、Project Noise
【対応OS】: Windows XP/Vista/7/8
【ソフト種別】: 体験版
【バージョン】: 0.90 Web配布版（13/07/20）

Project Noise: http://project-noise.sakura.ne.jp/

SF＋和風ファンタジーの弾幕シューティング「神想伝機アリスメティカ」

「神想伝機アリスメティカ」

SFと和風ファンタジーが入り混じった世界観

射撃能力が変わる“TCP状態”の活用が攻略の鍵になる

　「神想伝機アリスメティカ」も少女が戦う縦スクロールシューティングだが、こちらは世界観が未来的なSFと和風ファンタジーが融合したような雰囲気になっている。情報工学系の大学に通う“春日井麻美”、“長狭志帆”、“犬塚美咲”の3人が、謎の通信障害に端を発した事件に巻き込まれていく。夏コミでは完成版を頒布予定で、体験版ではステージ3までをプレイできる。

　近未来に起こったネット世界でのある事件を発端とした世界観になっているため、ビジュアルもデジタルテイスト。画面の右にはアイテム取得などのログが流れるように表示されており、バーチャルな世界での戦いを想像させる。一方で3人の主人公や敵のボスキャラクターは巫女や犬神憑き、鬼といった神話や伝承に関わる存在で、バトルの前後には思わせぶりな会話シーンも見られる。

　システム面では、前方にアンカーのようなものを撃ち出す“コネクショット”が特徴。これ自体に攻撃力はないが、敵に命中させてからボタンを押し続けていると、敵との間にラインが繋がり“TCP状態”という低速移動状態に移行する（通常時は“UDP状態”という）。TCP状態ではショットの特性が変化し、貫通レーザーや命中時の拡散ダメージなどキャラクターごとに異なる追加性能が得られる。

　また、敵を倒した時に出るICチップを拾うと“テューテラーゲージ”が溜まる。これがフルになると神仏の力を身に宿す“テューテラーダウンロード”を発動でき、一定時間キャラクターごとに攻撃力アップ、アイテム自動回収、1回被弾無効化という特殊効果が得られる。

　本作には難易度設定はないが、プレイヤーの行動に応じて難易度がリアルタイムに変動する。敵を倒したりアイテムを拾ったりすると“D.E.I.ゲージ”が上昇し、一定量まで増えると敵の弾数が目に見えて増える。逆に敵やアイテムを逃す、ボムを使うなどの行動でゲージが下がる。ゲージが高い時はスコアも上がるので、無理だと思ったら即ボムなど、自分の腕に見合ったレベルのゲージを維持して戦うのが本作のポイントだ。

ボスは数パターンの攻撃をもっており、かなりシビアな弾幕も多い。コネクショットを活用して速やかに撃破したい

「神想伝機アリスメティカ」体験版

【著作権者】: disfact
【対応OS】: （編集部にてWindows 8で動作確認）
【ソフト種別】: 体験版
【バージョン】: Web体験版2（13/07/21）

disfact: http://www.disfact.com/

武器が勝手に動き出す？定番シリーズ第14弾「東方輝針城～ Double Dealing Character.」

「東方輝針城　～ Double Dealing Character.」

武器が勝手に動き始めるという異色の設定

魔理沙の“勝手に動く武器”はまるで火炎放射器

　「東方輝針城（とうほうきしんじょう）　～ Double Dealing Character.」は、“東方Project”シリーズの第14弾となる最新作。夏コミでは完成版を頒布予定で、体験版ではステージ3までプレイできる。今回は作者のブログにて『できる限りシンプルに弾幕を楽しんでもらえるように複雑なシステムは排除しました』と語られている通り、難しいシステムのないオーソドックスな縦スクロールシューティングとなっている。

　今回の主人公は、“博麗霊夢”、“霧雨魔理沙”、“十六夜咲夜”の3人。それぞれの武器が、なぜか勝手に動き始めてしまう。3人はその武器を捨てて戦うのか、それでも武器を使うのか……という設定のもと、ゲームでは各キャラクターに2つのセッティングが用意されている。

　武器を使うパターンでは、低速移動時のショットがクセの強い特殊なものに変化。武器を使わないパターンでは低速移動時には前方集中型になるベーシックなスタイルとなる。スペルカード（ボム）も別のものになるので、6種類のキャラクターを選べると思ってもらって構わない。

