やじうまの杜
クールなLinux向けブラウン管ターミナルをWindowsで動かしてみた
あんまりお勧めできないけど、WSLならGUIアプリケーションだって動くのだ!
2017年11月8日 06:00
“やじうまの杜”では、ニュース・レビューにこだわらない幅広い話題をお伝えします。
先月末、ブラウン管ディスプレイでの見栄えを再現してクールと話題のターミナルアプリ「cool-retro-term」が“やじうまPC Watch”で紹介されていましたが、LinuxとMacしかサポートしておらず、Windowsで試せなくて地団太踏んだユーザーも少なくないのではないでしょうか。しかし、落胆するのはまだ早い! なんと“Windows Subsystem for Linux(WSL)”を使えば、Windows上でも「cool-retro-term」を動作させられるのだそうです。
Windowsだけどcool-retro-term使いたい!!!pic.twitter.com/xPuz4Pgc3d
— ゆたか@Next C93 (@tmyt)2017年10月30日
“WSL”でGUIアプリケーションを動かすのはあまりお勧めできることではないかもしれませんが、ちょっと面白いなと思ったので編集部でも試してみました。
“WSL”と「Ubuntu」のセットアップ
“Windows Subsystem for Linux(WSL)”は、Windows上でそのままLinuxアプリケーションを動作させるための仕組みです。「Windows 10 Fall Creators Update」ならばディストリビューションとして「Ubuntu」や「SUSE」が「ストア」アプリから簡単にインストールできるようになっています。
“WSL”は既定で無効になっているので、“Windows の機能の有効化または無効化”からONにする必要があります。有効化するにはOSの再起動が必要です。また、64bit版の「Windows 10」でしか利用できないので注意してください。
“WSL”を有効化したら、次に「ストア」アプリからLinuxをインストールします。ディストリビューションは「Ubuntu」を選択。「SUSE」の方が簡単に「cool-retro-term」をセットアップできそうでしたが、使い方をあまり知らないので今回は「Ubuntu」を選んでおきました。
「Xming X Server for Windows」をセットアップ
「Ubuntu」の初回起動には割と時間がかかります。その間にXサーバーのセットアップを済ませてしまいましょう。
Unix系OSではGUIアプリケーションを動作させるのに「X Window System」と呼ばれるサーバー・クライアントシステムを利用していますが、そのサーバーをWindows環境で実行するためのソフトがいくつかあります。今回は実績のある「Xming X Server for Windows」を利用しました(旧バージョンはパブリックドメイン)。
・Xming X Server for Windows 日本語情報トップページ - OSDN
本来であればフォントのセットアップも行うべきなのでしょうが、今回は先を急ぐ関係で割愛し、“Xming-mesa-6-9-0-31-setup.exe”をダウンロードしてインストールするだけにとどめました。インストールが完了したら忘れずに実行しておきましょう。
「Ubuntu」でGUIアプリケーションを利用できるように設定
「Ubuntu」が起動したら、ユーザー名とパスワードを設定し、おまじないとして以下のコマンドを入力します(これは実行しなくてもOKです)。
sudo apt-get update
「sudo」は管理者でコマンドを実行するためのコマンド、「apt-get」はソフトウェアパッケージの管理を行うコマンドです(“update”でカタログを最新にします)。「Ubuntu」では「apt-get install ***」でさまざまなコマンドをインストール可能になっています。試しに「X Window System」で動作するGUIアプリケーションをインストールしてみましょう。
sudo apt-get install x11-apps
インストールが完了したら、「xeyes」を実行してみます。
xeyes &
マウスカーソルを追跡する目玉アプリが起動したら成功です!
動かない場合は、以下のおまじないを実行するとよいです。
export DISPLAY=:0
ちなみに、コマンドの末尾に“&”を付けておくと、当該コマンドをバックグラウンドで動作させることができます。「xeyes」の場合は、終了させなくてもシェル(コマンドライン)を使い続けることができるので便利。覚えておくとよいですね。
「cool-retro-term」のインストールと実行
長くなりましたが、ここからが本番です。「cool-retro-term」には「Ubuntu」向けのパッケージが用意されていないので、自分でソースコードをダウンロードしてビルド(コンパイル)する必要があります(以下の操作はホームディレクトリ“~”で行っています)。
とはいえ、公式サイトで案内されているコマンドをコピーして実行するだけなので、それほど難しくはありません。
まずは、必要なパッケージを一度にインストールします。
sudo apt-get install build-essential qmlscene qt5-qmake qt5-default qtdeclarative5-dev qml-module-qtquick-controls qtdeclarative5-qtquick2-plugin libqt5qml-graphicaleffects qml-module-qtquick-dialogs qtdeclarative5-localstorage-plugin qtdeclarative5-window-plugin
次に“GitHub”からソースコードを取得します。
git clone --recursive https://github.com/Swordfish90/cool-retro-term.git
完了するとカレントディレクトリ直下の“cool-retro-term”ディレクトリ(Windowsでいうところのフォルダー)にソースコードが展開されるので、移動してコンパイルします(一行ずつ入力して実行してください)。
cd cool-retro-term
qmake
make
コンパイルが完了したら、実行してみましょう。ちゃんと「cool-retro-term」が起動すると思います。
なお、「Ubuntu」の環境を壊してしまったなどの理由で一からまたやり直したい場合は、「設定」アプリの[アプリ]-[アプリと機能]セクションから「Ubuntu」をアンインストールして、再度「ストア」アプリから入手すればOK。まずはいろんなアプリを動かしてみてみながら、「Ubuntu」に慣れていきましょう!