石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
「キーボードでマウスクリック操作をしたい!」というマニアな要望に応える2つの方法
2023年11月10日 11:00
PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。
キーボードでマウスクリック操作をしたい
先日、僚誌PC Watchでゲーミングキーボードのレビュー記事を執筆したのだが、その際に1つ困ったことが起こった。
レビューしたのはエレコム製の「VK600A」という製品で、ゲーマー注目の機能であるラピッドトリガーを搭載した製品。ラピッドトリガーとは何かについては同じくPC Watchの記事をご覧いただきたい。
ラピッドトリガーはキー入力のON/OFFを高速に応答する機能だが、これを測定するのが難しい。キーを一定の速度と深さで入力する物理マシンを用意するのが理想ながら、そのためのデバイスは筆者が知る限り存在しない。またキーボードによってストロークの深さが異なるため、調整できる必要があるのだが、どうやれば実現可能なのか仕組みも思いつかない。
そこで仕方なく、筆者が一定のリズムで高速にキーを叩き、キー入力時間を測定することで評価したが、やらないよりマシな程度でしかない。今後はもう少し状況を改善すべく、反応速度を調べるソフトを使って数値を出そうと考えた。
反応速度を調べるための一定の環境を用意するなら、FPSトレーニングソフト「Aim Lab」を使うのがいい。だが「Aim Lab」はマウスのクリック速度を測定するものなので、そのままでは使えない。
それならキーボードにマウスのクリックを割り当てればいいじゃないか……と思ったが、これが案外難しい。キーボードの割り当てを変更するソフトはいくつかあるが、マウスクリックを割り当てられるソフトは見つからなかった。
さらに別の方法を調べた結果、キーボードにマウスクリックを割り当てる方法を2つ見つけた。
Windowsに標準装備「マウス キー機能」
1つ目はWindows 10/11に用意されている「マウス キー機能」。機能をONにすると、テンキーでマウスを操作できるようになる。[5]キーでクリック、[2 / 4 / 6 / 8]キーでポインタの移動などが割り当てられる。
別途ソフトを入れなくても対応できるのは嬉しいのだが、ゲーミングキーボードはテンキーを搭載していないものが多いため、このままでは使えない。キーボードの割り当て変更ソフトで、どこかのキーをテンキーの[5]キーに入れ替える必要がある。
「vi-keys」を使う
もう1つの方法では、HIRUKAWA Ryo氏が作成したプログラム「vi-keys」を使う。このソフトは実行すると常駐し、[無変換]キーを左クリック、[変換]キーを右クリックなどに変更する。これらのキーはゲーミングキーボードにも概ね搭載されている。
ただしゲーミングキーボードの製品によっては[無変換]キーはラピッドトリガーに設定できない場合もある。また一般的にゲームで使用するキーではないので、測定環境として良しとは言えない。
こちらもやはりキーボードの割り当て変更ソフトで[無変換]キーをどこかに再配置するなどの対応をすることになりそうだ。
ゲーミングキーボードのマクロツールで対応できればベスト
上の2つの方法は、どちらもキーボードにマウスを割り当てるという目的は達成できているが、どのキーに配置するかという点で自由度が足りないのが惜しい。もう少し気の利いた方法がないか、続けて探していきたいと思う。
ちなみにゲーミングキーボードの中には、入力を記録して特定のキーに割り当てるマクロ設定が用意されているものもある。これを使うとマウスのクリックも割り当て可能な場合があるので、対応するキーボードではこちらを使う方がスマートだ。
「キーボードにマウス操作を割り当てたい場面ってあるの?」という声が聞こえてきそうだが、筆者のようなレアケースはともかく、一部のPCゲームではマウスクリックをキーボードに割り当てると便利になることもありそうな気はする。覚えておけば一生に1回くらいは役立つかも……。
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/