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「Android 12」では“Google Play”以外のアプリストア対応を改善 ~Googleが表明

アプリストアの選択肢を尊重する一方、決済手数料の回避は認めない考えを明確化

公式ブログ“Android Developers Blog”

 米Googleは9月28日(現地時間)、“Google Play”とAndroidを改善する取り組みを発表した。これまでにデベロッパーから寄せられた意見をもとに、アプリストアの選択肢確保、支払いポリシーの明確化、“Google Play”ポリシーの平等な適用などの原則を改めて明確にしている。

 今回の声明の背景には、最近話題となったEpic Gamesとの係争がある。Epic GamesはAppleの“App Store”やGoogleの“Google Play”で課される決済手数料を回避するため、独自の決済手段を導入したが、これが原因で人気ゲーム「フォートナイト」は“App Store”や“Google Play”から削除されてしまった(参考記事)。

 とはいえ、AndroidはiOSと異なり、“Google Play”以外のアプリストアをインストールできるようになっている。実際、ほとんどのAndroid端末には2つ以上のアプリストアがプリインストールされた状態で出荷されているほか、ユーザーが追加でアプリストアをインストールすることもできる。あるアプリを2つ以上のAndroid向けアプリストアでリリースすることも可能だ。そのため、“Google Play”から「フォートナイト」が削除されてしまっても、Epic GamesのストアやSamsungの“Galaxy Store”などからはこれまで通り入手できる。これはAndroidのメリットの一つと言えるだろう。

 Googleは、こうしたアプリストアの選択肢を今後も尊重する考え。来年リリースされる「Android 12」では、Androidの安全性を損ねることなく、他のアプリストアをこれまで以上に簡単に利用できる仕組みを導入するとしている。

 一方で、支払いポリシーについては譲歩する気はなさそうだ。同社は支払いポリシーの文言をアップデートし、“Google Play”で配信されるアプリでデジタル商品を販売する場合、“Google Play”の課金システムを使用する必要があることをより明確にした。

 もっとも、このポリシーは以前から存在し、よく知られているものだ。過去12カ月間に“Google Play”上でデジタル商品を販売していたアプリデベロッパーは3%に満たず、その多く(97%近く)はすでに“Google Play”の課金システムを利用しているため、ほとんどのデベロッパーには影響がないという。同社は“Google Play”のセキュリティの高さをアピールしており、決済手数料に不満があれば“Google Play”以外のアプリストアで配信すればよいという考えのようだ。

 なお、“Google Play”の課金システムにまだ対応できていないデベロッパーに対しては1年間(2021年9月30日まで)の猶予期間が設けられる。Google自身が配信しているアプリのうち、“Google Play”の課金システムを利用していないアプリに関しても必要なアップデートが行われる予定だ。

 そのほかにも、“Google Play”のポリシーはGoogle自身が配信しているアプリにも公平に適用されること、他のアプリストアを介して顧客とコンタクトをとったり、“Google Play”よりアプリを安く売ったりすることに制限はないことなどが明確化された。Microsoftのサブスクリプションサービス“Xbox Game Pass”にような新しい取り組みに関しても、フィードバックをもとに常にアプローチを調整し、イノベーションをサポートしていくとしている。