やじうまの杜

「Windows 11」は操作への応答が高速化 ~Microsoftがその秘密を解説

フォアグラウンドプロセスへのリソース割り当て、OSの復帰処理などを見直し

操作の応答性が改善された「Windows 11」

 プレビュー版「Windows 11」を試したユーザーのなかには、操作の応答性が改善されたと感じた人も少なくないのではないだろうか。Windows 11そのもののハードウェア要件は引き上げられており、実際、古いデバイスではもたつきを感じたが、要件を満たしたデバイスであれば、UIの反応はむしろよくなった印象を受ける。この点に関し、MicrosoftがWindows 11で行ったパフォーマンスの最適化を解説してくれているので、今回はそれを簡単にご紹介しよう。

 同社によると、Windows 11ではUIの応答性を改善するために、アプリやプロセスの優先順位を調整しているという。

 たとえばCPUに90%の負荷がかかっている場合(社内では「P90」と呼ばれている状態)、通常はこの状態でさらにアプリを開くとシステム全体の速度は低下してしまう。しかし、Windows 11ではフォアグラウンド(手前)で実行されているアプリのウィンドウをバックグラウンド(奥)で実行されているプロセスより優先し、CPUやその他のシステムリソースをより多く割り当てる仕組みなっているので、ユーザーの操作に素早く反応できるというわけだ。

 システムの反応を待つ時間は、それがたとえ一瞬であったとしても、積もり積もれば無視できない長さになる。そのため、こうした改善はユーザーにとって大きな恩恵となりうる。

 同様のコンセプトは、Windows 11のシェルだけでなく、「Microsoft Edge」にも導入されている。スリープタブ(Sleeping Tabs)と呼ばれる機能がそれで、ある一定期間利用しなかったタブのリソースを開放し、他のプロセスで活用することで、システム全体の応答性を高める。

 初期設定では2時間使われていないタブが対象となっており、スリープ状態になったバックグラウンドタブはタイトルが薄くなる(フェード効果)。タブへマウスオーバーすれば、スリープ状態であることがツールチップで示される。

ある一定期間利用しなかったタブのリソースを開放し、他のプロセスで活用することで、システム全体の応答性を高めるスリープタブ(Sleeping Tabs)
スリープ状態になったバックグラウンドタブはタイトルが薄くなる

 スリープまでの待機時間は「Edge」の設定画面やグループポリシーで管理可能。同社はこの機能を導入することで、平均してメモリ使用量は32%、CPU使用率は37%も節約できたとしている。

 ちなみに、この機能はWindows 11でなくても利用できる。システム全体のパフォーマンスの向上だけでなく、バッテリー持続時間の改善も期待できるので、ぜひ活用したい。

スリープまでの待機時間は「Edge」の設定画面やグループポリシーで管理可能

 また、Windows 11ではスリープ状態からの復帰が高速化されているとのこと。ハードウェア層でコンポーネントの呼び出し順を見直し、全体的なメモリ管理を改善したり、ソフトウェア層で必要とされるスレッドに十分なリソースが割り当てられるように調整した結果、OSの復帰にかかる時間は25%ほど改善されたという。

 加えて、ビジネス用の「Windows Hello」認証でもコードの最適化が行われ、最大で30%のスピードアップが実現されたとのこと。ラップトップを開いて、実際に使えるようになるまでの時間が短縮されるため、ストレスなくデバイスを使うことができる。

 そのほかにも、ディスクの使用量に関しても削減のためのさまざまな工夫が施されている。OS自体やWebブラウザーのキャッシュによるディスク消費を減らしたり、圧縮技術の活用を進めたほか、比較的重要でない同梱アプリケーションやコンポーネント――「Sticky Notes」(付箋)や「To Do」、「Power Automate」など――はデフォルトの状態では「スタブ」になっている。つまり、実際にはインストールされておらず、あるのは見かけだけで、たとえば「Sticky Notes」の場合、[スタート]画面から初めて起動すると「読み込み中」のメッセージがとりあえず表示され、アプリの実体(バイナリ)は必要に応じて読み込まれる。こうすることで必要のないアプリがディスクを占有したり、バックグラウンド更新でネットワーク帯域を消費することがなくなる。

「Sticky Notes」を[スタート]画面から初めて起動
「スタブ」が「読み込み中」のメッセージがとりあえず表示。バックグラウンドでアプリの実体を読み込む。この段階でアプリは初めてローカルストレージを消費する
「Sticky Notes」が起動。次回からは高速に起動する