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「Google Chrome」に選択テキストへのリンク生成、ウィンドウの名前付けなど多数の新機能
PDFリーダーの強化やパフォーマンスの向上にも注目
2021年4月19日 16:36
米Googleは4月15日(現地時間)、最近の「Google Chrome」に追加された新機能を発表した。多くは先日安定版としてリリースされた「Chrome 90」で体験可能。
[選択箇所へのリンクをコピー]コマンド
最近の「Chrome」では、Webページへジャンプして指定したテキスト位置へスクロールする“Scroll to Text Fragment”という機能がサポートされている(「Chrome 80」以降)。Webページの特定位置へリンクを張りたい場合、URL末尾に“#(HTML要素のID)”を追加する方法がよく使われるが、これは要素にIDが割り当てられていないと機能しない。しかし“Scroll to Text Fragment”ならば、URLの末尾に“#:~:text=(任意のテキスト)”というテキストフラグメントを追加してそのテキスト部分へリンクを張ることが可能。リンク位置にスクロールしてテキストをハイライトすることも可能で、Google検索の結果にもときどき用いられている。
最新の「Chrome」では、この仕様のリンクを生成し、クリップボードへ格納するコマンドが追加された。選択テキストの右クリックメニューから [選択箇所へのリンクをコピー]コマンドを選ぶと、“#:~:text=(選択テキスト)”形式のリンクを取得できる。
このコマンドは現在、デスクトップとAndroidで展開中。iOSへも近日中に提供されるという。まだ利用できない場合は、試験的フラグ“chrome://flags/#copy-link-to-text”を有効化するとよい。
PDFリーダーの強化
「Chrome」内蔵のPDFリーダーも強化されている。たとえば、PDFドキュメントを開くとサイドパネルが開き、ドキュメントに含まれるページをサムネイル表示できるようになった。サムネイルをクリックすると、そのページへすばやくジャンプできる。このサイドパネルが邪魔な場合は、トップツールバー左端のハンバーガーメニュー(横三本のアイコン)をクリックすればよい。
また、トップツールバーにもいくつかの改善が施されている。ページのズーム、回転、縦・横へのサイズ合わせなど、PDFを閲覧する際によく使う操作がワンクリックで行えるようになったほか、右端の[…]メニューでプレゼンテーションモードへの切り替えやファイルプロパティの閲覧が行えるようになった。
これらの機能は現在、順次展開中。一部の機能は「Chrome 90」でも利用できないことがあるが、その場合はしばらく待つとよいだろう。
プレゼンテーション時に通知をミュートする
ミーティングやプレゼンテーション中に関係のない通知が表示されて恥ずかしい思いをしたことはないだろうか。最近の「Chrome」はプレゼンテーションやウィンドウを共有する際、自動ですべての通知をミュートしてくれるので、その心配はない。
パフォーマンスの向上
最近の「Chrome」は、アクティブでないタブ(バックグラウンドタブ)が消費するリソースを抑えるタブスロットリング(Tab throttling)や、ウィンドウの重なりを追跡して表示されていない場合は消費リソースを抑えて最適化するオクルージョントラッキング(Occlusion Tracking)、戻る・進むのナビゲーションをキャッシュして高速化するバック・フォワードキャッシュといったさまざまな手法で高速化が図られている。これは「Chrome」のパフォーマンスが向上するだけでなく、CPUの発熱抑制、バッテリー駆動時間の延長にもつながることだ。64bit Windows版とAndroid版では、メモリの割り当て処理を「PartitionAlloc」に置き換えて、メモリ消費量を削減する試みも行われている。
さらに、近日中に折りたたまれたタブグループをフリーズし、リソース消費を減らす仕組みがベータ版として導入されるとのこと。非表示のタブが消費するCPUとメモリが削減されるため、全体的なパフォーマンス向上が期待できる。
ウィンドウに名前を付ける
最後に、「Chrome 90」ではウィンドウに名前を付ける機能が導入された。タブバーの右クリックメニューから利用可能で、わかりやすい名前を付けておけば、たとえば[Alt]+[Tab]キーでタスクを切り替えるときなどに便利だ。
「Chrome」ではこの機能のほかにも、タブを管理する機能としてタブグループやタブ検索を備えている。タブ検索は長くプレビュー版でテストされていたが、現在はすべてのデスクトッププラットフォーム(Windows/Mac/Linux)に展開されているという(編集部では、安定版への展開を確認できなかった。Beta版では利用可能)。
デスクトップ向け「Google Chrome」はWindows/Mac/Linuxに対応しており、現在、同社のWebサイトから無償でダウンロード可能。Windows版は、64bit版を含むWindows 7/8/8.1/10に対応する。すでにインストールされている場合は自動で更新されるが、設定画面(chrome://settings/help)から手動でアップデートすることもできる。