特別企画

久しぶりにPCの液晶ディスプレイを買い換えたら超快適になるという話

“不満がないから”何年も使い続けていませんか?

 液晶ディスプレイを、「まだ使えるから」という理由で長く使い続けるのはよくない。たとえば、“5年以上前にフルHD(1,920×1,080ドット)液晶を手に入れて、これで十分と考えている”あなただ。もっと古いタイプの液晶を使い続けている方も結構多いことだろう。

 さて、古い液晶ディスプレイを長く使い続けることのデメリットはいくつかある。まず、最近ではフルHDを大きく超える解像度の製品が2万円台から手に入る。解像度が高くなれば、文字が見やすく、たくさん表示でき、写真や動画も細かな部分まで見えるようになる。つまり、作業効率が上がるというわけだが、このメリットを得られない。

 そして古い液晶ディスプレイは、最新の液晶ディスプレイが備える「ブルーライトカット」や、「フリッカーフリー」といった目の健康に配慮した機能を持っていないことが多い。相対的に目の負担が大きい状態で使い続けていることになる。

 加えて、液晶ディスプレイのバックライトは利用時間に応じて光量が低下するため、画面全体が暗くなってしまうことも考えられる。光量の低下に伴ってコントラストも低下し、写真やゲーム画面を鮮明に表示できなくなってしまう。バックライトの劣化は徐々に進行するため頻繁に使っているほど意外と気付かないものだ。入出力端子の数やスピーカーの音質なども、最新モデルのほうがずっと優れている。

 そこで今回は、フルHDクラスの古い液晶ディスプレイよりも快適で、しかも最新トレンドをしっかりとフォローする液晶ディスプレイを選ぶためのポイントを整理していこう。

長く使っている“フルHD以前”の液晶(写真右)から効果的、かつ低コストに乗り換えるなら、27型、解像度2,560×1,440ドットのモデルが現実解。今回はハイコスパのビューソニック VA2719-2K-SMHD-7とVG2719-2K-7(写真左)に注目

より大きなサイズのExcel表を表示できる

 7~10年くらい前から、液晶ディスプレイの解像度はフルHDクラスが一般的になっている。当時のメーカー製デスクトップPCに付属する液晶ディスプレイであれば、パネルサイズは20~21型でフルHDクラス、廉価なモデルではHDクラス(1,280×1,024ドット)だろうか。

 液晶の買い換えにあたってまず注目したいのは「解像度」。解像度とは、パネルを構成するドット数を示す。「1,600×1,200ドット」の液晶ディスプレイの場合、横に1,600ドット、縦に1,200ドット表示する能力がある。この数字が大きければ大きいほど、デスクトップに表示できる情報量が増え、文字や画像を精細に表示できるようになる。たとえば解像度が1,280×1,024ドットの液晶ディスプレイから、解像度が2,560×1,440ドットの液晶ディスプレイに買い換えると、全画面でExcelを表示したときのセル数や、Webブラウザーで表示できる画像やテキストの量が大幅に増える。大きめの書類も一目でチェックできるようになるのだ。

 セルが細かくなるということは、文字や数字も小さく表示されるのでは、と考える方がいるかもしれない。それはある意味正解。ただし、パネルサイズが同じ場合の話だ。パネルサイズが大きくなれば、その分だけ文字や数字のサイズも大きくなる。実際に24型フルHD解像度の液晶ディスプレイと、現状主流の27型で2,560×1,440ドットの液晶ディスプレイのデスクトップにアイコンと文字を表示させてみると、そのサイズ感はほぼ同じだった。

左は24型で1,920×1,080ドットの液晶ディスプレイ、右は27型で2,560×1,440ドットの液晶ディスプレイ。アイコンや文字のサイズはほぼ同じだ
150%
125%
100%

