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「Microsoft Edge 89」の安定版にスリープタブや垂直タブが初期搭載
悪用が確認済みの脆弱性修正も含まれているので注意。できるだけ早い更新を
2021年3月8日 15:28
米Microsoftは3月4日(現地時間)、「Microsoft Edge」の最新安定(Stable)版v89.0.774.45を公開した。「Edge 88」で案内されていた“スリープタブ”や“垂直タブ”といった新機能がデフォルトで有効化されている。
スリープタブ(Sleeping Tabs)は、アクティブではないタブのリソースを積極的に解放して負荷を低減する機能だ。初期設定では2時間使われていないタブが対象となっており、リソース開放(スリープへの移行)が行われたバックグラウンドタブはタイトルが薄くなる。
同社によると、この機能により一般的な環境でメモリ使用量は平均で32%、CPU利用率は平均37%削減できるとのこと。スリープ状態へ移行するまでの時間の変更や除外サイトの管理は、設定画面の[システム]セクション(edge://settings/system)で行える。
もう1つの垂直タブは、タブバーを閲覧画面上部のバーではなく、左側のパネルに一覧表示する機能だ。画面左上のアイコンで手軽にON/OFFできるようになっており、使い慣れたタブバーへ戻すのも簡単だ。
垂直タブの利点は、タブをたくさん開いてもタイトルを視認しやすいこと。ワイドディスプレイなど、横方向の表示に余裕のある環境に適している。パネルの幅の分だけコンテンツの表示領域が狭くなるのはデメリットだが、折りたためばFavicon表示に切り替えることができるのであまり問題にはならないだろう。プレビュー版の「Edge」ではタブパネルの幅をマウスで調整する機能もテストされており、いずれ安定版にも導入される見込みだ。
そのほかにも、「Edge」で同期したデータを手動でリセットするオプションを追加。問題が発生した場合に試すことができる。また、PDF注釈の強化や生年月日フィールドのオートフィル(自動補完)も本バージョン以降サポートされるとのこと。
管理者向けでは、“キオスクモード”(Kiosk Mode)の機能強化などが主な変更点。新旧「Edge」の置き換えに際しては“キオスクモード”モードの運用にいくつかの注意点があるので、管理者は移行ドキュメントに目を通しておきたい。また、“IE モード”向けのサイト一覧を閲覧・編集する管理ページ(edge://compat)が新設されている。
セキュリティ関連の修正は、CVE番号ベースで33件。なかでもオーディオで発見されたオブジェクトライフサイクルの問題(CVE-2021-21166、深刻度“High”)は攻撃への悪用が確認されており、警戒が必要だ。この問題は「Google Chrome」v89.0.4389.72でも対処されている。
「Chromium」ベースの「Microsoft Edge」はWindows/Macに対応しており、現在公式サイトから無償でダウンロード可能。すでに新しい「Microsoft Edge」を利用中の場合は、自動で更新されるため何もする必要はない。手動で更新したい場合は、画面左上のメニュー(“…”アイコン)から[ヘルプとフィードバック]-[Microsoft Edge について]画面(edge://settings/help)へアクセスするとよい。すぐにアップデートを受け取れない場合もあるので、その場合は時間をおいて再度試してみてほしい。