　ゲーム内容は伝統的な弾幕シューティングで、ボス戦前後のキャラクター同士の掛け合いなども健在。シリーズのプレイヤーにとっては、定番ながら安心の内容と言える。難易度設定は今回も4段階あるので、弾幕シューティングが苦手な人からベテランまで幅広く楽しめる。

　唯一、大幅に変わったのが解像度。これまでの倍の1,280×960ドットに対応し、高解像度でのゲームプレイが可能になった。最近のPCであればおそらく問題なくプレイできるはず（それを確かめるための体験版でもある）。もし処理が重い場合は、従来通りの低い解像度も選択できる。

弾幕シューティングを楽しむという主旨から、今回はシンプルなスタイル。代わりに解像度が上がってイラストが精細になっている

「東方輝針城　～ Double Dealing Character.」体験版

【著作権者】: 上海アリス幻樂団
【対応OS】: Windows Vista/7（編集部にてWindows 8で動作確認）
【ソフト種別】: 体験版
【バージョン】: 0.01b（13/07/19）

上海アリス幻樂団: http://www16.big.or.jp/~zun/

RPG編

コンボを決めて大ダメージ！爽快バトルが魅力のRPG「星樹の機神　－プラネットルーラー－」

「星樹の機神　－プラネットルーラー－」

　「星樹の機神　－プラネットルーラー－」は、“星樹”から供給されるエーテルエネルギーの恵みで成り立っている世界を舞台にしたRPG。夏コミでは完成版を頒布予定で、体験版では序盤の1時間ほどをプレイ可能だ。

　本作の主人公は、“旧世界”と呼ばれる超文明の遺産を研究するハルベルン機甲学園に所属する少年“クラム”。遺跡調査の最中に正体不明の少女“レトラ”と出会ったクラムは、彼女と共に遺跡の深部へと向かい、やがて“機神”と呼ばれる旧世界の遺産と、星樹にまつわる謎に関わっていくことになる……。

旧世界の遺産を扱う“機械導師”のクラム。武器は巨大なグローブの形をした武装ユニットで、そのAI“クロノス”は彼の相棒でもある

クラムが遺跡で出会った少女レトラ。ある目的で遺跡の深部を目指しているが多くは語らない。流れの傭兵をしており、双剣で戦う

あらかじめセットしたアーツを、コストの範囲内で1ターンに複数回発動できる

アーツごとに用意された派手な戦闘アニメーションも見どころ

　特徴は、キャラクターごとに設定された“コスト”の範囲内で、1ターンに複数回行動できる戦闘システム。“アーツ”と呼ばれる攻撃スキルをあらかじめ4つまでセットして戦う仕組みで、強力なアーツほど消費コストも高い。サイドビューで表示される戦闘画面は、アーツごとに異なる戦闘アニメも見どころとなっている。

　各アーツには、打撃、射撃、火炎、雷撃などさまざまな属性があり、敵の弱点属性を突くことで大ダメージを与えられる。また、アーツの選択を一定時間内に連続で行うことでコンボとなり、ヒット数に応じてコンボレートが上がってダメージにボーナスがつく仕組み。アーツの選択は先行入力が可能で操作レスポンスもよく、RPGでありながら格闘ゲームばりのコンボを決めていけるのが面白い。

　アーツは一撃が重いもの、多段ヒットしてレートが上がりやすいものなどコンボ面でも特徴があり、同じアーツを連続で出してもレートは上がらないという制限も。そのため属性、コスト、ヒット数を考慮してセットするアーツの組み合わせや繰り出す順番などを考えることで、効率的に敵を倒していけるのがポイントだ。一方で敵の攻撃も激しくザコ戦でも気を抜けないゲームバランスとなっており、全滅時は即ゲームオーバー。セーブも特定箇所でしかできないため、緊張感のあるバトルを楽しめる。

　さらに、“TP”を消費してアーツを高威力な派生版へと変化させる“オーバーアーツ”、TP最大時に全TPを消費して使えるコストを2倍にする“オーバーテンション”というシステムもあり、ここぞという時に使えば超絶的な大ダメージを与えることが可能。戦略性とド派手な演出が両立した、爽快感あふれるバトルが醍醐味の作品だ。

