石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
「真・三國無双」最新作の体験版でまた呂布の怖さを味わう
主人公は無名? 新たな視点で三国志の物語を楽しむ作品
2025年1月16日 16:59
シリーズ最新作を試してみよう
コーエーテクモゲームスの一騎当千アクション「真・三國無双 ORIGINS」が1月17日に発売される。Steamでの予約販売も行われており、本稿を執筆する1月14日時点で売り上げトップとなっている。
「真・三國無双」シリーズは、三国志の英傑たちが登場し、多数の敵をなぎ倒していく爽快感が人気の作品。日本の戦国時代を舞台にした「戦国無双」など、本作のシステムを継承しつつ舞台を変えた作品が多数登場しており、1つのゲームジャンルと言うべき存在感を示している。
「真・三國無双 ORIGINS」には体験版も用意されている。ゲーム内容を確認するのと同時に、Steam版ではPCスペックの確認にも役立つので、ぜひ試してみていただきたい。
製品版の価格は9,680円。さすがコーエープライス……と言いかけたが1万円を切っているのでまだ良心的。ちなみに米国価格は69.99米ドル、日本円で約11,000円。
本作の何が一騎当千なのか?
体験版でプレイできるのは、「汜水関の戦い」の1ステージのみ。董卓を討伐するために集まった各地の諸将が連合軍を組んで戦うという内容となっている。三国志の物語の中では、序盤の山場となる。
本作は「ORIGINS」と名前が付いているとおり、主人公は三国志の英傑ではなく、オリジナルキャラクターとなる。武器や装備、技を変更することで、オリジナルキャラクターをカスタマイズし、成長させながら、三国志の世界を体験していくという形。
「汜水関の戦い」では、連合軍の盟主(として曹操が担ぎ上げた)の袁紹を守りながら、敵将の李傕と華雄を撃破するのが目的。戦場が各所にばらけているので、それぞれを援護して敵を倒しつつも、袁紹が討たれないように気を配るという戦略性がある。
基本操作は本作でもシンプルで、攻撃ボタンを連打するだけで連続攻撃が発動。大攻撃と組み合わせることで広範囲かつ大ダメージの連続攻撃も繰り出せる。雑兵はこれで撃退しつつ、敵武将に対してはしっかりガードして反撃するというメリハリもある。この辺りは過去のシリーズと変わらないので、プレイステーション2の頃に遊んで以来触れていないような方でも問題ない。
当時と変わっている部分ももちろんある。まず映像がかなり美しくなって敵の群れがすごい数になっていること。敵部隊のど真ん中に飛び込めば、敵味方入り乱れて隙間なくぎっちり人で埋まる。広範囲の武器を振り回せば、100体くらいはあっという間に撃破できる。爽快感はすごいが、全方位からすごい勢いで殴られもする。まさに一騎当千の活躍が求められる。
また戦線の変化が早く、自分がどこに向かうかという戦略性がより重要になっている。目の前の敵と戦うことに専念していると、他の戦線が崩壊して大将がやられることも多い。素早く敵を片付け、次々と味方の窮地を救っていくことで、戦況の不利を1人で覆す……つまり一騎当千感があるわけだ。
アクションの幅が広がった
アクション性もぐっと高まっている。敵の攻撃はガードだけでなく回避も可能。ガード不能の攻撃もあるので、敵の攻撃を見極めるのが重要になる。さらにタイミングよくガードすることで、敵の攻撃を弾き返し、体勢を崩して反撃できるという要素もある。
本作で特徴的なのが、外功という要素。敵の体力のほかに外功があり、攻撃を当てると減らせる。外功を全て削りきると、こちらが一方的に連続攻撃を仕掛けて大ダメージを与えられる。適切にガードと回避を使い、外功を削って大ダメージを狙うという戦術的駆け引きが楽しい。
これ以外にも、広範囲に大ダメージを与える無双乱舞や、しばらく無敵状態になる武神覚醒、敵武将と1対1で戦う一騎討ちなど、多彩な要素がある。全て覚えるのは大変だが、遊んでいるうちに少しずつ覚えていけば問題ない。
プレイヤーはオリジナルキャラクターを操作するが、自分に付き従う随行武将を選べる。体験版では夏侯惇、関羽、孫尚香から1人を選ぶ。後ろをついてきてくれるだけでなく、操作を一時的に随行武将に切り替える機能も用意されている。
最強の武将・呂布とも戦える
慣れないうちは途中でやられてしまったり、袁紹が撤退してゲームオーバーになることも多い。しかし再び最初からやり直しではなく、今回のプレイ内容を見返しつつ、戦況が大きく動いたシーンから再開できる仕組みになっている。上手くいっていた場面まで戻り、そこから仕切り直せる親切設計だ。
これを使えば、強力な敵との戦いに何度も挑んで勝つこともできるし、先に助けるべき仲間を再考もできる。長時間かかるステージで最後にミスして1からやり直し……という辛い仕打ちを受けることもない。
最初に難易度選択も可能で、3段階の2番目となる標準設定でも、最初はかなり歯ごたえがある。それでもこのやり直し機能があれば、ステージクリアはそう遠くはない。筆者も4、5回はゲームオーバーになりつつ、目的の敵将を無事に撃破できた。
……と思わせておいて、体験版では三国志最強の武将、呂布が登場するオマケ付き。赤兎馬に乗り、赤いオーラをまとって真正面から切り込んできた呂布に、見事に秒殺された。
先の戦闘で体力が減っていたから仕方ないと思いつつ再戦し、武神覚醒で一方的に殴ってみたものの、半分も削れないで撃沈。もっと余裕を残した状態で本戦をクリアしておかねばならないようだ。
体験版はここまで。1ステージだけの内容ながら、「真・三國無双」が今どうなっているのかを体験できる、とても充実した内容だ。シリーズ未体験の方、あるいは長らく離れていた方にも、ぜひ遊んでみて欲しい。そして相変わらずチート級の強さを誇る呂布の怖さを味わっていただきたい。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/
PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。