 とはいえ、現実にはパネルサイズを多少大きくしても“まだ文字が小さ過ぎる”、というシチュエーションはよく発生する。そんな場合に備えて、Windows 10では、文字やユーザーインターフェイスを美しく拡大表示できる“スケーリング機能”を搭載している。高解像度液晶でこのスケーリング機能を使うと、文字などが大きく、かつなめらかに表示され視認性が上がる。Windows 10はアップデートを重ねてこのスケーリングもかなり強化されているので、初期のスケーリング機能に不満が合った方も再挑戦してみる価値は大いにある。

2,560×1,440ドットの液晶ディスプレイに125%のスケーリング設定でExcelをフルスクリーン表示すると、横はZを超えて「AB」、縦は「39」まで表示できる
1,920×1,080ドットの液晶ディスプレイに、125%のスケーリング設定でExcelをフルスクリーン表示すると、横は「U」、縦は「27」までしか表示できない。同じスケーリング設定でも解像度が異なると表示される情報量が異なる
※初出時「100%のスケーリング設定」と表記していましたが誤りでした。お詫びして訂正いたします。

 デジカメ画像を扱う機会が多いなら、高解像度液晶のメリットはさらに大きい。古くて解像度の低いモデルに表示したデジカメ画像と、最新の高解像度モデルに表示したデジカメ画像では、その表示クオリティは雲泥の差だ。レタッチするにも、古い液晶ではそもそも正しい色が表示されているかどうかもわからない。

 冒頭でも述べたブルーライトカット機能は、目にダメージを与えるという青の波長の光を低減する機能。フリッカーフリー機能とは、古い液晶ディスプレイのバックライトの特性から生じるちらつきをなくし、目の疲れや肩の凝りを起こしにくくする機能だ。

 仕事でPCを利用するならもちろん、個人ユーザーでも、PCを使うときは液晶ディスプレイを長時間見続けることになる。古くて「目に優しい」機能を搭載しないモデルを使い続けると、健康被害を誘発する恐れすらあるのだ。その意味でも、最新モデルへ買い換えるメリットは大きい。

27型、WQHD解像度に加えて高い表現能力

 こうしたことを踏まえて今回オススメしたいのが、ビューソニックの「VA2719-2K-SMHD-7」と「VG2719-2K-7」である。いずれもパネルサイズは27型、解像度は2,560×1,440ドット。2万円台で買える手頃なモデルながら、最新トレンドをしっかりとサポートする。入力端子としてはHDMIを2基、DisplayPortを1基装備しており、PCだけでなくゲーム機やBDレコーダなどを接続して楽しめる。VG2719-2K-7はこれらに加えて高さ調整と回転機能が付いた上位モデル。用途や予算に応じて選びたい。

VG2719-2K-7のパネルサイズは27型。解像度は2,560×1,440ドットをサポートする。実売価格は27,000円前後

 27型と聞くと、今使っている液晶よりもだいぶ大きくて置けないのでは?と考える方もいるだろう。だが、VA2719-2K-SMHD-7、VG2719-2K-7ともパネル周囲の額が9.9mmとかなり狭い「Frameless design」を採用することで、古めの21~24型パネル搭載モデルと同等の横幅と高さを実現している。今まで液晶ディスプレイを置いていたスペースをそのまま利用できる可能性が高い、ということだ。

左が古い24型の液晶ディスプレイ、右がVG2719-2K-7。額がかなり狭いことがわかる
奥側がVG2719-2K-7、手前が24型の古い液晶ディスプレイ。サイズ感的には一回り大きくなった程度。実際に置き換えてみると、表示面積だけが大きくなったように感じてちょっと驚く

 次に視野角が広く、色の変化が少ないIPSパネルを採用することに注目したい。両モデルとも表示する画像に合わせた色補正技術で美しい色彩を表現する「SuperClear技術」に対応し、実に178°の視野角をサポートする。またプロ向けモデルと同等の10bitカラーに対応し、なめらかな階調性で映像を表示できる。デジタルカメラの画像のレタッチなどにチャレンジしたいユーザーも満足できるだろう。上位のVG2719-2K-7はさらにSRGB色域99%カバーをうたっており、より高度なクリエイティブ作業にも対応できる。