アーツはレベルアップで取得し、4つまで同時にセット可能

オーバーテンション＋オーバーアーツで大ダメージを叩き出せ！

武装は素材を消費して強化する仕組み

素材は戦闘のほか採掘ポイントからも豊富に入手できるので、必要以上の戦闘を繰り返さなくてもOK

AIながら妙に人間くさいクロノス。学園都市の人々との交流も楽しい

ボーイ・ミーツ・ガールから世界の謎へと繋がっていく王道の展開も魅力

「星樹の機神　－プラネットルーラー－」体験版

【著作権者】: 電猫遊戯
【対応OS】: Windows XP/Vista/7/8
【ソフト種別】: 体験版
【バージョン】: 1.10（13/06/24）

同人ゲームサークル『電猫遊戯』: http://denneko.com/

ノベルゲーム編

独自の世界観で少女達の旅を描くファンタジーノベルゲーム「fault -milestone one-」

「fault -milestone one-」

　「fault」は、魔法のような独自の技術体系をもつファンタジー世界を舞台に、少女達の旅路を描くファンタジー系ノベルゲーム。連作でのリリースが予定されており、夏コミでは1作目の「fault -milestone one-」が頒布予定となっている。体験版ではこの“milestone one”を途中までプレイ可能だ。

謎の勢力により襲撃を受け、ルゼンハイドの姫とその付き人は城を脱出する

　舞台となるのは、“マナ”を操りさまざまな現象を起こす技術“マナクラフト”が発達した世界。マナクラフト技術に根ざした平和同盟“マナクラフターズ・アライアンス”の発祥国である“ルゼンハイド”が謎の勢力により襲撃を受けたことから物語は始まる。ルゼンハイドの姫セルフィーネとその付き人であるリトナは瞬間移動のマナクラフトにより城を脱出するが、想定外のトラブルにより移動先が狂い、辿り着いた先は世界の裏側。マナの恵みから見放された地“アウターポール”だった……。

ルゼンハイドの姫セルフィーネ。一見おっとりしたお嬢様だが好奇心が強い。王族としての使命感に悩む一面も

セルフィーネの付き人であり、優秀なマナクラフター（マナクラフト使い）である少女リトナ。土と火のマナを操り、硝子の剣を生成して戦う

どこか怪しいが親切な少女ルーン。リトナ達はルーンの案内で、旅に必要な装備一式を揃えることに

食事を楽しむリトナ達。通信用マナクラフトが発達したルゼンハイドでは意識に直接メニューが送られるため文字で書かれたメニューが珍しいなど、文化のギャップも端々で語られる

　マナクラフトの代わりに科学が発達したアウターポールの街“カディア市”で、文化や常識のギャップに戸惑いながらも故郷への旅立ちを準備するリトナ達。故郷を心配しつつもどこかのほほんとした姫様と、生真面目なリトナのやり取りは、要所要所で互いが互いを慮っているのが伝わってきて微笑ましい。これに街で出会った正体不明の少女ルーンが加わり、少女三人の賑やかでコミカルな掛け合いが序盤のハイライトとなっている。

　マナクラフトを中心とした独自の世界観が構築され、シナリオの端々から架空世界の生活感を感じられるのも本作の醍醐味のひとつ。魔法のようなマナクラフトだが何でもできる奇跡の力ではなく、その技術体系と限界が丁寧に語られ、作品世界にリアリティを与えている。たとえばリトナが旅のために服を仕立てる場面では、黒はマナを吸着する性質があり、体の周囲のマナの比率を感じやすくなるため戦闘系のマナクラフターに好まれるという異世界豆知識が披露される、といった具合だ。

　青空と雲が印象的なタイトル画面をはじめ、1,280×720サイズのHDワイド画面で描かれるグラフィックも魅力。キャラクターはふわっとした絵柄に透明感のある塗りで表情豊かに描かれ、少女漫画のような可愛らしさがある。そのほか世界観にマッチした音楽やオープニングムービー、ユーザーインターフェイスの作り込みなど、ゲーム全体のパッケージングに完成度の高さを感じさせる。

　体験版の終盤では視点がリトナ達から移り、ルーンとその家族の過去に焦点が当てられる。ダークファンタジーめいた凄惨さを見せる物語は、それまでの賑やかな道中とのギャップもあって目が離せない。ルーンとは何者なのか、謎の襲撃者達の動向は、そしてリトナ達の旅の行方は……と、完成版で物語がどう結実するのか、プレイが待ち遠しい作品だ。

これまでと様子が異なるルーン（？）に戸惑うリトナ。そして物語はある家族の過去へと焦点を移していく

「fault -milestone one-」体験版

【著作権者】: ALICE IN DISSONANCE
【対応OS】: Windows/Mac OS X/Linux
【ソフト種別】: 体験版
【バージョン】: 1.0(j)（13/05/27）

