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「Delphi」がApple M1/2上のiOSシミュレーターに対応 ~「RAD Studio 11.2 Alexandria」

「Internet Explorer」から脱却、IDEではMarkdownがサポートされる

「RAD Studio 11.2 Alexandria」の新しいウェルカムページ

 米Embarcadero Technologiesは9月8日(現地時間)、統合開発環境「RAD Studio」の最新版「RAD Studio 11 Alexandria Release 2」の提供を開始した。「Delphi」「C++Builder」の無料トライアルもアップデートされている。

 「11.2 Alexandria」では、Apple Silicon(ARM64)チップで動作するiOSシミュレーターに対応。iPhoneの実機を用意しなくても、「Delphi」で開発したアプリをデバッグできるようになった。かつての「Delphi」はAppleのiOSシミュレーター(x86、Intelプラットフォーム)をターゲットとした開発をサポートしていたが、Appleが提供をやめたことで対応を断念せざるを得なかった。「11.2 Alexandria」のリリースでようやく、以前のようにシミュレーターでデバッグできるようになったことになる。

Apple Silicon(ARM64)チップで動作するiOSシミュレーターに対応

 また、Android向け開発も強化された。たとえばAPI対応は「Android API Level 32」にアップデートされており、2022年11月から必要となる「Google Play」の要件にも適合する。Linux開発では、GDBベースのデバッガーがLLDBベースに切り替えられ、機能面とDelphi言語構文のサポートの両面で大幅な機能強化が実現された。

 IDE(統合開発環境)関連では、「Internet Explorer」(IE)からの脱却とMarkdown(.md)ファイルへの対応が目玉。「11.2 Alexandria」は既存機能の改善に重点を置いたマイナーアップデートだが、「IE」への依存が安定性を損なっていたこと、Markdownベースのドキュメントの充実を進めていることから、このタイミングでの導入になったようだ。

Markdown(.md)ファイルへ対応

 そのほかにも、条件付きコンパイルコードで無効になっている非アクティブコードをグレー表示する機能、ファイルの種類に応じてタブの色を変更する機能、ウェルカムページの改善なども行われているとのこと。Delphi RTLライブラリ、VCLライブラリ、FireMonkeyライブラリなどもアップデートされている。

 なお、無償の「Community Edition」は「10.4 Sydney」シリーズで据え置かれているようだ。無償ライセンスの発行から1年が経過し、ライセンスが切れてしまったユーザーには延長措置が取られている。