 まずVG2719-2K-7にテスト用の画像を表示してみたところ、この価格帯のモデルとしてはグラデーションの表現力は高く、色の変化もなめらかだった。色とりどりの花もスッキリクリアに表示され、高解像度モデルならではの立体感もしっかりと感じる絵作りである。色に関してはこの記事の写真撮影をお願いしたカメラマンの若林氏にもチェックをお願いしたところ、「バックライトの輝度ムラは少なく、色や階調の再現性も結構高い」と言う。

VG2719-2K-7にデジタル一眼レフカメラで撮影した写真を表示。発色に優れ、視野角の広いIPSパネルによる表現力は高い
DOS/V POWER REPORT編集部がディスプレイの評価で使用しているグラデーションパターンを表示した写真。なめらかな階調性をサポートしており、非常に美しい

 VA2719-2K-SMHD-7にもカラーチェック用の画像を表示してみたが、おおむねVG2719-2K-7と同じ傾向を示しており、デジカメ画像の表示クオリティは非常に高い。VG2719-2K-7をチェックしてもらった若林氏のコメントも、表示画質はVG2719-2K-7とほぼ同様と考えてよいとのことだ。

ビューソニックの「VA2719-2K-SMHD-7」。パネルの表示性能自体はVG2719-2K-7と変わらず、毛並みや緑の表現力も素晴らしい。実売価格は26,000円前後

 VG2719-2K-7、VA2719-2K-SMHD-7とも、ブルーライトカット機能やフリッカーフリー機能など、目に優しい機能も網羅している。これらは、パソコン仕事で目の疲れを感じていたり、加齢による目の衰えが気になり始めていたりするなら必ず押さえておきたい機能。趣味で美しい映像をじっくり楽しんだり、しっかりレタッチしてさらに高いレベルの映像を作り出したい場合でも、フリッカーフリーによって目の疲れを軽減すべき。また、忠実な色彩表現と健康のバランスを両立したいユーザー向けに、ブルーライトカット機能を調整できるのもうれしい。

OSDの「マニュアル画像調整」機能から、ブルーライトカット機能をどの程度効かせるかを調整できる

VG2719-2K-7は多機能なスタンドで使い方自由自在

 VG2719-2K-7は液晶パネルの角度を上下に傾けるチルト機能、左右に振るスイベル機能に加え、パネル部分を上下に移動できる高機能なスタンドを搭載している。こうした自由度の高い調整機能を利用し、自分が使いやすい位置に簡単に調整できるのだ。

 ノートPCの外付け液晶ディスプレイとして使うときも便利だ。高さが調整できない液晶ディスプレイとノートPCを組み合わせて使う場合、双方の画面が重ならないように、左右どちらかにノートPCをズラして置く必要がある。

スタンドには液晶パネル部分を上下に移動する機能がある

 VG2719-2K-7では、パネルの位置をかなり高いところまで移動できる。そのため、液晶ディスプレイのパネル下にノートPCを設置して利用することも可能。より狭い設置スペースで、ノートPCと外付け液晶ディスプレイを利用できるのは便利だ。

液晶パネルを上に移動し、その下にノートPCを置くという使い方も可能

 このスタンドは、「ピボット」という回転機能にも対応する。一般的な液晶ディスプレイは横向きの状態で利用するが、このピボット機能をサポートするモデルでは、パネルを90°回転して縦方向に変更できる。ロックされているわけではないので、回転方向の切り換えは簡単に行なえる。

 日常的な軽作業ではあまり使わない機能だが、縦に長いWebサイトを一画面でざっくりチェックしたい、縦型の書類を作り込みたい、という場合にこのピボット機能を利用すると便利だ。意外とおもしろいのがレトロゲームの縦画面表示。今、PCだけでなく、Nintendo Switchなどのゲーム機でもレトロゲームの復刻版が大人気。そうした復刻版の中には往年のアーケードゲームを実機と同じように“縦画面”で表示できる機能を持ったものが増えている。これをピボット機能と組み合わせると、まるでゲームセンターのような感覚でプレイできてしまうのだ! 複数の映像入力端子を搭載しているため、日常的に利用するPCとゲーム機を同時に接続しておくことも容易である。

