やじうまの杜
「Windows 11 2022 Update」の不具合まとめ【12月5日更新】
一部ゲームの性能が低下する問題は2022年11月のCリリースで解消
2022年9月21日 08:00
「やじうまの杜」では、ニュース・レビューにこだわらない幅広い話題をお伝えします。
「Windows 11 2022 Update」(バージョン 22H2)の一般提供が開始され、一部のデバイスから段階的に展開が始まっていますが、すでに既知の問題が2件確認されています。
いずれも「バージョン 22H2」固有の問題というわけではありませんが、手動でのアップグレードを計画している場合は目を通しておいたほうがよいでしょう。
[2022年12月5日更新] 1件の問題が解決
- リモート デスクトップ接続が無反応になる問題
- 一部ゲームの性能が低下する問題【12月5日更新】
- 「Xbox Game Bar」アプリによる動画キャプチャーの問題
- Delphi/C++Builder製アプリが日本語変換時にクラッシュする問題
- 「Windows Hello」でサインインできない問題
- 巨大ファイルの遠隔コピー性能が40%低下する問題
- 初回設定画面がクラッシュして予期せず再起動する問題
- 【解決】一部のインストール済みプリンターでデフォルトの設定しか利用できなくなる問題
- 【解決】非英語のインストールメディアを作成できない問題
- 【解決】「グループ ポリシーの管理」を用いたファイルのコピーに関する問題
- 【解決】GeForceでゲームのパフォーマンスが低下
リリース時に確認されている既知の問題
「KB5012170」のインストールに失敗し、「0x800f0922」エラーが表示される
「セキュア ブート」(Secure Boot)の脆弱性を修正するセキュリティ更新プログラム「KB5012170」がインストールできず、「0x800f0922」というエラーメッセージが表示されることがある。この問題は「Windows 11 バージョン 22H2」だけでなく、Windows 8.1以降のすべてのバージョンに影響する。
同社は現在、問題を調査中。UEFIをアップデートすることで解決できることもあるようなので、バックアップなどの対策を十分に講じたうえで試してみるとよいだろう。
「Intel SST」サウンドドライバーの一部に非互換性問題
「Intel Smart Sound Technology」(Intel SST)ドライバーの一部バージョンはWindows 11と互換性がなく、ブルースクリーン(BSoD)エラーが発生する場合がある。この問題は、オリジナルバージョンの「Windows 11」(バージョン 21H2)にも影響する。
影響を受けるドライバーはファイル名が「IntcAudioBus.sys」で、ファイルバージョンがv10.29.0.5152以前またはv10.30.0.5152以前となっているもの。「デバイス マネージャー」の[システムデバイス]ツリーに「Intel Smart Sound Technology(Intel SST)Audio Controller」という名前で存在する。
Microsoftは、該当するIntel SSTドライバーを搭載したデバイスに対し、セーフガードを適用中。Windows 11のアップグレード提供は一時的に停止されている。[今すぐ更新]ボタンやメディア作成ツールを使用した手動アップグレードは推奨されないので注意したい。
問題を回避するには、デバイスメーカー(OEM)へ問い合わせて、更新されたドライバーを入手・適用する必要がある。v10.29.xとv10.30.xは別系統であり、v10.29.xからv10.30.xへ更新してもv10.30.0.5152以前であれば問題の影響を受けてしまうので注意したい。ドライバーをアップデートすればセーフガードは解除され、アップグレードできるようになるが、それが反映されるには最大で48時間程度かかるとのこと。
リリース後に確認された問題
【解決】GeForceでゲームのパフォーマンスが低下【9月28日追記】
「GeForce」シリーズのグラフィックスカードを使用する一部の環境で、ゲームのフレームレートが低下したり、スタッター(カクつき)が発生する。
米NVIDIAは9月23日(現地時間)、この問題を解決した「GeForce Experience 3.26」をベータ版として公開した。
[2022年9月28日追記] 9月27日(現地時間)に正式版の「GeForce Experience 3.26」が公開された。「GeForce Game Ready」ドライバー(バージョン 517.48)も利用可能。
【解決】「グループ ポリシーの管理」を用いたファイルのコピーに関する問題【10月17日更新】
Windowsに「グループ ポリシーの管理」を用いたファイルのコピーに失敗したり、空のショートカットや0(ゼロ)バイトのファイルを作成されてしまう。「グループ ポリシー管理エディター」の[ユーザーの構成]-[Windows の設定]以下にあるファイル、ショートカットといったオブジェクトが影響を受ける。
米Microsoftは9月22日(現地時間)、問題の解決に努めており、更新プログラムの提供で対処する予定だという。この問題を回避するには、以下のいずれか1つを実施するとよい。
- [ログオンしているユーザーのセキュリティ コンテキストで実行する]を無効化する。ただし、ワイルドカード(*)を利用するアイテムでは問題を軽減できないことがある
- 影響を受けるグループポリシーでアクションを「置換」から「更新」に変更する
- パスにワイルドカードを指定している場合、末尾の「¥」を削除するとコピーが成功することがある
[2022年10月17日更新] 本問題は10月11日(米国時間)に公開された2022年10月のセキュリティ更新「KB5018410」で解決された。ただし、上記の回避策を実施した場合は、元の構成に戻す必要がある。
