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「Google Chrome 106」がベータ版に ~「Pop-Up API」などの開発者向け機能をサポート

サーバープッシュは廃止、「103 Early Hints」へ

「Google Chrome 106」のベータ版

 米Googleは9月1日(現地時間)、「Google Chrome 106」のベータ版に追加された新機能と変更点を発表した。「Chrome 106」では「Anonymous iframes」や「Pop-Up API」といった開発者向け機能が新たにサポートされる。

 「SharedArrayBuffer」などの一部Web APIは、「Spectre」をはじめとするサイドチャネル攻撃のリスクを高めてしまうことが明らかになっている。そのため、最近のWebブラウザーは「Cross-Origin-Embedder-Policy」(COEP)といったヘッダーを送信することで「クロスオリジン分離」(cross-origin isolation)と呼ばれる状態を有効化することが可能。オリジン(厳密には違うが、おおむねドメインのこと)をまたいだリソースの読み込みを制限し、これらのAPIを安全に利用できるようにするわけだ。

 しかし、クロスオリジン分離を有効にすると「COEP」に対応しないサードパーティーのフレーム(iframe)は読み込めなくなる。かといって、サードパーティーのフレームを読み込むためだけに「COEP」を諦めるのも得策とは言えない。

 そこで導入されたのが、「Anonymous iframes」(<iframe anonymous >)だ。これを利用すると、強制的にリソースを分離して「COEP」の制限を解除し、サードパーティーのフレームを読み込むことができる。この機能は「Origin Trials」で「Chrome 108」までテストされる予定。

 もう1つの「Pop-Up API」は、最前面へ一時的に表示されるインターフェイス、いわゆる「ポップアップ」を実現するためのAPIだ。「dialog」要素にも似ているが、フォーカスを失うと閉じる点、モーダル(閉じないと他のUIを操作できない)ではない点が異なる。

 従来はCSSで「z-index: 10000;」などと記述してダイアログ要素を最前面に配置し、表示位置や閉じる処理をJavaScriptで自前実装する必要があったが、それが不要となり、「<div popup=auto>」と書くだけでポップアップを実現できるようになる。ふるまいに癖があったり、アクセシビリティに配慮しない粗悪なポップアップ実装が排除され、操作が統一されるのも魅力と言えるだろう。

 そのほかにも、「Chrome 106」では以下の機能が利用できるようになる。

  • Client Hints persistency in Android WebView
  • CSS:grid-template properties interpolation
  • CSS:'ic' length unit(「水」という字の送り幅を単位とした長さ)
  • CSS:‘preserve-parent-color' value for the ‘forced-color-adjust' CSS property.
  • CSS:Unprefix -webkit-hyphenate-character property
  • JavaScript:Intl.NumberFormat V3API(数値のフォーマットに関するAPI)
  • SerialPort BYOB reader support
  • WebCodecs dequeue event
  • WebXR Raw Camera Access

 一方で、cookieのドメイン要素に非ASCII文字を利用できる仕様や、「HTTP/2 Server Push」は削除される。サーバープッシュ(Server Push)は「Chrome 103」で導入された「103 Early Hints」で置き換えられる。

 「Google Chrome」ベータ版はWindows/Mac/Linux/Androidなどに対応するフリーソフトで、現在、同社のWebサイトからダウンロード可能。Windows版は64bit版を含むWindows 7/8/8.1/10/11で利用できる。