石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

「MHF」で腕を鳴らした45歳、「モンスターハンターライズ」をナメてかかる

そして初狩りは勘違いからの失敗

 PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。

約10年ぶりに遊ぶ「モンスターハンター」

「モンスターハンターライズ」のタイトル画面

 カプコンのハンティングアクション「モンスターハンターライズ(MHRise)」が、1月20日からPC Game Passに対応した。現時点では拡張版である「モンスターハンターライズ:サンブレイク」はMicrosoft Storeで発売されていないが、まだ本作をプレイしていないという人には、月額850円(初月は100円)で遊べる絶好の機会となっている。

 筆者は「モンスターハンター」シリーズをそれほど多くプレイしていないが、「モンスターハンター フロンティア オンライン(MHF)」はGAME Watchでリリース前から担当しており、インタビューなど多数の記事を執筆する傍ら、プライベートでも長くプレイした。とはいえ2013年頃に担当を外れてからはプレイ頻度が減り、以後はシリーズから遠ざかっていた。

 というわけで、筆者にとっても絶好の機会なので「MHRise」を遊んでみようと思う。「MHF」以来、およそ10年ぶりの「モンスターハンター」だ。さぞや進化しているに違いない。

筆者がやり込んだ「MHF」は難しかった

 筆者とモンハンとの出会いは、PlayStation 2の「モンスターハンター2(MH2)」。当時かなりの人気になっていたので、ちょっと触ってみようかと。

 クエストを受注し、自分と同じくらいの大きさのカニ(ヤオザミ)を発見。初期武器の片手剣で斬りかかったが、手ごたえがない。何度か斬っても倒せないし、カニはダメージを受けたような挙動をしないどころか、お構いなしに反撃してくる。意味がわからない……。筆者の「MH2」はこれで終わり。

 「MHF」はこの「MH2」をベースに開発されたもの。改めてプレイしてみると、本シリーズのモンスターの多くはこちらが攻撃してもノックバックなどの反応はなく、そのまま反撃してくる。しかし攻撃を当て続ければいつか倒せる。それだけのことだった。

「MHF」より。攻撃してもノックバックなどの反応が見られないのが本作の基本

 そこから「MHF」を順調に遊べたかというと、必ずしもそうではない。難易度が高すぎる場面が頻発したためだ。例えば、モンスターの最上位に位置する古龍を倒すには龍属性の武器が有効だが、龍属性の武器を作るには古龍を倒す必要がある(一部、必要としない武器もある)。実際は龍属性の武器がなくとも腕前と知識があれば対応できるが、筆者にそんなものは当然なく、詰んだとしか思えない難易度だった。

 その後も、食らえば確実に一撃死する攻撃を放つモンスターが現れて阿鼻叫喚となり、一撃は必ず耐えるスキル「根性」で何とか戦えると思ったら、多段攻撃で「根性」を実質無効化するモンスターが現れたり、そもそも「根性」の発動は難しい難易度が追加されたりした。

見た目も超巨大なモンスター。こいつも一撃必殺級の攻撃を繰り出してくる

 そのプレイ環境を突き詰めていった結果、「1発食らったら負けなので、一瞬無敵が発生する行動で紙一重の回避を覚えよう」というゲームになった。ここで筆者はコントローラーを投げ……ることはなく、上級者のプレイを参考にしつつ楽しめるようになっていった。

 その間に発売された家庭用ゲーム機のシリーズ作品にも触れたが、「MHF」の厳しさを体で覚えた筆者には「数発食らってやられないとはなんて優しいゲームなんだ!」と感じたほど。それゆえに比較的すぐに飽きて「MHF」に戻るという繰り返しであった。

 そんなわけで、10年ぶりに遊ぶ45歳のオッサンとはいえ、「モンスターハンター」は恐るるに足らず。「MHRise」もサクッと進めていきたい。

キャラクターメイキングから既に豪華

 ゲームでは最初に、キャラクターのメイキングを行う。プリセットされたキャラクターの中から選んで、細かな項目を調整していくのがいいだろう。筆者は「モンスターハンター」ではいつも褐色で白髪の老人を使うと決めているので、今回もそうしてみた。設定項目が多すぎる上に調整も極めて細かく、これだけで結構遊べる。

外見のカスタマイズはとにかく細かい調整が可能

 プレイヤーキャラクターに続いて、サポートキャラクターの「オトモガルク」と「オトモアイルー」もメイキング。こちらも非常に細かい設定が可能だが、さすがにゲームを始めたいのでプリセットの中から選ぶことにする。

サポートキャラクターの外見も調整できる

 これでようやくゲームスタート。ガルクとアイルーとともに家にいると、2人の女性がやってきて、里長のところに来るようにと言う。デモシーンのリアルタイム3D映像はとても美しいのだが、それ以上にキャラクターたちが普通に日本語を話していることに驚いた。本作は和風な世界観だし、ゲームのキャラクターが日本語を話すことも、昨今は特に違和感もないのだが。

日本語ボイスで喋った!

