やじうまの杜
社団法人の電子公告が「Telnet」で行われる珍事発生、早速「Tera Term」で読んでみる
PHPで読む方法を解説する有志も
2023年9月5日 15:29
「やじうまの杜」では、ニュース・レビューにこだわらない幅広い話題をお伝えします。
最近設立されたという一般社団法人サイバー技術・インターネット自由研究会の電子公告が「Telnet」で行われていることが話題です。
最近法人を設立したのですが、電子公告のURLってschemaはhttp/httpsに限定されていないことがわかりました!なんとtelnet://でもいける!!pic.twitter.com/4UXDNLMuhJ
— Hirotaka Nakajima (@nunnun)September 4, 2023
「公告」とは、会社が利害関係者に重要なこと(決算や解散、合併など)を広くお知らせすること。公告は官報や日刊新聞紙への掲載のほかにも、インターネットで行うことが可能で、これは「電子公告」と呼ばれます(会社法第2条第34号等)。
電子公告は一般的に会社のWebサイト(HTTP/HTTPS)で行われるのが一般的ですが、実はHTTP/HTTPSじゃないといけないと決まっているわけではないのだそう。じゃぁ、ちゃんとURLさえあれば「http://」「https://」ではなく「telnet://」でもいいよね、というわけです。もはやセキュリティ的にはあり得ませんが、「ftp://」でもいいのかな……。
ちゃんと公告アドレスも準備しておりますので、ぜひみなさまもアクセスしてみてください。Shift JISでないと動作しないので、Macをお使いの方は、Terminalの設定をShift JISに変更してからお試しください。 telnet://koukoku.shadan.open.ad.jppic.twitter.com/w1mYDGJZC5
— Hirotaka Nakajima (@nunnun)September 4, 2023
「http://」「https://」へアクセスするにはクライアントアプリとしてWebブラウザーが必要ですが、「telnet://」へ接続するには「Telnet」のクライアントを利用します。試しに「Tera Term」で試してみましょう。
まず、窓の杜ライブラリなどから「Tera Term」をダウンロードし、インストールします。インストーラーの設定は、とりあえず全部そのままで大丈夫です。
「Tera Term」を起動すると、「新しい接続」ダイアログが現れます。ここでは設定を変更しなければいけないのは2カ所。
- ホスト:koukoku.shadan.open.ad.jp
- サービス:「SSH」から「Telnet」へ変更
[OK]ボタンを押すとホストへの接続が開始され、ターミナル画面に文字が出力されます。文字化けするはずですので[設定]-[端末]ダイアログを開き、[漢字-受信]オプションを「SJIS」に切り替えます。
準備はこれで完了。ちゃんと一般社団法人サイバー技術・インターネット自由研究会の電子公告を閲覧できるはずです。文字化けしていないのを初めから読みたい場合は、[ファイル]-[セッションの複製]メニューなどを利用するとよいでしょう。
そのほかにも、有志がブログでMac環境で「Telnet」電子公告を読む方法や、PHPで読む方法を解説してくださっています。
ちなみに、同法人によると「Telnet」は歴史が長く、安定して優良な通信方式で、長期間活動する予定の法人の電子公告に向いているとのこと。今主流のHTTPと比べると、以下の4つの点で利点があるといいます。
- 通信量をかなり削減できる。サーバーの通信コストも安く済む(1/10以下)
- HTTPプロトコルは複雑で、セキュリティホールも多い。Telnetで電子公告を一方的に配信するのであれば、脆弱性が発生するリスクはほぼない
- HTTP接続のためのプロトコルやサーバー、クライアント(Webブラウザー)は日本人の意思とは関係なく、非民主的に決定されている。一方のTelnetはこれ以上単純化することができない程度に基礎的なプロトコルであり、外国人の意思によって挙動を変更される心配がない
- HTTPで電子公告を公開すると、Webブラウザーの閲覧履歴に残る。これはさまざまな理由で外部に送出される恐れがある(トラッキング)。Telnetであればそうしたリスクなく電子公告にアクセスする閲覧者の権利を保護できる
真面目なのか、ジョークなのか……とりあえず電子公告の手段は「http://」「https://」に限られないというのは、知っておいた方がよいのかもしれません。皆さんが会社を設立するときに役に立つ(?)でしょう。