【解決】非英語のインストールメディアを作成できない問題【9月28日追加】
英語以外の言語を対象としたインストールメディアを作成できないことがあった。
米Microsoftは9月27日(現地時間)、この問題を修正する更新プログラム「KB5019311」を定例外で公開した。このパッチは「Microsoft Update Catalog」から無償でダウンロード可能。9月28日(日本時間)現在、「Windows Update」などを通じた配信は行われていないので注意したい。
【解決】一部のインストール済みプリンターでデフォルトの設定しか利用できなくなる問題【10月24日更新】
一部のインストール済みプリンターでデフォルトの設定しか利用できなくなる問題が発生している。「Microsoft IPP Class Driver」や「Universal Print Class Driver」でインストールされたプリンターのなかには、プリンターとの接続が回復されても設定を更新できないものがあるという。
米Microsoftは9月29日(現地時間)、「Microsoft IPP Class Driver」または「Universal Print Class Driver」を利用するプリンターを搭載したすべてのWindowsデバイスに、セーフガードを適用することにしたとのこと。[今すぐ更新]ボタンやメディア作成ツールを介した手動アップグレードも推奨されない。
[2022年10月24日追記] 10月21日、本問題を解決するトラブルシューターが公開された。影響を受けるデバイスへ自動でダウンロードされ、問題は解決されるとのこと。
初回設定画面がクラッシュして予期せず再起動する問題【10月5日追加】
「Windows 11 バージョン 22H2」を実行しているすべてのデバイスでプロビジョニングプロセスが失敗してしまう。この問題は、デバイスが「Out-of-Box Experience」(OOBE:OSの初回セットアップ画面)プロセスでスタックを引き起こす原因ともなっており、プロビジョニング中にパッケージは適用されるものの、OOBEがクラッシュし、デバイスが予期せず再起動する可能性がある。
RTM(製品リリース)版「Windows 11 2022 バージョン 22H2」のコードでイメージ化されたデバイスや「Windows Update」でアップグレードされたデバイスは、修正プログラムが実装されるまでプロビジョニングパッケージを使用した登録が行えない。Windowsデバイスを集中管理していてこの問題が発生した場合は、一度「Windows 11 バージョン 21H2」にダウングレードしてプロビジョニングパッケージを使用するか、「Windows Autopilot」を利用してデバイスを登録する必要があるとのこと。
巨大ファイルの遠隔コピー性能が40%低下する問題【11月30日更新】
リモートPCから数GB単位の巨大ファイルをSMB経由で「Windows 11 バージョン 22H2」デバイスへコピー(読み取り)する際、スループットが40%低下することがある。この問題はSMBを利用するときに遭遇することがよくあるだけで、SMBに問題があるわけではない。SMBを使用しないローカルファイルコピーでも問題が発生することがある模様。
問題を回避するには、以下のように「robocopy」や「xcopy」などのコマンドにI/Oバッファリングを解除する「/J」パラメーターを付与して実行すればよい。
[2022年11月30日編集部追記] 米国時間11月28日にリリースされた「Windows 11 Insider Preview」Build 25252(Dev)で、本問題は修正済みとなった。検証ののち「Windows Update」で一般環境に展開されるとのこと。
「Windows Hello」でサインインできない問題【10月11日追加】
アップグレード後に「Windows Hello」の「拡張サインインセキュリティ」(Enhanced Sign-in Security)を有効化しているデバイスで、「Windows Hello」によるサインインができない場合がある。パスワードを利用したサインインは可能だが、「Windows Hello」のPIN、顔認証、指紋認証ではサインインできなくなる。
本問題は「拡張サインインセキュリティを有効化した状態でアップグレードする」と発生し、アップグレード後やクリーンインストール後に拡張サインインセキュリティを有効にした場合は問題ない。また、影響範囲はクライアントOSのみで、サーバーOSには影響しない。
Delphi/C++Builder製アプリが日本語変換時にクラッシュする問題【12月1日更新】
新しい日本語入力システム(IME)が原因で、「Delphi」「C++Builder」「RAD Studio」の「VCL」で開発されたアプリがクラッシュする。「FMX」で開発されたアプリでは問題は発生しない。
Embarcadero Technologiesによると、この問題は2002年リリースの「Delphi 7」から最新の「RAD Studio 11.2 Alexandria」までの、幅広いバージョンに影響する。問題が発生したアプリでは、デバッガーに以下のようなエラーメッセージが表示されることがあるという。
プロジェクト Project1.exe は例外クラス $C0000090 (メッセージ 'floating point invalid operation at 0x6de1a449')を送出しました。
プロジェクト Project1.exe は例外クラス $C0000090 (メッセージ 'c0000090 FLOAT_INVALID_OPERATION')を送出しました。
アプリがリリースモードの場合は上記の例外エラーは表示されず、アプリが日本語入力時にクラッシュし、強制終了してしまう。
