やじうまの杜
「Windows 10」の“WSL”に特化したLinuxディストロ「WLinux」を試す
楽してWindowsでLinuxアプリを使いたいユーザーには魅力的かも?
2018年9月26日 06:30
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「Windows 10」の“Windows Subsystem for Linux(WSL)”に最適化したというLinuxディストリビューション「WLinux」が“Microsoft Store”で公開されました。ストアで公開されるLinuxディストリビューションとしては6つ目になるのでしょうか。他のディストリビューションはタダで配布されているのに、価格2,350円(税込み)で販売されているのは少し高いなと感じましたが、期間限定で1,000円にディスカウントされていたので、なけなしのお小遣いをはたいて買ってみました。
「WLinux」は、オープンソースで開発されている「Debian」ベースのLinuxディストリビューションです。“GitHub”のプロジェクトページでは、以下のような特徴があると説明されています。
- 「X410」アプリ(後述)などのXサーバーが導入されていれば、ほとんどすべてのLinuxのGUIアプリを設定不要で利用できる
- 「zsh」シェルや「Git」、「Neovim」、「Python 3.7」といったメジャーツールがあらかじめインストールされている。バックポートやテストリポジトリもあらかじめ設定済みで、多くのソフトを“sudo apt install (パッケージ名)”というコマンドで簡単にセットアップできる
- 「Windows 10」と“WSL”を使いやすくするオープンソースユーティリティ「wslu」があらかじめインストールされている
- 安定性とセキュリティを向上させるために「systemd」などの不要パッケージが削除されている
- 「Google Chrome」や「Visual Studio Code」を導入するためのシェルスクリプトを同梱(後述)
- “WSL”の不具合に他のLinuxディストリビューションよりもすばやく対応する
導入そのものは簡単で、ストアで配布されている他のLinuxディストリビューションと同じく、「ストア」アプリからインストールして初期設定(ユーザーの作成)を行うだけで使い始めることができます(あらかじめ“WSL”を有効化しておくのを忘れないでください)。これだけでは「Debian」や「Ubuntu」とあまり変わらないので、GUIアプリの導入にもチャレンジしてみました。
GUIアプリを試してみる
「WLinux」からLinuxのGUIアプリを実行するには、別途Xサーバーが必要です。開発チーム推奨のXサーバーは「X410」アプリで、これも「ストア」アプリから簡単にインストール可能。4,650円(税込み)となかなかのお値段ですが、来月20日まで88%OFFの580円で購入できます。「WLinux」とあわせて計1,580円なり。
ちょっとわかりづらいですが、「X410」アプリを実行するとタスクトレイにアイコンがあらわれます。Xサーバーの準備はこれでOK。試しにテキストエディター「Gedit」をセットアップして実行してみました。
$ sudo apt-get install gedit -y
$ gedit
すると、あっさりと「Gedit」が起動。以前、“WSL”の「Ubuntu」でLinuxのGUIアプリを動かす方法を紹介しましたが、それに比べると簡単すぎて拍子抜けしそうです。
続いて、「WLinux」に同梱されているシェルスクリプトを使って、「Google Chrome」と「Visual Studio Code」を導入してみました。
$ sudo /opt/installchrome.sh
$ sudo /opt/installcode.sh
残念ながら、「Google Chrome」は正常に起動しませんでした。ウィンドウは表示されるのですが、その中身は空っぽ……コンソールはエラーの嵐です。
でも、「Visual Studio Code」は無事起動。Windows版と見た目がほぼ同じなのでちょっとわかりづらいですが、バージョン情報ダイアログなどをみるとウィンドウ枠が「Windows 10」とは異なるのがわかります。
「Debian」や「Ubuntu」と異なり、ユーザー数がまだあまり多くないので、トラブルに見舞われたとき助けを得られるかが少し心配ですが、“楽してWindowsでLinuxアプリを使いたい”というユーザーには結構魅力的な選択肢に思えますが――いかがでしょうか。手に入れるならセール価格の内に購入しておきたいですね。