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統合開発環境「RAD Studio 11.1 Alexandria」が公開、「Delphi」「C++Builder」も更新

コミュニティ版は今のところ提供なし

「RAD Studio 11.1 Alexandria」の新しいウェルカムページ

 米Embarcadero Technologiesは3月15日(現地時間)、統合開発環境「RAD Studio」の最新版「RAD Studio 11 Alexandria Release 1」の提供を開始した。「Delphi」「C++Builder」の無料トライアルもアップデートされている。

 「RAD Studio 11 Alexandria Release 1」のバージョンは「11.1」で、従来のバージョンナンバリング規則に従えば「10.3 Rio」「10.4 Sydney」と並ぶメジャーアップデートとなる。しかし、「11.0 Alexandria」からはこの規則が変更されているようで、本バージョンはあくまでも「11.0 Alexandria」に対するマイナアップデートと位置付けられている。都市名にちなむ愛称にも変更はない。

 「11.1 Alexandria」は使いやすさ、パフォーマンス、安定性の向上に重点を置いた改善が中心で、新しいウェルカムページの追加、High DPI対応の強化、「GetIt」パッケージマネージャーの改良、IDEのアップデートなどが行われた。「11.0 Alexandria」のリリース以降に公開されたWindows 11、macOS 12 Monterey、iOS 15、Android 12といった新しいOSにも対応している。

 また、コーディング支援機能「Code Insight」も、「Delphi」「C++Builder」の両方で強化。Windows向けのコンパイラーは、ASLRやDEP/NXといったセキュリティ設定を追加でサポートし、既定で有効化されている。「RAD Studio」のバイナリやランタイムパッケージもこれらを有効化した状態でビルドされているとのことで、セキュリティの強化が期待できる。

 デバッガーについても、「Delphi」のmacOS 64bit ARMおよびAndroid 64bit向けが「LLDB」ベースとなり、ほとんどのプラットフォームで統一された。「LLDB」はオープンソースの高性能デバッガーで、「Delphi」「C++Builder」のデバッグ機能が今後発展する上で礎となるものだ。

 なお、無償の「Community Edition」は「10.4 Sydney」シリーズで据え置かれているようだ。ライセンス違反の利用が増えていることを憂慮し、コミュニティ版の公開を意図的に遅らせているものとみられる。