やじうまの杜

Googleは個人情報を収集しすぎ! ~プライバシー重視の検索エンジンDuckDuckGoが批難

App Storeの“プライバシーラベル”を参考にしながら利便性&プライバシー保護のベストバランスを探そう

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 プライバシー重視の検索エンジン「DuckDuckGo」が、Googleのアプリを批判するツイートを投稿して話題になっています。

 「DuckDuckGo」が依拠しているのは、最近Appleのアプリストア“App Store”で義務付けられた“プライバシーラベル”です。これはアプリが収集している情報を消費者にわかりやすく表示したもので、たとえば「DuckDuckGo」のWebブラウザーアプリでは以下のような表示になっています。

「DuckDuckGo Privacy Browser」アプリのプライバシーラベル

 つまり、「DuckDuckGo」アプリではユーザーを識別可能なデータを収集していませんよ、というわけ。まったくデータを収集していないわけではありませんが、アプリの利用状況を測定したり、不具合を検出し、アプリの改善を役立てるためのログデータを匿名で集めているにすぎません。

 一方、「Google Chrome」アプリにおけるプライバシーラベルは以下の通りです。

「Google Chrome」アプリのプライバシーラベル

 一目で収集している情報が「DuckDuckGo」アプリよりもずいぶん多いのがわかります。詳細をみてみると、“Google マップ”などで現在地を取得するための位置情報や音声入力のためのオーディオデータ、設定を同期するのに必要なユーザー情報、有料コンテンツを購入するための支払情報などが含まれており、アプリの利便性を向上させるためには仕方のないものが大半なのですが(一部は無効化することも可能)、それでもやはり収集範囲が広いのは気になるとことです。

 さらに、検索を行うための「Google」アプリをみてみると、さらに多くの個人情報が収集されています。追加で収集されている情報は“デベロッパの広告またはマーケティング”に関するもので、連絡先情報(所在地・メールアドレス・名前)なども含まれているのが気になりますね。

「Google」アプリのプライバシーラベル

 「DuckDuckGo」は“優れたWebブラウザーや検索エンジンを作るのに、ユーザーを監視(Spy)する必要はない”とGoogleを批判しています。本当にそうであれば、と筆者も思うのですが、少々疑問な点もあります。

 「DuckDuckGo」は「Bing」をベースとしているようですが、ご存じの通り、こと日本語版においては「Google」に劣ると言わざるを得ません。たとえば、Googleの方が政治や医療の分野において質の悪い情報を排除したり、自然災害や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については科学的見地に裏付けられた検索結果を表示するといったきめの細かい改善に力を入れています。(収集したユーザー情報をうまく活用して)収益性が高い分、そういったことにリソースを割く余裕があるのでしょう――ときにはお節介に感じられることもありますが。

 過度なプライバシー情報の収集やWeb行動の追跡はもちろん戒められるべきものですが、プライバシーと利便性の間にはトレードオフの関係があり、ある程度は許容した方が便利で快適なのが現実です。当面の間は、Appleが進めるプライバシーラベルのような方法でアプリ・サービス側に情報収集ポリシーの透明性向上を促す一方で、ユーザーはこれらを参考にしながら、プライバシーと利便性のバランスを選び取っていく必要があるでしょう。

 プライバシーラベルが信用できないので自衛したいという場合は、プライバシー保護に重きを置いた「DuckDuckGo」のようなアプリを活用するか、「Firefox」の強化型トラッキング防止機能など、利便性をなるべく損なわずにプライバシーを保護するソリューションの導入を検討しましょう。