ニュース

ARM64デバイスのx64エミュレーションが強化 ~Dev版Windows 10 Build 21354

エミュレーションでトラブルが発生した場合は、互換性重視の設定を試そう

“Windows on ARM”のエミュレーション設定。プルダウンメニューで推奨の設定グループを切り替え可能

 米Microsoftは4月7日(現地時間)、「Windows 10 Insider Preview」Build 21354(CO_RELEASE)を公開した。このビルドでは、ARM64デバイスにおけるx64エミュレーションを強化。互換性設定を切り替えられるようになった。

 “Windows on ARM”のエミュレーション設定は、実行ファイルのプロパティダイアログから変更が可能。[互換性]タブの下の方に[エミュレーション設定の変更]ボタンが設けられている。これをクリックすると、エミュレーション設定のダイアログへアクセスできる。

 ここにある設定は基本的に変更する必要はないが、もしエミュレーションにトラブルが発生した場合は、プルダウンメニューで推奨のエミュレーション設定グループ(安全なエミュレーション・厳格な実行・非常に厳格な実行)を切り替えることで問題が改善される可能性がある。ただし、互換性を重視する設定に変更するとパフォーマンスは犠牲になる。

[詳細設定]オプションを有効化すれば、エミュレーションオプションを個別にON/OFFできる

 また、[詳細設定]オプションを有効化すれば、エミュレーション設定グループを利用せずに、以下のエミュレーションオプションを個別にON/OFFすることも可能。

  • アプリケーションのキャッシュを無効にする:エミュレート時にすべてのアプリコードが再コンパイルされるようになる。次回起動時にキャッシュが再利用されないためパフォーマンスは落ちるが、キャッシュが原因の不具合は解決されるだろう
  • 厳密な自己書き換えコードのサポート:無効化すると自己書き換えコードが抑制され、パフォーマンスが低下する代わりに互換性が向上する
  • RWX ページパフォーマンスの最適化を無効化する:読み取り可能・書き込み可能・実行可能ページのパフォーマンスを向上させるための仕組みを無効化する
  • ハイブリッド実行モードを無効にする(x86アプリのみ):x86バイナリにはARM64環境でパフォーマンスを向上させるためにネイティブのARM64コードが含まれている場合がある(CHPE:コンパイル済みハイブリッドポータブル実行可能ファイル)。これに問題がある場合は、このオプションを無効化することで改善される可能性がある

 さらに最新のプレビュービルドには、これら従来のオプションに加え、以下のx64エミュレーション関連オプションが用意されている。

  • Disable JIT optimization
  • Disable floating point optimization

 ARM64デバイスにおけるx64エミュレーションは、“Windows Insider Program”の“Dev”チャネルでテスト可能。テストへの参加は、「設定」アプリの[更新とセキュリティ]-[Windows Insider Program]セクションから行える。また、「Hyper-V」向けの仮想環境も利用可能だ。