石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
「モンスターハンターワイルズ」は4K・最高画質で快適にプレイできるのか?
オープンベータテストで試してみた
2024年11月7日 06:55
重そうという前評判の「モンハン」最新作を試す
カプコンのハンティングアクションシリーズ最新作「モンスターハンターワイルズ」で、発売に先駆けてオープンベータテストが11月4日まで実施された。人気作品の最新作が発売前に遊べるとあって、多数のプレイヤーが参加していたようだ。
本作ではゲーム内容とともに、PC版の動作環境にも注目が集まっている。推奨環境に書かれたビデオカードがGeForce RTX 2070 Super、GeForce RTX 4060、Radeon RX 6700XTと比較的高めで、しかもフレーム生成を利用してようやくフルHD/60fpsでのプレイが可能とされているためだ。
本シリーズのような人気作品であれば、もっと多くの人が遊べるように軽めの仕様なのかと思われていたところ、意外とハイスペックなPCを要求されて驚いている人が多い、という状況のようだ。これを機にPCを買い替えるか、あるいは最近になって値上げされたPlayStation 5を買うべきか、という話題も見られる。
筆者のPCは推奨環境を満たしているが、もっと高解像度や高画質設定ではどこまでプレイできるのかも気になる。PCゲームでは、最高画質設定だと、その時点で発売されているハイエンドPCでも動作が重いというゲームもある。
本作を4K解像度・最高画質でプレイするにはどのくらいの環境が必要なのか? あるいは現時点で存在するPCでは最高画質でプレイできないのか? その検証をすべく、オープンベータテストに参加した。
何はともあれフレームレートを確認
……という話をしようと考えていたのだが、オープンベータテストの開始前に、ご親切にカプコンが4K・ウルトラ設定での動作環境を公開してくれた。ビデオカードはGeForce RTX 4070 TiまたはRadeon RX 7800 XT以上が必要とのことだ。
情報が出たものは仕方ないので、本当にそのとおりになるのか、実際に筆者のPC環境でどうなるのか試してみた。
- CPU:Core i5-13600K
- ビデオカード:ZOTAC GAMING GeForce RTX 4080 16GB AMP Extreme AIRO
- メインメモリ:32GB DDR5-4800(16GB×2)
- SSD:EXCERIA PRO SSD-CK1.0N4P/N(1TB M.2 NVMe、PCIe 4.0×4)
【筆者のPC環境】
ゲームを起動し、グラフィックス設定を行う。解像度は「3,840×2,160ドット(4K)」、フレームレートは「無制限」、グラフィックスプリセットは「ウルトラ」、アップスケーリングは「NVIDIA DLSS」、フレーム生成は「OFF」、アップスケーリングモードは「NVIDIA DLAA」とし、その他の個別のグラフィックス設定も最高のものに設定した。
アップスケーリングモードの「NVIDIA DLAA」は、ネイティブ解像度のままAIによるアンチエイリアシングをかけるもので、高画質化はするがフレームレート向上には寄与しない。実質的に本作を最高画質でプレイできる環境であり、負荷も最高レベルの設定となる。
まずは普通にゲームを進めていく。巨大なモンスターの迫力ある動き、キャラクターの繊細な表情、緻密に描かれた衣装など、過去のシリーズ作品からは一線を画した美しいビジュアルでゲームを楽しめる。特にキャラクターの顔の造形や食べ物のリアルさは注目に値する。
気になるフレームレートは、普通にゲームを進める段階では特に問題は感じない程度だが、60fpsにまでは到達できていないのが体感でわかる。過去のシリーズには最大30fpsの作品もあったので、それを思えばマシなくらい、というのが筆者の印象だ。
とはいえ本作はもっと高いフレームレートも出せる作品だ。実際のパフォーマンスもしっかり検証しよう。計測アプリ「NVIDIA FrameView」を使用し、ボスモンスター「ドシャグマ」の狩猟クエストを開始から討伐まで計測した。
グラフィックス設定は先述のものに加えて、フレーム生成を「ON」、アップスケーリングモードを「バランス」に変更したものも実施する。
平均 | 下位10% | 下位1% | |
---|---|---|---|
フレーム生成OFF | 37.937 | 32.615 | 29.326 |
フレーム生成ON/バランス | 90.679 | 80.864 | 67.791 |
フレーム生成OFFでは、平均フレームレートが40fps弱となった。下位1%でも30fps弱なので、概ね30fps以上は出せている。プレイに支障が出るほどフレームレートが低いとは言えない。
フレーム生成をONにした設定では、平均90fps強まで跳ね上がる。下位1%でも70fps弱まで出ているので、60fpsはほぼ維持できている。これなら60Hzのモニターで全く不満はないし、ハイリフレッシュレート設定も現実的なレベルだ。
ちなみに最初にプレイした際は、ビデオカードの設定で消費電力上限を65%に設定したエコ動作にしているのを忘れていたのだが、それでも平均fpsはフレーム生成OFFで約38fps、フレーム生成ONで約85fpsと、それほど大きな変化はなかった。GeForce RTX 4080であれば余裕のあるプレイ環境が構築できると言えそうだ。
なおGeForce RTX 4080および4080 SUPERは、11月5日時点で安価なものでも15万円前後。カプコンが示した推奨ラインのGeForce RTX 4070 Tiは12万円前後。Radeon RX 7800 XTだと7万5,000円前後といったところだ。あくまで4K・ウルトラ設定の話なので、これ以下では遊べないわけではないが、高解像度・高画質・高フレームレートでのプレイを考えているなら、それなりの出費は必要になる。
今回の結果は、あくまでもオープンベータテストの内容であり、製品版では変更される可能性がある。特に4K・ウルトラ設定として示されたものは、製品情報ではなくオープンベータテストでの動作環境として示されているので、製品版ではブラッシュアップされて軽量化されるかもしれない。……と淡い期待を抱きつつ、2025年2月28日の発売に向けて予算の準備をしておこう。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/
PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。