ALICE IN DISSONANCE - PROJECT WRITTEN: http://projectwritten.com/

未開の島を舞台に、伝奇ロマンと復讐劇が交差するノベルゲーム「幻想魔境奇譚」

「幻想魔境奇譚」

　「幻想魔境奇譚」は、大西洋に浮かぶ島の伝承を解き明かしつつ、妻を失った男の復讐劇が描かれる伝奇サスペンスノベルゲーム。夏コミでの完成版頒布に向けて制作が進められており、作者サイトで公開されているWeb体験版では第二章の終わりまでプレイきる。

“わたし”を助けてくれた明日香。しかしその腕には、妻の仇と同じ痣が……！

調査の発端となった、とある海岸に流れ着いたという“人魚”の写真

　本作の主人公であり語り部となる“わたし”とその妻は、新婚旅行で乗った豪華客船が事故に遭ったため救命ボートへ向かうが、腕に稲妻のような痣のある人物に押され海へと投げ出されてしまう。奇跡的に無人島へ流れ着いた“わたし”と妻だが、やがて妻は病死。その後“わたし”はとある島へと調査に向かう船に救助される。幸運に感謝する“わたし”だったが、調査隊の隊長である考古学助教授“早坂明日香”の腕に稲妻のような痣を見つけ、『彼女こそが妻を死に追いやった仇である』と直感するのだった……。

　わずかな原住民が住む未開の島“ヤム・ラ・カヌ”で伝承の謎に迫っていく伝奇ロマンと、主人公が調査隊に同行しつつ明日香を殺す機会を虎視眈々と伺っていく復讐劇が同時進行するのが本作の醍醐味。伝奇ものとしては島の近海で目撃されたという“人魚”の探索がひとつのテーマだが、一方で島においては“巨大な鳥”が信仰の対象となっており、これらの要素がどう絡み合っていくのか気になるところだ。民俗学的な考察も挟まれ、想像力を刺激する内容となっている。

　調査隊のメンバーは、独自の行動規範をもち、最初は“わたし”を助けることにも反対だった探検家の“ロレンツァ”や、抜け目の無さを感じさせる米国軍人“クリス”、日本刀を携えた寡黙な男で明日香の護衛を務める“九頭”など、癖のある人物ばかり。お互いを信用しておらず衝突もある中で“わたし”がどう立ち回っていくのか、緊張感のある掛け合いも見どころだ。

島で出会う盲目の少女“フィア”

シビアに現状を判断しつつも、お宝を求めるロマンティストな一面も見せる“ロレンツァ”

　縦書きで表示されるテキストは落ち着いた筆致で、妻を失った“わたし”の暗い情熱を淡々と描き出す。グラフィックはテキストの脇に背景と立ち絵が表示されるほか、ときに場面を象徴する写真が挿入されたり、全画面でイラストや広大な風景写真が表示されるのも印象的だ。黄金比にもとづいたウィンドウサイズやリボルバーの弾倉をイメージしたセーブ画面など、インターフェイスにもこだわりを感じさせる。

　なお、本作はWeb上で無償公開されている体験版のほかに、第四章の途中までプレイできる有償体験版も通販などで頒布されている。第三章以降ではいよいよ島の聖地である“ドゥマル・ヤソム”がその姿を現すほか、戦闘シーンも登場。カットインとエフェクトによる白熱のバトル演出は大きな見どころとなっている。

第三章以降は、いよいよ島の聖地がその姿を現していく

カットインとエフェクトで高速に展開していく白熱の戦闘シーン

「幻想魔境奇譚」

【著作権者】: 香津宮裕介　氏　ほか
【対応OS】: Windows 2000/XP/Vista/7
【ソフト種別】: 体験版
【バージョン】: 0.11 web体験版（12/10/15）

偽書[香津宮綺譚]: http://egoismfactory.client.jp/

過去に紹介したサークルの続編・完成版・関連作品情報

　ここでは、過去の“同人ゲーム体験版特集”で作品を紹介したサークルの、夏コミでの続編や完成版、関連作品の頒布情報をお伝えする。なお、掲載している画像の一部は当時の体験版のもので、現在は変更されている可能性もある。