 その後は舞台の背景がストーリーとして語られつつ、冒険の拠点となる里の施設などの説明が続く。ざっと目を通すだけなら10分程度で終わり、クエストを受注できるようになった。「モンスターハンター」シリーズでは、NPCからクエストを受注し、その目的地を冒険するというのが基本的な流れだ。

 まずは最初から受けられる最も難易度の低い☆1のクエストから、一番上にあった「唐笠の妖怪」というクエストを受けた。ターゲットは「アケノシルム」1頭の狩猟。筆者は見たことがないモンスターだが、序盤からそう難しいこともあるまい。

「アケノシルム」を狩猟するクエスト。筆者は見たこともない

本作での初狩り。欲張ってボス2体撃破を狙う

 武器や防具は一通り揃っており、好きな武器種に変更できる。今回は最初に持っていた太刀をそのまま使う。太刀は攻撃範囲が広く、移動も速くて扱いやすい。

武器種は14種類あり、それぞれに多様な武器がある

 フィールドを移動していると、大型の恐竜のようなモンスターと鉢合わせた。「ドスフロギィ」という名前らしく、毒を吐いたり体当たりをしてきたりする。ターゲットのモンスターではないが、倒せば武器や防具の素材が手に入るはずなので、先に倒しておく。

「ドスフロギィ」を発見したので先に倒す

 攻撃パターンはそれほど多くはなく、動き始めを見ていれば避けられるものも多い。まだ操作がおぼつかない(「MHF」とは操作方法が違う)中でも、それなりに攻撃を当てていく。しばらくするとモンスターはどこかに走り去ってしまった。「モンスターハンター」のボス級のモンスターは、ある程度時間が経つと別の場所に移動してしまう。

 逃げた先に向かっていくと、今度は「アオアシラ」に遭遇。こちらも動きはそれほど激しくなく、注意しながら攻撃を重ねていく。途中「ドスフロギィ」もやってきて、プレイヤーがモンスターを操る「操竜」でボスモンスターを同士討ちさせるという場面も。できることが増えていて理解が追いつかないのは年齢のせいか。

「アオアシラ」を操り、「ドスフロギィ」を攻撃。自分で攻撃するより強い

 その後は「アオアシラ」をいったん放置し、「ドスフロギィ」を追いかけていく。移動先はマップ上に表示されているので、そちらに向かうだけでいい。見つけては攻撃し、逃げられたら砥石で武器の切れ味を直し、再び追いかけては斬りつける。

「ドスフロギィ」を追いかけて攻撃

 斬りつける。

太刀はゲージを消費する格好いい連続攻撃も使える

 斬りつける……全然倒せない。部位破壊(モンスターの体の一部を破壊する)も起こっているので、それなりのダメージは与えていると思うのだが。

 気づくとクエストの残り時間が10分程度になっていた。これでは「ドスフロギィ」は倒せても、ターゲットの「アケノシルム」まではとても無理。やむなく里へ戻ることにした。クエストを途中で離脱しても、道中で拾った素材や報酬金もあるので、決して無駄な時間にはならない。

戦略的撤退。でも素材やお金は手に入った

 それにしても、筆者の操作がまだおぼつかないとはいえ、これほど苦労するだろうか。しかも最初からボスモンスターの狩猟を指示されるのも珍しい。過去のシリーズでは大抵、採集や小型モンスターの狩猟といった危険度の低いものからスタートしたはずだ。

 もしやと思い、里を歩き回ってみると、「里の受付嬢ヒノエ」というNPCを発見。筆者がクエストを受注したのは「集会所の受付嬢ミノト」だ。どうやら「ヒノエ」が1人用、「ミノト」はマルチプレイ用のクエストを提供するNPCのようだ。ストーリーの流れ的に「ミノト」が後で紹介されたので、そちらでクエストを受けるものだと思い込んでいた。

こっちが1人用のクエストをくれる「里の受付嬢ヒノエ」
こっちは「集会所の受付嬢ミノト」。ちゃんと「多人数のハンター向け」と言っている……

 つまり筆者は、初期装備の初プレイで、比較的強いモンスターが現れるマルチプレイ用のクエストに挑戦していたわけだ。モンスターの体力も多いので、初期装備ではなかなか倒せないのも納得である。「MHF」は完全なオンラインゲームだったので、筆者にとっては盲点だった。

 「モンスターハンター」には自信があると言いながら、チュートリアルを聞き流したのが敗因。筆者と同じように間違えた初心者は、きっとコントローラーを投げるはず。本作を初めてプレイする方は、まずは「ヒノエ」から1人用のクエストを受けましょう。

 今回は狩りになっていないので、次回に続く。

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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