画面を縦方向に回転するピボット機能で、ゲームがさらに楽しくなる。ゲームセンターに親しんだ世代であれば、ゲームマニアでなくてもテンションが上がること請け合い!
インプレスの営業スタッフにVG2719-2K-7(左)と、2011年に発売された旧型の24型フルHD液晶(右)を比較してもらった。まずはスタッフA(40代)の感想。「文字サイズを合わせても、VG2719-2K-7は文字もグラフもフルHDよりたくさん表示されるんですね。手間がかかる複雑な資料作成もはかどりそうです」
スタッフB(40代)の感想。「(文字サイズを合わせるためにVG2719-2K-7はスケーリングで拡大しているが)僕はまだ老眼が始まっていないので、文字をもう一回り小さくして、もっと情報量を増やしてもいけそうな気がします」。こんな場面で若さを主張しなくてもいいんですが、27型WQHDの表示能力は気に入った様子。
スタッフC(20代)の感想。「27型なのに、24型と設置サイズがほとんど変わらないんですね。色の表現が鮮明なのでゲームを遊ぶにもよさそうです!」。絵に描いたような営業スマイルですが、まじめにコメントしています。
VA2719-2K-SMHD-7は強化ガラスの透明感が美しいスタンドを採用
映像入力端子は2基のHDMIと1基のDisplayPortという構成

古いディスプレイもマルチディスプレイで甦る!

 高性能な液晶ディスプレイに乗り換えると、古い液晶ディスプレイが余ってしまう。使えるのに捨てるのはなんだか気が引ける、というユーザーにオススメなのが、複数のディスプレイを接続してデスクトップを拡張する「マルチディスプレイ」環境の構築だ。最近のOSでは、マルチディスプレイ環境を簡単に作れるようになっており、利便性は大きく向上する。

 PCが複数の映像出力端子を装備しているなら、作業は非常に簡単。PCの映像出力端子と液晶ディスプレイを、それぞれケーブルで結べばよい。Windows 10がインストールされているデスクトップPCの場合、液晶ディスプレイが接続されていることを自動で認識し、それぞれに別のデスクトップを表示する「拡張」という設定に変更する。

Windows 10では、PCと液晶ディスプレイを接続するだけで簡単にマルチディスプレイ環境を構築できる

 この状態だと、最新液晶ディスプレイのデスクトップ領域に加え、古い液晶ディスプレイを「追加のデスクトップ」として利用できるようになる。前述のとおり色みや表示性能は劣るが、そうした劣化があっても気にしなくてよいアプリ、たとえばメールやTwitterのタイムライン、メッセージングアプリなどを表示しておくとよいだろう。

 フォトレタッチ作業時でも有効だ。メインのウィンドウは最新液晶ディスプレイのほうに表示するが、アプリのツールバーなどは分離して追加デスクトップのほうに置くようにする。これにより、レタッチしたい画像の表示領域をより広く設定できるのだ。

新旧の液晶でマルチディスプレイを構築してみた。左のVG2719-2K-7には高解像度表示が効果的なExcelを、右の古い液晶には調べ物をするWebブラウザーを表示している。ウィンドウを切り替えなくていいので超便利!

 ここまでで見てきたように、最新液晶ディスプレイへの乗り換えには大きなメリットがある。古いものを大切にする精神も重要なことだが、大型パネルの高解像度モデルがここまで低価格化してきた現状や、健康被害への懸念を考えれば、やはり買い換えを考えるのがオススメだ。

 また古い液晶ディスプレイも、工夫しだいでしっかり活用できることを考えれば、決してムダ遣いにはならない。こちらで紹介した液晶ディスプレイは、いずれも買って後悔しない高品質な液晶ディスプレイであり、買い換え対象としても自信を持ってオススメできる。

[制作協力:ビューソニックジャパン]

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