日本のフリーソフトにも影響が出ており、「TeraPad」や「Mery」がクラッシュする現象が報告されている。
Embarcadero Technologiesは、当面の対策として以前のバージョンの「Microsoft IME」に戻すか、[オプションの診断データを送信する]オプションを無効化する方法を案内している。
[2022年11月22日追記] 米Microsoftは11月18日(現地時間)、「Windows 11 バージョン 22H2」で入力方式エディター(IME)の入力モードを変更すると一部のアプリケーションが応答しなくなる問題が発生していることを認めた。Embarcadero Technologiesが指摘した、「Delphi」「C++Builder」「RAD Studio」製アプリで日本語変換を利用するとクラッシュする問題のことであると思われる。
この問題は日本語に限らず、「Text Services Framework」(TSF)の特定コンポーネントを読み込むアプリケーションで観測されるとのことで、多くの場合エラーメッセージなどは表示されず、勝手にアプリが終了してしまう。また、この問題が発生するのは以下のようにキーボードショートカットで入力モードを変更したときだけで、タスクバーのIMEモードアイコンをクリックした場合には発生しない。
- 日本語:[半角/全角]キー、または[Alt]+[~](チルダ)キー
- 中国語:[Control]+[Space]キー
- 韓国語:キーボードの右[Alt]キー
Microsoftは現在、この問題を調査中で、将来のリリースで解決するとしている。
[2022年12月1日追記] 本問題は、2022年11月のプレビュー更新プログラム「KB5020044」を適用することで解決する。2022年12月のパッチチューズデーに一般配信される。
「Xbox Game Bar」アプリによる動画キャプチャーの問題【11月7日追加】
「Xbox Game Bar」アプリでゲームプレイを動画キャプチャーする際、音声が同期しないことがある。また、「Xbox Game Bar」アプリと同じWindowsライブラリ、APIを使用してビデオファイルをキャプチャーまたは処理するアプリも、この問題の影響を受ける可能性があるとのこと。
この問題は「Xbox Game Bar」アプリで[ゲームのプレイ中にバックグラウンドで録画する]オプションを有効にし、[直前の 30 秒を録画する]コマンド([Windows]+[Alt]+[G]キー)を利用すると発生する可能性が高まるという。これ以上のトラブル拡大を防止するため、「Xbox Game Bar」アプリのキャプチャー機能を過去に使用したことのあるデバイスには、「バージョン 22H2」へのアップグレードを一時停止するセーフガードが適用中だ。
セーフガードを解除するには、先日リリースされた本問題の修正が含まれるプレビューパッチ「KB5018496」(オプション)を適用するとよい。11月の定例セキュリティ更新プログラム(必須)にも含まれているはずなので、このパッチが自動配信されるのを待つのもよいだろう。セーフガードホールドの解除は11月中旬を予定しているとのこと。
一部ゲームの性能が低下する問題【12月5日更新】
一部のゲームやアプリでパフォーマンスが低下したり、動作が不安定になる。トラブルの拡大を防止するため、影響を受けると考えられるデバイスには「バージョン 22H2」へのアップグレード提供を一時的に停止するセーフガードが適用されている。手動によるアップグレードも推奨されないので注意したい。
この問題はGPUパフォーマンスのデバッグ機能が不注意に有効化されている場合に発生するとのこと。この機能はあくまでも開発者向けのもので、一般ユーザーが利用することは想定されていない。
Microsoftは現在、解決に向けて取り組んでいる。アプリやゲーム側のアップデートで解決されることもあるという。
[2022年11月25日編集部追記] 11月23日付でセーフガード情報が更新され、対象がこの問題の影響を受ける限られたゲーム・アプリをインストールしたWindowsデバイスのみに縮小された。多くのデバイスではセーフガードが解除されたものと思われる。
[2022年12月5日追記] 本問題は、2022年11月のプレビュー更新プログラム「KB5020044」を適用することで解決する。2022年12月のパッチチューズデーに一般配信される。
リモート デスクトップ接続が無反応になる問題【11月24日追加】
「リモート デスクトップ接続」アプリ(mstsc.exe)が、「Remote Desktop Gateway」または「Remote Desktop Connection Broker」経由で接続すると、仮想マシンの読み込みやリモートセッションを構成するタイミングで応答しなくなる。Microsoftは現在、解決策を検討中。将来リリースで修正する考えだ。
影響を受けるのはローカルPCが「Windows 11 バージョン 22H2」の場合のみだが、リモートPCにインストールされているOSのバージョンは問わない。発生するのは「リモート デスクトップ サービス コレクション」に接続する場合や、「RemoteApp とデスクトップ接続」で接続を作成した場合など。そのため、ホームユーザーへの影響は限定的なものにとどまると予想される。
問題が発生すると、接続が終了したとのエラーメッセージが表示されることもあるが、それもなく無反応になった場合は「タスク マネージャー」などから強制終了する必要がある。
回避策として、すべてのリモート デスクトップ接続(RDP)でUDPを無効化してしまうのが有効で、同社のドキュメントサイトに「グループ ポリシー」を用いた設定方法が案内されている。ただし、この方法を適用するとWAN環境でのRDPセッションのパフォーマンスが低下する。修正パッチがリリースされたら、設定を元に戻しておくことが推奨されているので注意したい。