やじうまの杜

JR東日本の運転士さんが使用している訓練用シミュレーターが奇跡の公式商品化!

「JR EAST Train Simulator」のSteam早期アクセス版で京浜東北線の運転を実際に体験してみた

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「JR EAST Train Simulator」のローディング画面

 今年9月、突如として米Valveが運営するPCゲーム配信プラットフォーム「Steam」に商品ページがオープンし、ゲーマーのみならず鉄道ファンの間で大きな話題となっているタイトルをご存知ですか。その名も「JR EAST Train Simulator(JR東日本トレインシミュレータ)」。なんと東日本旅客鉄道(JR東日本)公式の鉄道運転シミュレーターです。

 鉄道シムといえば、タイトーの「電車でGO!」シリーズや、マイクロソフトの「Microsoft Train Simulator」といった名立たるタイトルがありますが、本作の最大の特徴は、JR東日本の乗務員訓練用に使用されている業務用シミュレーターをコンシューマー向けに改修してリリースした点にあります。つまり、自宅にいながら本物の運転士さんが使用するシミュレーターを体験できてしまうのです。もう鉄オタさん垂涎の作品なのではないでしょうか。

 その注目度の高さは、早期アクセス版が9月20日にリリース開始となるや、日本国内における「Steam」の売上ランキングで「モンスターハンターライズ:サンブレイク」や「サイバーパンク2077」などの人気タイトル(しかもセール実施中だったの)をおさえてトップに輝いたということからも伺い知れます。

 というわけで、今回はさっそく「JR EAST Train Simulator」の早期アクセス版をダウンロードして体験してみることにしました。

早期アクセス版は「京浜東北線」と「八高線」を運転可能

 早期アクセス版では、下記の2つの路線がプレイ可能です。今回は「京浜東北線」の方を選択してみました。

  • 京浜東北線(E233系1000番台) 南行 大宮~南浦和間
  • 八高線(キハ110系) 上り 高崎~群馬藤岡間
京浜東北線(E233系1000番台)
八高線(キハ110系)

 なお、早期アクセス版ということでプレイ可能なのは、それぞれの路線の数駅区間のみとなっています。

トップ画面はシンプル。好きな路線を選択します
今回は「京浜東北線」にしてみました。次は開始駅を選びます

 路線を選択したら、3つのレベルから好きなものを選べます。初プレイということで、操作ガイド付きで安心の「初級」を選択しました。一番の上の「上級」なら、操作ガイドや運転情報を表示するHUDも一切表示されず、また駅停止範囲も「±1m」となり、運転士さんと同じ環境で運転体験ができるそうですよ。それでは、出発進行です。

初めてプレイする場合は「初級」がおすすめ
ガイドやHUDも表示されない「上級」も用意されています

実写映像と走行音、さらに忠実に再現された運転台でリアルな体験ができる!

 ローディングが終了すると、速度計などの計器パネルが、実際の車両と同じように忠実に再現された運転台が表示されています。「初級」レベルでは、進め方を教えてくれるので、その案内にしたがって運転を行なっていきます。

「知らせ灯」が点灯したら出発です!

 1ハンドル車である京浜東北線の場合の操作は、マウスホイールか、キーボードの[Q][S][Z]キーで、加減速をコントロールしていく形となります。

本作の操作はキーボード中心となります。フルバージョンでは外部コントローラの対応も予定されているとか

 操作感は(PCの動作環境のせいでしょうか……)若干のラグを感じるものの、業務用シミュレーターがベースということもあって、おふざけなしの玄人向けといった感じです。ただし「電車でGO!」シリーズなどの「持ち時間制(持ち点制)」ではないので、たとえ大きなミスを犯しても、その時点で「運転中止(ゲームオーバー)」になることはありません。

 また、本シミュレーターに使用されているのは、JR東日本で実際の車両を用いて撮影された高精細な映像ということで、実際の運転士さんと同じ目線でリアルな景色を味わいつつ、運転を体験できるのはうれしいポイントです。シミュレーター上で発せられる車両や線路からの音も、同じく実際の車両を用いて収録されたもので、目と耳からリアルな運転体験を可能としています。

【選べる3つの視点】
[C]キーで運転台の表示切替が行なえます。こちらは「運転台フル表示」
上部の表示が省略された「運転台簡易表示」
高精細な映像が楽しめる「運転台無表示」。左右への視点移動ができないのは残念です
計器類は運転操作や速度などに応じて動作しますよ

 さて、停止駅に近づいてくると、いよいよブレーキを操作して列車を指定された停止範囲におさめなければなりません。しかし、このブレーキ加減がとても難しい。

停止駅のホームに近づくと、ブレーキを調整するように案内されます

 結局は、何度も何度も停止位置をオーバーしてしまい、「直ちに停車してください」と警告を出されてしまう不甲斐ない運転体験となりました。どうやら運転士さんへの道は長く険しいようです。日々ダイヤを乱すことなく正確に運転業務を全うするプロの方々に頭が下がるばかりです。

浦和駅に向かうプレイ画面。列車とすれ違う場面もありました
場内進行です。ホーム内映像では人もしっかり動いています
ブレーキが間に合わず……。停止位置をオーバーしてしまいました

 ところで、本作は「Train Simulator」シリーズで知られる(株)音楽館とJR東日本がタッグを組んで開発されたタイトルだそうです。早期アクセス版は開発途中のものになりますが、音楽館は、鉄道会社向け業務用シミュレーター制作におけるパイオニアでもありますから、今後登場予定のフルバージョンでの機能追加には大いに期待したいところです。

 率直な感想としては、すでに告知されている外部コントローラーへの対応により、早くワンハンドルタイプでもマスコンタイプでもいいので、本作をよりリアルに体験してみたいところですね。

早期アクセス版での「京浜東北線」の運転体験は、南浦和駅までで終了となります

 ちなみに、この早期アクセス版は無料の体験版ではありません。2路線セットで価格は980円となります。気になるフルバージョンの配信は今後、およそ1~3カ月程度を目途に予定されています。残念ながら機能の追加に伴い、販売価格は上がる予定とのことです。長距離の区間を運転可能な各路線のDLCも販売予定だそうですよ。

 本作については「業務用で当初開発していることから、皆様からのフィードバックやご要望を参考に、より良い運転体験を提供すべく、詳細な仕様を検討してまいります」としており、一度プレイしてみた方はさらなる品質向上のため、商品ページの掲示板でフィードバックを忘れずに伝えておきたいところですね。それではまたお会いしましょう。

早期アクセス版では「八高線」もプレイできます。こちらもぜひ体験してみてください!