エンドレスシラフ

「∀kashicverse-Malicious Wake-」

　コマンド入力による特殊攻撃が特徴のシューティングゲーム「∀kashicverse -Malicious Wake-」のファンディスクを頒布予定。

EndlessShirafu エンドレスシラフ: http://endless-shirafu.com/
【週末ゲーム】第470回：同人ゲーム体験版特集 2011冬 - 窓の杜: http://www.forest.impress.co.jp/docs/serial/shumatsu/20111216_499482.html

Mercenary

「GALAXY アポ通」表紙画像

　シューティングゲーム「Another Apocalypse」シリーズのファンブック「GALAXY アポ通」を頒布予定。キャラクターの詳細データや完全書き下ろしのサイドストーリー、シリーズ第2作「Another Apocalypse Ⅱ Dual Pagan」の後日談を描いた描き下ろし漫画を収録とのこと。

Mercenary's Blog: http://apocaly-san.com/
窓の杜 - 【週末ゲーム】第494回：同人ゲーム体験版特集 2012夏: http://www.forest.impress.co.jp/docs/serial/shumatsu/20120809_552430.html

Spicy Tails

「WORLD END ECONOMiCA」

　月面都市を舞台にした経済＋SFノベル「WORLD END ECONOMiCA」三部作の最終章となるEpisode-3を頒布予定。なお完全版として、Episode-1、Episode-2の内容も含まれる。

Spicy Tails: http://www.spicy-tails.net/
窓の杜 - 【週末ゲーム】第457回：同人ノベルゲーム体験版特集: http://www.forest.impress.co.jp/docs/serial/shumatsu/20110729_464078.html

フワフワソ

「未来探偵ソラとピヨちゃん」

　ゆるふわサイバーパンク・ミステリノベルゲーム「未来探偵ソラとピヨちゃん」シリーズの新作「未来探偵ソラとピヨちゃん episode essential」を頒布予定。メインストーリーの締めとなる“さようならピヨちゃん事件”が収録されるという。

未来探偵ソラとピヨちゃん: http://fuwafuwaso.main.jp/
窓の杜 - 【週末ゲーム】第470回：同人ゲーム体験版特集 2011冬: http://www.forest.impress.co.jp/docs/serial/shumatsu/20111216_499482.html

rats nest

「LOOT」

　超能力がテーマのSFミステリーノベルゲーム「LOOT」のスピンオフ作品「LOOT reconstruction」を頒布予定。「LOOT」の登場人物によるクローズド・サークルもののミステリーで、「LOOT」とは各キャラクターのもつ能力や人間関係がほぼ異なるという。

　なおrats nestは、「LOOT」を制作したサークルCREO SOFTWAREから同作の制作メンバーが派生して設立されたサークル。

rats nest Official Homepage: http://ratsnest.web.fc2.com/
窓の杜 - 【週末ゲーム】第494回：同人ゲーム体験版特集 2012夏: http://www.forest.impress.co.jp/docs/serial/shumatsu/20120809_552430.html

granat

「すり替えられた果実の破片」

　2012年冬コミ前に体験版を紹介した、分岐の多さが特徴のループものアドベンチャーゲーム「すり替えられた果実の破片」の完成版を頒布予定。

LiQUid rED: http://homepage1.nifty.com/croe/
【週末ゲーム】第507回：同人ゲーム体験版特集 2012冬 - 窓の杜: http://www.forest.impress.co.jp/docs/serial/shumatsu/20121221_579780.html

atelier773

「DEAD END JUNCTION」

　ウェスタン冒険ノベル「DEAD END JUNCTION」など3作品の楽曲を収録したオリジナルサウンドトラックを頒布予定。

atelier773: http://atelier773.dojin.com/
窓の杜 - 【週末ゲーム】第457回：同人ノベルゲーム体験版特集: http://www.forest.impress.co.jp/docs/serial/shumatsu/20110729_464078.html

Novectacle

「ファタモルガーナの館」

　西洋浪漫サスペンスホラー・ノベルゲーム「ファタモルガーナの館」の設定資料集を頒布予定。

自主製作サークル　- Novectacle ノベクタクル -: http://novect.net/
窓の杜 - 【週末ゲーム】第457回：同人ノベルゲーム体験版特集: http://www.forest.impress.co.jp/docs/serial/shumatsu/20110729_464078.html
【週末ゲーム】第527回：悲劇を越えて真実に迫る西洋浪漫ノベルゲーム「ファタモルガーナの館」 - 窓の杜: http://www.forest.impress.co.jp/docs/serial/shumatsu/20130628_605559.html