やじうまの杜
Googleに怒られない? プライバシー至上主義検索サイト「DuckDuckGo」に公式Webブラウザー
Mac版に続きWindows版が公開。現在、パブリックベータ中
2023年6月27日 16:52
「やじうまの杜」では、ニュース・レビューにこだわらない幅広い話題をお伝えします。
2021年12月に「DuckDuckGo」がデスクトップ向けWebブラウザーを開発中であることをお伝えしましたが、ようやくWindows版がパブリックベータ版としてリリースされました。現在、「duckduckgo.com/windows」(直接リンク)から無償でダウンロードできます。
「DuckDuckGo」は、プライバシー重視を謳う検索エンジンです。
検索エンジンの多くは広告による収益を上げるため、「ターゲティング広告」というシステムを導入しています。ユーザーがインターネットで何を調べて、どんなコンテンツへアクセスしているかを追跡し、その興味や関心に合致した広告を掲出することで、より高い収益を得ています。「窓の杜」を含め、無料で運営されているサービスの多くは、この「ターゲティング広告」に依存しています。
しかし、「行動が追跡されている」ということに不安を覚えるユーザーもいることでしょう。実際、集められたデータがユーザーの許可なく第三者と共有されたり、販売された事例もあります。
その点、「DuckDuckGo」はユーザーの行動を追跡したり、ユーザーの情報を収集・販売するようなことはしないということを約束しており、信頼もおけるようです。収益をどこから得ているのかは気になりますが、投資家から資金を調達したり、ユーザー追跡なしの「Microsoft Advertising」広告を利用している模様。
また、「eBay」などともパートナーシップを結んでおり、アフィリエイトを得ているようです。「DuckDuckGo」から「eBay」へアクセスしたことは追跡されるでしょうが、個人を特定できる情報はやりとりされていないとのこと。
さて、今回リリースされたWindows版「DuckDuckGo」アプリを実際に試してみましょう。
インストーラーは*.appinstaller形式で配布されていますが、その実態はXMLファイルです。XMLファイルで指定された場所からパッケージをダウンロードし、セットアップする仕組みになっています。パッケージの形式はMSIXで、最新の作法に従っている感じですね。インストール・アンインストールを繰り返しても、システムにゴミファイルが残ったり、OSが不安定になることはなさそうです。
Webページのレンダリングには、「WebView2」を利用している模様。「Microsoft Edge」と同等のレンダリング能力が期待できます。
独自機能として挙げられているのは、以下の通り。
- 独自のプライバシー保護機能
- プライバシーを侵害する広告を表示せずに「YouTube」動画を視聴できる「Duck Player」
- 「Google Chrome」やその他のWebブラウザーに搭載されているものより優れたトラッカーブロック機能
- よりスマートな暗号化機能
- Cookieポップアップの管理。Cookieの許可を求めるポップアップをもっともプライベート重視な設定にし、自動で閉じる
- 最近の閲覧データをワンクリックで燃やす[Fire]ボタン。ログイン状態だけ維持する「Fireproof」オプションも
- 一時的な「@duck.com」メールアドレスを発行する、いわゆる捨てアド機能
とくに「YouTube」のトラッキング広告が表示されないようにする「Duck Player」は強力そうで、さすがにGoogleに怒られないか心配になってしまうほどです(「YouTube」はGoogleの傘下です)。
案の定(?)、動画の終了後に現れる類似動画へのリンクをクリックすると、「YouTube」から接続を遮断されてしまいました。「Duck Player」自体はブロックされていないようですが、正式版まで生き延びることができるのでしょうか……。